1 / 1
第1話 ALWAYS
しおりを挟む新しいアルバイトが決まった。
特にお金には困っていないが(使い道が見つからない)社会勉強のためと自分を押し殺して応募した。
今日の17時に初出勤か。
あと3時間ある。
家で勉強するもよし、ゲームをするもよし。
昼作ったのは油淋鶏。
母親はパートに、父親は会社に、弟は遊びに。
今のこの家の主は自分だ。
油淋鶏は大学で食べる定番メニューの一つ。
カップラーメンでも全く構わないが、母親の「これからの男は料理が出来なくては」という言葉が脳をかすめる。
冷蔵庫に鳥もも肉800グラムがあるのは前日に確認済み。
片栗粉なども常時あることもわかっている。
いざ作ると最初は簡単だ。
最初は片栗粉を鳥もも肉につけ、油で揚げるだけ。
完成した。
思いの外、綺麗にできたと自負している。
あとで母親に見せるようにスマホで写真を撮る。
大学で食べた油淋鶏にも匹敵する程の出来栄え。
いざ実食。
美味しい。
自分で手間ひまかけて作ったからなのか、はたまた濃い目が好きだからなのか、とにかく美味い。
しばらく食べ進めた。
気づいた時には遅かった。
量が多い。
仕方なく食べれなかった分は小皿に盛り、ラップをかけ、冷蔵庫に入れた。
腹は今にも張り裂けそうなほど重たく、気持ち悪い。
赤ずきんちゃんの狼になったような感じ。
なんとか自分の部屋のベッドにたどり着いた。
やはり気持ち悪い。
徐に棚に綺麗に陳列してある漫画を一冊手に取る。
部屋の目の前にあるトイレに直行する。
既に下半身は裸である。
「ふー」というため息と共にトイレの便器と尻が触れる。
電気はつけない。
トイレ空間は自分にとってサハラ砂漠の真ん中にあるオアシスだ。
この4つの柱に囲まれた空間は自分をどこか違うところに連れて行ってくれる。
虚な目で漫画に目を通す。
部屋でなんとなく読む漫画とはやはり一線を画す。
一通り用を足した。
その後も数分座っているのが、自分ルールだった。
次第にどんよりとした空気が空間内を埋め尽くす。
目頭が次第に重みを増し、体全体がスライムのようにドロドロに溶け始め、床と同化し始めた。
漫画は床に無残に転がった。
ただのアルバイトだが、初回ということもあって、第一印象を大事にしたい。
服はやはり真面目な感じで。
忘れ物が無いことをチェックして、夏の燦々と輝く太陽に打ちつけられながら外に出た。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる