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第一章 ラウス湖ビジネス編
第十六話 コオウ
しおりを挟む「え?コルシカなのか?」
「分かりましたよ、コオウの正体が!」
「取り敢えず上がれ。上で話そう」
コルシカは必死な形相だった。
その時点から既に悪い予感はしていた。
「人魚族の昔の文献からどうやらコオウは100年前に人魚族の王によって封印されたようです。しかし近年、その効力が切れ、コオウがこのラウス湖に解き放たれてしまったそうです」
「じゃあ、ほぼ今回のターゲットはコオウで間違いないようだな」
「はい、コオウは満月の夜に地上に浮上して、息継ぎをするそうです」
「一ヶ月に一回?満月の夜?それって?」
「つまり明日の夜がコオウが浮上するタイミング。これ以上野に離していては生態系が崩れかねないことを考えると明日がラストチャンスかと‥」
明日がラストチャンスだと?
「ラストチャンスか‥」
もう時間がないじゃないか。
「コオウの弱点は?」
「弱点は正直分かりません。攻撃力はオオメガトロを遥かに凌ぎ、スピードは時速150キロで泳ぐそうです」
もはや弱点はないようだ。
こうなれば今からでも作戦を考える必要がある。
既に今日は終わりそうだ。
夕日は既に沈み、人々は眠りにつく時間。
その上で作戦を明日までに立てるだって?
不可能。
そう不可能なのだ。
堤防の横に生える雑草を千切り、海に投げ捨てた。
「くそ、どうすればいい。どうすればいいんだ」
「取り敢えず落ち着け、坊主」
後ろから聞き覚えのある声。
「お前‥なんでこんな時間に‥」
「いやー、たまたま山を降りてきた時にたまたまお前が堤防に座っていたものだからな」
「ところで人魚のお嬢ちゃん。まだ何か隠していることがあるんじゃないか?」
コルシカは不意を突かれたような顔をした。
「俺だって曲がりなりにも商人だ。顔を見ればその人が何を考えているかなんて手に取るようにわかる」
「本当なのか、コルシカ?」
しばらくコルシカは口を噤んだが、ようやく数秒の沈黙の後な話を始めた。
「実はもう一つコオウについての伝説があります。コオウは満月の夜になると息継ぎをするために水面に浮上してきますが、それと同時に脱皮をするのです」
「脱皮?つまり大きくなるのか?」
空かさずドン・モンテカルロが質問する。
「大きくなるだけならいいのですが、脱皮をしたコオウは地上に上がることができるのです」
「脱皮をする可能性は?」
「恐らくは50%」
「フィフティーフィフティーの確率か」
作戦の立て方も確率によって変わってくる。
ここはかなり大事な要点だ。
「でも‥長い間封印されていたことを考えると、確率は90%はあるのではないかと考えます」
「そうなると作戦は簡単だな」
ドン・モンテカルロは笑みを浮かべて言った。
「現在プラス200万ゼニー」
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