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殺人鬼
しおりを挟む「いやぁあああああああああ!!1」
ある幼女が何者かに追いかけられていた。
しかし、今は2100年。時代は進化し、人が住む都市の空中には、微量死サイズのナノマシンが浮遊している。
それにより、あらゆる犯罪行為は瞬時に知られることになっていた。
今も、本当ならば幼女を追いかけまわす人は捕まっていなくてはならない。
しかしそうではなかった。物理的にではなく、法律的にその犯人を捕まえることができないのだ。
そう、その犯罪者の身分だ。
しかし、その者は、お金持ちだからとか権力者の子供だからとか、そういった理由ではない。
人口全体から見れば、ごくわずかな富裕層ではなく、『彼ら』は人口の何割かを締めている層だった。
そう、それは…
追いかけられている幼女は、路地の曲がり角に曲がったすぐの物陰に隠れた。当たりに人影はない。
すたたたたと軽い音を響かせながら、「犯人」が遠ざかっていくのを幼女は認識した。そして胸を落ち着かせた、その次の瞬間
「みーつけたっ★」
「っっっっ?!!」
全く警戒していない頭上から声が聞こえた。先ほどから追いかけられていたその犯罪者、そう殺人鬼の正体は・・
同じく『幼女』である。
そう、子供は逮捕することができない。未熟であり、思慮にかけることから、一定の年齢以下のヒトは、一切警察が関与できないという決まりになっていたのだ。
そして、前述の通り、科学の発達により、あらゆる犯罪はナノマシンにより発見できるようになったおかげで、犯罪者は激減。
その代わりに逮捕されない『子供』が犯罪のサービスをやるというおぞましい事態になっているのである。
その犯罪者の子供を育てるための人間。それは元をたどればだれか大人の犯罪者だとされているが、しかし子供から子供へ犯罪技術を伝達し、その大本をたどることができないというのが現状だった。
それはともあれ、今幼女は、別のいたいけな幼女によって殺されようとしていた。
「やめて・・殺さないで・・」
「ダメだよー?私、大きくなったらお金持ちになって悠々自適な暮らしをするんだもーん!!
だから、今、こんな時代でお金を稼ぐためには人を殺すっていう時代が求める仕事をしないといけないんだー
だから・・死んで?」
「ひぃっ!」
彼女の手にした子供用殺人道具が薄暗い廃ビルの中できらめいた。
それには毒が塗りこんであり、かすっただけでも死亡する危険なものである。
が、その刃先が幼女に届くことはなかった。
「ぐふっ!!」
「・・・・あれ?」
そこにいたのは、全身タイツに身を包んだ巨大な人間。いや、幼女の身長から見れば巨大にみえるかもしれないが、それはいたって平均的な成人だった。彼は振り向いて言った。
「やあ、大丈夫かい?」
「あなたは・・・っ」
その表情はヘルメットに隠れて見えない。だが声からして目の前の殺人幼女よりかは安心できる人物だと死の淵に立たされたものが分かる直感で彼女は理解する。
「大丈夫ですかっ?!」
「ああ、大丈夫。防刃チョッキを着ているからね。それと僕は・・・ぐふふ・・、
そして、目の前の殺人鬼幼女を見る。
「なにー★おじさんだーれ?」
「只の変態不審者さ」
「変態・・?」
「そう、変態だ。
だから、こんな人気のないところで二人も幼女がいるなんて、ラッキーだったよ。ふふふ」
そして、その不審者は手をワキワキさせながら幼女に近づいて言った。
何かを敏感に察した殺人鬼幼女は、一転構成、先ほどの有利が嘘のようにうろたえた。
そう、それは熟練の手つきだった。
「な、なにその手は・・??!」
「分からないかな?わからないかな?」
「はっ?!まさか!」
殺人鬼幼女にも親がいる。親が彼女にこういったのだ。不審者は色々と露出してきたり誘拐したりする精神異常者、社会の敵なのだと。
「あなた!犯罪者ね!!」
「ふふふ、その通りだ。
僕は君みたいな小さな女の子が、大好きなんだよ!!」
「最低・・!!この犯罪者め・・!!死ね!!」
自らの殺人行為は無罪であるとばかりに・・いや、実際法律的にそうなのだが、ともかくそのことをおくびにも出さずに殺人幼女は再び手に持った殺人ナイフを飛び上がりながら突き出した。
先ほどは腰あたりに当たったから防がれたのである。今度は露出の高い手首あたりを狙おうとしたのだ。
だが、しかし相手もプロである。その軽い体をいともたやすく抱きかかえると・・・『やったのだ』。
「なっ・・・?」
何を?そう、こちょこちょである。
「こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ」
「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ」
「こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ」
それは百戦錬磨の手つきだった。
逃れようとも逃れようとも、こちょの手が殺人幼女の体をとらえて離さない。
だが、しかし、それも経った数秒程度の間だけである。
人気のないにもかかわらず、大勢の足音がこちらに近づいてくるのが聞こえた。そして、
「警察だ!!ここで幼女に手を挙げている不審な人物を感知した!!」
「おっと、『もう』か」
「さあ、おとなしく署で話を聞こうか!」
「やれやれ」
そう言ってその不審者は連行されていった。
その、幼女を救ったかに思えたその英雄本人ですらそのことが当然のことのようにすがすがしい顔をしていた。
だが、それに納得いかない顔をしている幼女が一名。
「待ってください!!その不審者は悪い人じゃ・・」
「いや、良いんだ」
「でも・・!」
その不審者の、いや、英雄の次の言葉が今でも忘れられなかった。
この世界は生贄を欲している。
それがさっきは君だった。
かわいい女の子をエサにしてこの世界は成り立っている。
この世界は・・邪悪だ。
その運命を、俺が捻じ曲げてやった。
だから僕は、無敵であり、絶対的正義なんだ。
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