隠密少女は気づかれたいっ!

ぽん

文字の大きさ
60 / 72

60話 魔法で作った氷の味

しおりを挟む
 そうめんを食べた後、私は「もう1回ツンデレって言ったらこの家から追い出すよ!」と言って部屋に戻りすぐに寝た。
 拗ねてるわけでもツンデレってことを認めたわけでもないからね!
 魔法を使った疲れがまだ少し残っていただけだから!



 そして翌朝。
 私は5時過ぎに目が覚めた。
 昨日は夕方もずっと寝てたし、いつもよりも早く寝たからね。

「2人ともおはよ……」

「おはようございます!」

「おはよーほかりん!」

 朝ご飯を食べにリビングに向かうと2人は既に朝ご飯を食べ始めていた。

「私の分……」

「この時間に起きてくるとは思ってなかったから作ってないな。ごめんよほかりん。今から作るから待ってて」

「別に大丈夫だよ。自分で作るから」

 私だって朝ご飯くらい自分で作れるよ。
 パンを焼いてコーヒーを入れて卵を焼く。


 あっという間に完成した。
 味も普通においしい。
 逆にこのメニューを不味くする方法が分からないよ……


 朝ご飯を食べた後、ことりさんは食器とかの片付け、涼っちは灰のダンジョンに行く準備をしていた。
 涼っちは昨日から学校に行く前にダンジョンに行ってレベル上げをするようにしているんだって。
 私だったらそんな早起きできないから無理だね。

 準備ができた涼っちを私は玄関で見送る。
 ちなみにことりさんは今、洗濯物を干してくれているよ。

「サラマンダーには絶対に遭遇しないように気をつけてね! 壁には触れちゃだめだから!」

「分かったよー! ありがと、ほかりん!」 

「それと影操作も使いすぎないようにね!」

「心配しすぎだって!」

 涼っちならそんなことやらかしたりしないとは思うけど、やっぱり心配だよ。

「まあ頑張ってね!」

「うん! 頑張ってくるね! ばいばーい!」

 私は手を振って涼っちを見送った。
 けど、涼っちにそれは見えてない。
 分かっていても少し悲しくなってくるよ。

「いつか普通の生活ができるように私も頑張らなくちゃね!」

 涼っちが家を出た後、私たちもダンジョンに行く準備を始めた。
 骨のダンジョンに行くのが経験値的にはいいんだろうけど、今日は魔法の練習をしたいからゴブリンダンジョンに行くことにした。

 必要なものを【アイテムポーチ】に入れて私は準備おっけー!
 ことりさんは魔法スキルを手に入れたりしていてもう少し時間がかかりそうだ。
 その間に私は魔法を手に入れた時からずっと試したかったあれをしよう!

【ボーンロッド】にはめている魔石をゴブリンキングの魔石からスライムの魔石に取り替える。
 あんな威力の魔法は家では使えないよ。

 そして、魔石を取り替えた【ボーンロッド】で魔法を使い、小さい氷の槍を飛ばす。
 慣れてきたら飛ばさずに作るだけもできそうな気がする。
 まあそれは後で練習するとして、冷蔵庫にぶつかって落ちた氷の槍、このサイズだったら氷の礫かな。
 それを拾ってて水で洗う。

「よーし、できたよ! これで、あとは食べるだけだ!」

 魔法スキルを手に入れた時からずっとしたかったアイス作り。
 魔法でアイスは作れないからかき氷になっちゃうけど、かき氷も好きだから問題ない。

「いただきまーす!」

 そう言って口の中に氷の礫を放り込む。
 そして、1秒も経たずに私は氷の礫をゴミ箱に吐き出した。

「苦っ! 不味っ! おちゃおちゃおちゃ!!!!!」

 私は急いで冷蔵庫にある麦茶を取り出して口の中に注ぎ込む。

「ふぅ、助かったよ……」

 500mlのペットボトルが数秒で空になったけど、ギリギリ助かった。
 ありがとう麦茶。
 君がいなかったらきっと今頃、苦味で悶え苦しんでいたよ。



 それにしても苦かったぁ……
 それにしても不味かったぁ……

 例えるなら、この世の苦い食べ物を全て煮詰めたのを500倍くらい苦くした味がした。
 まあそんな食べ物、食べたことはないけど……

 でも私、前にこんな感じの味がするものを飲んだことならあるよ!
 その飲み物はポーションだよ。
 治癒ポーションだけは苦くないけど、他のポーションはめちゃくちゃ苦い。
 良薬は口に苦しってやつだね!
 まあ今回の氷には何の効果もないけど……

 だけど、味はポーションと似ていたよ。
 ポーションよりも苦くて不味かったけどね。
 例えるなら原液の狩るぴすと原液じゃない狩るぴすみたいな感じかな。
 私にしてはかなりいい例えができたと思う。

 それはいいとして、魔法で作った氷は食べられないことが分かった。
 少し残念だけど、諦めるしかない。
 かき氷は涼っちに買いに行かせるとしよう。

「ことねさん、準備できました! 早速ゴブリンダンジョンに行きましょう!」

 ちょうど試し終わった後にことりさんが来た。

「それじゃあ行こっか!」

 私たちは手を繋いでゴブリンダンジョンに向かった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

処理中です...