『異能』に目覚めたら『異世界』に行ってください

プリンカツ丼

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第一話 『普通』の『日常』

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 「もうすぐ卒業だね」

 この、最寄りの中学の制服を着て学校へ向けて歩いている少女は、
音無おとなし 舞花まいかだ。

 一言で言えばゆるふわ系女子が相応しい。

 黄金色の髪の毛を首から肩までふわっとウェーブさせ学校指定の冬用のセーターの袖を掌の半分まで伸ばして萌え袖にしている。

 しかし、体躯の中でも、ひときわ目立つのは、胸である。中学生三年生にしては、いくら成長期といっても育ちすぎな胸を揺らしながら舞花が喋りかけるその先に

 「ん? ああ、そうだな」

 素っ気なく舞花にポケットに手を突っ込みながら歩き返答を返す少年。小鳥遊たかなし 龍華りゅうかだ。
二人は幼馴染で家は隣同士なのだ。

 龍華は、一言で言えばめんどーくさがりだ。

 学校指定の制服をだらしなく着て。
黒い髪の毛は、起きたまんまの寝癖で逆立っている。

 こんな彼でも運動神経は抜群だし、
頭もいいのだ。現に高校のスポーツ推薦を受けている。

 「もう! 華ちゃんってばぁ! 素っ気ないんだから!」

 「そんなに怒んなよな。はい弁当」

 龍華の素っ気ない返答に怒った舞花をなだめるようにして毎日の日課の龍華お手製手作り弁当をカバンから出し手渡す。

 「わぁ~。ありがと~」

 萌え袖をお皿にしてその弁当を受け取ると舞花は、ぱぁっと顔が明るくなり無邪気な笑顔を龍華に向ける。

 「お、おう……」

 その、反応を確かめるようにして龍華は横目でチラチラと舞花の顔を見る。
 
 そう、龍華は、幼馴染である舞花に恋をしているのだ。

 ちなみに舞花も、龍華の事が好きだ。

 つまり、両想いの関係なのだがお互い気づいていな。

 しかし、お互い想いを伝えられない。そんなお年頃なのだ。

 「華ちゃんって、高校どこに行くの?」

 「んー? めんどーくさいから推薦が来てるところにするつもりだ」

 「へぇ~。一緒の所に行こう………」

 「ん? なんか言ったか?」

 「えっ?! な、何にも言ってないよぅ?」

 「ふーん」

 こうして毎日の登校の時間が過ぎ、同クラスでの授業を終え帰路につく。

 そういう普通の日常。

 しかし、その毎日の当たり前で普通の日常は、崩れ去って行く。
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