VRMMOで最弱の俺は魔王を仲間にした。

松村レイ

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第3章 魔界遊戯編

第22話 魔王凱旋

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 橋を渡り切ると、そこには巨大な門。

 その前には如何にも魔王軍らしいゴブリンの姿。

 クエストにでも行っていれば、対峙するのは普通であるゴブリンの姿に感動すら覚えるとともに、消えたの事さえもチラついた。
 
 チラつく彼の残像をなんとか頭から捨て、ゆっくりと開く巨大な門の前でたたずんでいた。

 「早くしなさいよ、びびってんの!?」

 気がつくとカタナは既に城の中に足を踏み入れていた。

 「べ、別にビビってなんか‥」

 「何よ、元気がないじゃない」

 「いろいろ考えちゃって‥まぁ、考えても仕方ないか‥」

 リリスに連れられてさらに城の奥深くに入っていく。

 「懐かしいな、この廊下。で、リリス。俺を魔界に連れてきたのは親父だけど、用件はなんだね?」

  「恐らくは王位継承の話かと」

  「そうか、俺は苦手だからな、親父」

 やはりベルの父親サタンは厳格な父親なのだろう。

 より一層緊張感が増す。

 赤い絨毯がひかれた廊下をずっとまっすぐに歩いていると、またもや大きな扉の前にたどり着く。

 「入りたまえ」

  まるで監視カメラが付いているかのように、扉の前に立った瞬間に中から声がした。

 徐に扉を開けるベル。

 「よく戻ったな、ベルゼブブ」

  体育館のような広さの部屋の奥の方の椅子にぐったりと座っている老人らしき人物が言った。

 ん?

 「ベル、お前の父親のサタンって?」

   「あーそう。あそこに座ってるのが俺の親父」

   「へー、思ってたよりも‥」

   「怖い?」

   ベルが食い気味に言う。

 「そうそう、まぁそんな感じ!」

 カタナも同じような感覚だろう。

 開いた口が塞がらないようだ。

 「よくきたな、ベルの親友たちよ」

 ただのジジイ。

 ゆっくりとした口調に眠気さえ覚えた。
 
 姿は人間だが、ツノが生えてるし、尻尾も生えてる。

 「話とは?」

 ベルが徐に聞く。

 何故、ベルは恐れている?

「お前を読んだのは他でも無い‥」

 数秒の沈黙が続く。

「お前を呼んだのは他でも無い!」

 言い直した!

 このジジイは確実にボケている!

「次の王位を継承する覚悟はあるか!」

「あ、あります!」

「よろしい!」
 
 台本があるのか?

 ことの数秒で話は片付いた。

 部屋を出る時、ハルはサタンに問いかけた。

「やっぱり魔力とか凄いんですか?さっきもほら部屋の前に来た瞬間分かってたし」

「監視カメラね」

「ん?」
 
「ほら監視カメラ。廊下の隅っこに設置してあるの」

「あ、あ、そうですか」

 この父にして、この息子。

 あるな。
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