20 / 33
教育の限界
しおりを挟むある村では、戦闘要員を育て上げ、それを輸出することによって成り立つ経済があった。
そう、日本でいう忍者村であるが、この形態の村は意外と世界にあり、その村もその一つだった。
そしてある日、特異な子供が生まれた。
「おい」
「・・・」
「いつまで寝てるんだ」
「・・・・・・・」
親は子供が寝転がっているのを見かねて注意した。この年になると皆戦闘訓練の基礎を行うものだ。しかしその者は寝っ転がって寝ているようだった。親は無理やりそのものを起こした
「おいったら!!って」
眼を見開いた。
子供は死んでいるかのように目を開いたまま動いていないのである。
「し、死んでる・・・?!」
うわぁああああ!!と叫んでいたが、しかし
「ん?なんだ親か。どうした?」
「どうしたじゃない!!」
どうやら眠っていたようだった。
安心したが、しかし戦闘訓練に参加せずに眼を開けたまま眠る癖は治らなかった。そして、
「とうとうこの日が来てしまったか・・」
とうとうその者の眠る癖は治らなかった。そして16歳のこの年、風習で里を出て仕事を行うということをしているのだ。そのためには戦闘訓練が必要になってくるのだが・・当然眠っているこの子は途中で死んでしまうだろう。
だが、そのことについて親は
「まあいいか。無理やりやらせようとしても動かないほどだったし、俺は悪くない俺は悪くない」
そういって次の子供を育てることのできるメンタルの持ち主だった。
「おい!起きろ!!約束通り、この年になったら一人前になるために仕事をしてもらう!」
実際に戦闘を魅せたり殺されるところを見学させたりして、お前もこうなると脅していたのだが、この年になるまで結局眠ったままである。
「いつもの調子でも無理やり外に置き去りにするからな!!」
そう、親はいつもの調子で眠り続けると思っていたのだ、だが結果は予想と反していた。
「そう、じゃあ行ってきます」
「え?」
そうして子供は立ち上がって素直に里の門から外へとイッテシマッタ。
「どういうことだってばよ・・」
子供、いや少年は一度も歩いたことがなかったのだ。それがいきなりあのように動けるようになっていたとは。そして動転して分からなかったが、少年のその歩きは達人のそれを凌駕していたのだ。
途中、他の同学年の子がちょっかいを掛けてきた
「おい、てめぇこの年になるまで眠ったままだったみたいじゃねぇか」
「前々から見てて腹が立ってたんだ。この際だからここらへんで死んでくれや」
「どうせ訓練もろくにしていなかったんだ。どうせお前はいつか任務中に死ぬだろう。その前に殺してやる。感謝しろよ」
そういって、培ってきた技を試したくて仕方ない物たちが、少年たちに詰め寄っていく。
「おい、辞めろよ・・!」
正義感を持ったものもいたが、大抵は通り過ぎるだけだった。この世界は他人のことに気を回す分自分が危険になるのだ。正しい判断といえるだろう。だが、そのものの杞憂に終わった。
「しにさらぇえええ!!!」
向かっていった同学年の子三人に対して
ごきっ!!
「「「え?」」」
少年は一瞬でカウンターを入れていた。
「ど、どういうことだ・・?!」
「貴様は生まれてから一度も剣を振るったことがなかったはず・・」
「それなのになぜそこまで動ける?!」
そして少年は種明かしをした。
「簡単な話だ。この世界は動くのに時間とえねえるぎーがかかる。しかし、考えることならどうだ?考えるだけならコストは最小限。しかも慣れてくると並列したり、高速化したり思いのままだ。実際に動くよりも動きを考えることによってお前らよりも効率的なレベリングをしていたんだよ」
「何?!」
もちろん誰でもできることではなかった。この村では訓練やトレーニング法がしっかりと確率して、それがかなりの成功を掴んでいるがゆえに、それをさらに発展していくことをしてこなかったのだ。しかし少年は一瞬でそれよりも効率的な訓練法を編み出し、この年になるまで愚直に行ってきたのである。それには並大抵の精神力が必要だった。何より新しいことをするというのは、無駄になるかもしれないということだ。すなわち今までやってきたことが無駄になるかもしれないという恐怖。それにより少年と同じことができるものはいないだろう。
ひいひいの体で帰っていく三人をしり目に、見ていたものが近寄ってきた。
「すごい、すごいよ!!●●くん!!」
「なんだてめぇは」
「その方法僕にも押しええよ!!」
「ふっ、無理だな。」
「!!なんでさ?!」
才能が違う、とか、努力の量が違うとか、そういうことを言うと思っていた。しかし違った。
「『方法』、っていうのは、今オレが言ったことがすべてだからだ」
「え?」
「つまり、方法は、今言った通り、『動きを考えて高速並列化する』」
「え?それだけ?ほらもっとコツとか・・」
「以上だ」
「・・・・」
それができれば凡人も天才になれるとばかりに少年は言った。
だが、それはほとんど、もう一方の少年にとっては、才能と努力がすべてと言っているようなものであった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる