【完結】疲れ果てた水の巫子、隣国王子のエモノになる

カシナシ

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番外編

1 結婚式のその後は※

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学園を卒業した僕たちは、本日、無事結婚式を迎える。

もう既に夫婦にはなっているのだけど、学生だったということもあり、公的なものではなかった。今日のお披露目をもって、僕は第二王子の王子妃として国民に周知される。

それと共に水の聖者ということも、大事なアピールポイントだ。

と言う訳でどんな衣装にするか、クライヴ様のご母堂、妃殿下と、僕の親代わりの枢機卿がバトルの末、見事に調和したデザインのドレスコートが完成した。


「シュリエル……!俺のシュリエルが……!綺麗すぎる……!」

「はいはい、落ち着いて下さい。絶対に抱きしめたりはだけさせたりしてはいけませんよ、繊細な衣装なんですから」


僕は今、白い総レースと、気の遠くなるほど金糸の刺繍の施された、裾の長いコートを羽織っている。
裾は引き摺るのが良いらしい。

そして下衣はレースを幾重にも巻きつけたようなデザインで……すとんとしたフォルムのドレスとも言えるだろう。
アラクネの中でも最も高級なスイート・クイーン・アラクネの出す絹糸を贅沢に使った逸品。見た目よりずっと頑丈なレースだと分かってはいるものの、破ったらと思うと怖くて一歩踏み出すのも勇気がいる。

恐れ多いことに、クライヴ様発案の元、一緒に素材を調達した思い出の布地だ。

腰には、クライヴ様を表現する黒の腰帯。そして耳飾りは雫の垂れるような形で水の聖者を表している。

髪は軽く結って垂らし、輝く聖銀色をこれでもかと見せつけながら、小振りなティアラも載せている。王妃や王太子妃ほどではないけれど、十分に豪奢な冠。連なった小さな結晶が簾のように髪にかかって、一際髪を美しく見せてくれる。


「クライヴ様も……、と、とても、素敵です……まるで世界征服した将軍のようで……」

「褒められ……ているんだよな?それは?」

「もちろんです!あるいは、誰もが平伏す覇王のような……」

「……君の中の俺のイメージが伝わってくるな……」


クライヴ様は、僕の大好きな軍服姿。婚姻式の時着ていたものも素敵だったが、それよりももっと正式なものだそうで、胸元にずらっと並ぶ勲章も格好良い。

僕もそっちを着てみたかったけれど、この布の塊のようなデザインは……いかんせん、全体的に青っぽい僕に似合っていた。

そうしてお互いを見つめ合って、はっと気付く。早くしなくちゃ!


実は結構、主役は慌ただしい。


長い長い、格式ばった儀式を終えれば、お祭り騒ぎをしている国民たちの間を掻い潜るようにパレードをする。たまに興奮しすぎた男が裸で踊り出そうとしていたり、花を僕らに届けようと投げてくるのを、騎士さんが必死になって阻止している。ふふ、僕はくすくすと笑ってしまうけれど、騎士さんたちは大変そうだ。


僕は愛馬のウォルに乗りたかったのだけど、衣装の問題もあって辞めになった。
代わりに空宙を駆けさせて、空から警護してもらっている。子供達がきらきらとした目で見つめているから、僕を守護する従魔として有名になりそうだ。

手を振り愛想を振り、汗だくになりそうなところを冷却魔術で誤魔化しながらまた王城へと帰ったら、もう少し動きやすいコートに着替えて夜会。


こちらはお互いの色をコンセプトにして製作されたもの。つまり、僕は黒と金。クライヴ様は銀と水色。
クライヴ様はどんなお色でも似合うのだが、自分の色を纏っているのを見ると、本当にたまらない気持ちになる。

それはクライヴ様も同様だったらしく、エスコートをするお手が大変、健全でない動きを見せていた。ちょっ、そんな、ねっとりお尻を撫でないで……!


「く、クライヴ様!まだ、まだです……!」

「クソッ、何故だ、何故時間が進まぬ!」


僕たちは小声で囁き合っていた。

実はもう三日間、僕たちは肌を重ねていない。主に僕の体調と肌の管理のため、クライヴ様はジタリヤ様に『噛み癖のある悪い獣は我慢を覚えなさい』と
言われていた。辛辣。
それで僕はハクやスイちゃんたちに、徹底的に肌を磨かれて、ジタリヤ様には美肌に良い食事を与えられてきた。その甲斐あって今日の僕は万全の状態だけども……クライヴ様には、結構、我慢させてしまったようだ。密着度が高い。


顔だけは笑顔な僕たちを見た、国内外の重鎮たちは、


「まぁ、仲睦まじいこと」
「これで国内も安泰ねぇ」


なんてほのぼのと微笑んでおられた。こっちはお尻を守る内戦を繰り広げているというのに……!







そうして夜会が終わったら、いよいよ、初夜である。

えっ、初夜はもう終わっているって?

それはその通り。
初めてどころか、僕の身体はすっかりクライヴ様の形を覚えるほど抱かれてはいる。

……なんでも王族の婚姻では初夜をしっかりこなしているのを、儀式として確認するまでが初夜なんだって。
もしかしたらルルーガレスでもそういう風習があったのかもしれないが、僕はまだ閨教育をされていなかったから、分からない。

つまり、白い結婚なんて、王族に関しては無理だということ。

それは分かる。婚姻までしておいて体の関係が無い場合、『血を繋ぐ意思が無い』として離縁されてもおかしくない。離縁するくらいなら初めから婚姻しない方がいい。特に王族は国民へお披露目もする。


クライヴ様は第二王子である。つまり、クライヴ様と僕の子も順位は多少低くとも王位継承権を持つことになるため、しっかりと身体の関係があることを証明しなくてはならないみたい。

なので現在、白い薄い衣服を纏って寝室にいる。見届け人と一緒に。


「ほ、本当に、この人たちの前でするのですか……?!」

「銅像だと思え。安心しろ、いつもよりあっさり……淡白にする。あいつらが確認して、追い出したら、たっぷり可愛がってやる」

「……んぐっ……」


薄暗い寝室で、ほんの薄い仕切りの向こう側に、見届け人が複数名、息を潜めて聞いている。

そう思うと何だかそわそわして落ち着かないのに、クライヴ様は堂々と僕に口付ける。

むちゅ、くち、くち、ちゅうっ……。


「ん……」

「気持ちいいか?目が蕩けている」

「……はい。クライヴ、様も……」

「君の唇は極上だからな」


しっとりとした口付け。さらさらと流れるように、僕の衣服を脱がしていく。
僕もあまり見たことのない形状の衣は、前をはだけるだけで、全てを曝け出す。
そしてそれはクライヴ様もそう。隆起した筋肉の熱に、既に天を向いて興奮する象徴も。


「んっ、あっ……」

「声を……、やはり、できるだけ聞かせたくないな。俺だけのシュリエルなのだから」

「っ……」


はっとして口を抑える。僕だって、こんなはしたない声は聞かれたくない。
けれど、もう、僕の身体は僕のものではない。クライヴ様によって余す所なく開発された身体は、彼に触れられると容易く喜んでしまう。


「はっ……あッ……あ”ッ……」

「どうした?いつもより……優しいだろう?」


ち、違う!
僕は気付く。確かに、仰っている事は間違いではない。
クライヴ様のお手はさわさわと、触れているか触れていないか分からないくらいに、優しく僕の肌を撫でていって、鎖骨や胸、臍、腰のくびれ、足の付け根なんかもねっとりと触っている。

その、快感にも満たない刺激を、この身体は快感として拾おうとしているのだ。


「はっ……ァんッ……!」


ぴく。ぴくぴく。もう、生殺しである。いいから、もう、早く、殺してイカせて欲しい。いっそひと思いに。

そう思うのに、クライヴ様はニヤニヤして与えてくださらない。ああ、このお顔、面白がっていらっしゃる……!


「クライヴさま……っ」

「どうした……?」


僕の花芯に手を添えて、狂いそうなほどゆっくり扱き始めるクライヴ様。あ、あ、あ、……ええっ?!

もう少しで高みへ昇れたのに、急に辞めてしまわれる。い、意地悪だ……っ!

僕の我慢の限界値は、余程低かったみたい。
頭に血ののぼった僕は、クライヴ様の襟首を掴み、引き寄せ、乱暴に口付けをした。

驚くクライヴ様を組み敷き、上に乗り上げる。
もう、この時、僕の頭の中には、見届け人のことなど全く残っちゃいなかった。


「あッ……んんッ!」


ぐぷっ!


「シュリエル……!?ぐっ」


お尻を熱杭に当てて、一気に沈み込む。
それはゴリゴリと内壁を擦り、自分で自分の首を絞めるような心地。あ……ッ!


「はっ……あ!あっ!あっ!あァァッ!」

「し、シュリエル、声が……っ、くっ、クソッ」


脳が弾け飛びそう。
腰を落とし、深みに嵌ってしまった僕は、動いていないのに、ぐりぐりと良いところに当てるだけで絶頂する。
クライヴ様の割れた腹筋に、ぴゅっ、ぴゅっ、と白濁が飛ぶ。

こんな体にした責任は、クライヴ様に取ってもらおう、そうしよう。


「くら、イヴ、さま……っ!あなたの、せい、です……っ!」

「……!?」

「はやく、動いて……?」


僕は情けなくなって涙目で懇願する。
だって、気持ち良過ぎて動けない。いや、動けるけど、その先に待っているのは快楽の沼。だから、クライヴ様に動いてもらおうと思ったら。

がしっ!
力強く腰を捕まえられて、そのまま下から揺さぶられ……っ!?


「ひ、や、ーーッ!」


自重と、クライヴ様の抽送が相まって、腹の奥の深いところに、当たる……!
その度に雷の落ちたような快感に打ちのめされて、くたりとクライヴ様の胸に墜落すると、鋼のような硬い腕に抱かれた。ああっ、この、硬くて熱い身体も、好き。


「~~ッ!」

「あっ!あ!ァアッ!」


バチュン!バチュン!ジュプッ!ジュプッ!

激しく突かれた先は僕の最奥。グッと押し付けられると、ああっ、なんだか、押し開かれて……!

「ひぁっ!あ”――――ッ!」


絶叫した。泣いて、善がって、身を捩って叫ぶ。
気持ちよさに捕えられた。がっちりと掴まれて逃がしてくれない。


「はっ……はっ……あ、……あ……」


震えるしかない僕の視界の端で、クライヴ様が、誰かとお話ししているのだ。

どこ、見てるの?僕のお尻?
ほんの少し持ち上げられて、接合しているところを見せつけているかのよう。今更ながら沸き起こる羞恥に、もう目を瞑った。

あ。誰かがバタンッ!と倒れた。
でも、たくさんの足音がゾロゾロと出ていく。その音の中には、ズルズルと引き摺る音も聞こえた。大丈夫かな……?


「さぁ。よくも煽ってくれたな……、シュリエル。仕切り直しだ」


目を開けると、ちかちかする視界の中で、大好きな人が、大好きな悪い顔をしていた。
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