転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

文字の大きさ
115 / 533
6章

第一村人発見

しおりを挟む


 それから森の中を移動しながら三日ほど滞在した。その間、グレンはジルベルト君を連れ回して主に狩りをして食肉を確保してきて、ネラース達は素材を痛ませないように手加減して攻撃する練習に精を出していた。
 クラオル達は私のために木の実集めをしてくれて、各々おのおの森を満喫してすごした。
 グレン達のストレスが発散されたところで当初の目的地であった村にまた数日かけて向かう。

 騎乗しているとネラース達が目立つため、村が目視できるくらいの場所で馬車に乗り換えた。
 馬車を引くのは本人の希望でニヴェスに決まった。一人で重くないのか聞いてみると、軽量化されているから余裕らしい。
 ニヴェスが速度の調節なんかも全部やってくれるから御者は格好だけ。私がやっても良かったんだけど、ジルベルト君がソワソワしていたのでお願いした。
 グレンや私がやるよりも人と話すことを考えるとジルベルト君に頼んで正解だったかもしれない。私はイマイチこの世界の常識を把握しきれていないし、グレンはケンカを売っていると誤解されかねない。

 村が近いのですぐに出られるようにワンルームマンションの空間には入らず、普通に馬車の中で窓から様子を窺う。
 村の入り口でジルベルト君が第一村人と何か話しているけど、村人は疲れてそうに見えた。

 御者席の後ろに付いているドアからジルベルト君が中に入ってきて説明してくれたのは、村がアーマーウルフに襲われて働き手である男性が死傷。村は貧しく冒険者ギルドに依頼を出す余裕も、切羽詰まった状況では日数的な余裕もなく、動ける村人でなんとか一匹を仕留め、他は追い払ったが私達を泊める余裕はないとのことらしい。

「なるほど。ある意味テンプレだね」
「テンプレでございますか?」
「なんでもない! 私が出て話してもいいかな?」
「大丈夫だと思います」

 異世界物の話によくある、貧しい村を襲った魔物を倒して助けるパターンを思い出して声に出してしまっていたらしい。
 焦って話題を変えたけど、特に追求されなくて助かった。

「こんにちは」
「また一段とちっこい子供だな。その坊主に話した通りだ。村人のメシすら危ういのに旅人を泊める余裕なんかない。他を当たってくれ」

 挨拶に反応してくれたのは、村の門を警備しているという三十代と思わしき男の人だった。安っぽい皮の鎧を着ていて、疲れを滲ませていた。

「ねぇ、お兄さん。ケガ人はどれくらいいるの?」
「ん? 軽いケガから動けないやつを合わせたら二十人以上だ。わかったなら……」
「ねぇ、お兄さん。取り引きしよ?」
「あ゛? ガキが何言ってやがる」

 言葉遣いが荒くなったお兄さんに商業ギルドのギルドカードを見せると目を丸くして驚かれた。

「これ私の商業ギルドカードだよ」
「何が目的だ?」
「私達が泊まる場所。ご飯もいらない。その代わりに私がポーション渡すよ」

 お兄さんが怪訝けげんそうに見てきたので、「お兄さんにはサービスです」と一番効果の弱いポーションを渡した。お兄さんは少し悩んだ後、意を決したようにポーションを一気飲みして、「確認を取ってくるから待ってろ」と言い残して村の中に入っていった。

〈わざわざ村の中に泊まらなくてもいいんじゃないか?〉
「ふふふ。甘いよ、グレン! この村の特産品を安く売ってもらわないと」
「特産品とは村の周りの畑にあった農作物ですか?」
「ジルベルト君大正解! あれは枝豆だと思うの! ちゃんと見ないとわからないけど……」

 みんなと話していると、門番のお兄さんが戻ってきた。

「村長から話があるそうだ。滞在したいなら来い」
「はーい!」

 再び馬車に乗り、門番のお兄さんの案内でここソイヤ村の村長の家に向かう。
 村の道は広く馬車は楽々通れているけど、全体的に殺風景だ。必要なもの以外ない感じ。
 家は木造の平屋タイプで修復した跡があちこちにあり、出歩いている村人はいない。各家に人がいる気配はするから疲れた体を休めているか、ケガ人のお世話をしているんだろう。
 村が貧しいと言うのは本当だと思う。なんというか村全体の雰囲気が暗く、重苦しい。半数くらいがケガをしているせいかもしれないけど。

 村長の家は村の中では一番大きく、唯一の二階建てだった。
 何もないとは思うけど、一応ニヴェスに馬車をお願いして村長の家に入ると、迎えてくれたのはバーコード頭のおじさんだった。
 簡単に自己紹介をすると、私が商人であることに驚かれた。どっかの金持ちの気まぐれだと思っていたらしく、五歳児の私に謝ってくれた。

「アーマーウルフを追い払いましたが、いつまた襲われるかわかりません。村人は疲弊ひへいしており、次襲われたらどうなるのかわからないのです。ポーションを渡してまでこの村に滞在するなんて、とても商人様に利があるようには思えません」
「うーん。なら正直に話すよ。私は村の周りで作られている農作物が欲しいんだよね。すごく美味しそうなんだもん」
「へ?」

 綺麗事を並べるのは得意じゃないので、欲望をそのままクチに出すと村長さんはポカーンとクチを開けて固まってしまった。
(固まる要素なんかなかったと思うんだけど……)
 声をかけながら村長さん顔の前で手を振ると、意識が戻ってくれた。

 この村ではあの農作物は成長サイクルが早く一ヶ月ほどで収穫できるけど、一般的には食べられていないんだそう。
 村人はほぼ自給自足の生活で、通貨を得るために男性は狩りを女性は小物を作って売っているらしい。魔物の素材や小物を売ったお金で小麦や生活に必要なものを買い、あの農作物は小麦が買えなかった時の非常食として村で備蓄されているとのことだった。

「えぇー! もったいない! 買い占めたいくらいだけど、保存状態がわからないから見てからかなぁー。とりあえず、私達を泊めてくれるってことでいい?」
「わかりました。準備しますのでお待ちいただいてもよろしいでしょうか?」
「うん。じゃあその間に村人にポーション飲ませてくるよ。商人は信用第一だからね! 先に回復した方が安心できるでしょ?」

 村長との話しを見守っていた門番のお兄さんに案内をお願いして、ケガ人がいる家に向かう途中でお兄さんに話しかけられた。

「今までも何回か行商人が来たことがあるが、買い取っていったのは魔物の素材だけだ。他のものは何一つ見向きもせず、さっさと帰った。他の行商人も同じようなもんだ。一度来たら二度は来ない」
「そっかー」
「アンタの目的はなんだ?」
「ん? あの農作物が欲しいんだって。私の予想通りで保存状態が良かったら全部買い占めるから安心して!」
「え……いや、そういう意味じゃ……」

 握りこぶしを作って鼻息荒くお兄さんに言ったあと、頭の中が枝豆のことでいっぱいになった私にはお兄さんの呟きは聞こえなかった。
 枝豆をさらに成長させて乾燥させたら大豆だけど、どれくらいで収穫しているのかはわからない。備蓄していると言っていたから大豆だったらいいなと思う。

 ケガ人の家に着くまで、枝豆と大豆料理のことしか考えられなかった。
しおりを挟む
感想 1,816

あなたにおすすめの小説

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

お掃除侍女ですが、婚約破棄されたので辺境で「浄化」スキルを極めたら、氷の騎士様が「綺麗すぎて目が離せない」と溺愛してきます

咲月ねむと
恋愛
王宮で侍女として働く私、アリシアは、前世の記憶を持つ転生者。清掃員だった前世の知識を活かし、お掃除に情熱を燃やす日々を送っていた。その情熱はいつしか「浄化」というユニークスキルにまで開花!…したことに本人は全く気づいていない。 ​そんなある日、婚約者である第二王子から「お前の周りだけ綺麗すぎて不気味だ!俺の完璧な美貌が霞む!」という理不尽な理由で婚約破棄され、瘴気が漂うという辺境の地へ追放されてしまう。 ​しかし、アリシアはへこたれない。「これで思う存分お掃除ができる!」と目を輝かせ、意気揚々と辺境へ。そこで出会ったのは、「氷の騎士」と恐れられるほど冷徹で、実は極度の綺麗好きである辺境伯カイだった。 ​アリシアがただただ夢中で掃除をすると、瘴気に汚染された土地は浄化され、作物も豊かに実り始める。呪われた森は聖域に変わり、魔物さえも彼女に懐いてしまう。本人はただ掃除をしているだけなのに、周囲からは「伝説の浄化の聖女様」と崇められていく。 ​一方、カイはアリシアの完璧な仕事ぶり(浄化スキル)に心酔。「君の磨き上げた床は宝石よりも美しい。君こそ私の女神だ」と、猛烈なアタックを開始。アリシアは「お掃除道具をたくさんくれるなんて、なんて良いご主人様!」と、これまた盛大に勘違い。 ​これは、お掃除大好き侍女が、無自覚な浄化スキルで辺境をピカピカに改革し、綺麗好きなハイスペックヒーローに溺愛される、勘違いから始まる心温まる異世界ラブコメディ。

4/10コミック1巻発売!【完結】魔王様、溺愛しすぎです!

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
ファンタジー
2026/01/20追記 『魔王様、溺愛しすぎです!』のコミカライズ情報、解禁となりました! TOブックス様から出版、1巻が4/10発売予定です。 キャラクターデザインに『蒼巳生姜(@syo_u_ron)』先生! 以前表紙絵をお願いした方です(*ノωノ) 漫画家は『大和アカ(@asanyama)』先生です° ✧ (*´ `*) ✧ ° 連載については改めて発表させていただきますね_( _*´ ꒳ `*)_ 「パパと結婚する!」  8万年近い長きにわたり、最強の名を冠する魔王。勇者を退け続ける彼の居城である『魔王城』の城門に、人族と思われる赤子が捨てられた。その子を拾った魔王は自ら育てると言い出し!? しかも溺愛しすぎて、周囲が大混乱!  拾われた子は幼女となり、やがて育て親を喜ばせる最強の一言を放った。魔王は素直にその言葉を受け止め、嫁にすると宣言する。  シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。 【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう 【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264) 挿絵★あり 【完結】2021/12/02 ※2026/01/20 1巻発売日(4/10)発表! ※2025/12/25 コミカライズ決定! ※2022/08/16 第3回HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門 一次審査通過 ※2021/12/16 第1回 一二三書房WEB小説大賞、一次審査通過 ※2021/12/03 「小説家になろう」ハイファンタジー日間94位 ※2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過作品 ※2020年8月「エブリスタ」ファンタジーカテゴリー1位(8/20〜24) ※2019年11月「ツギクル」第4回ツギクル大賞、最終選考作品 ※2019年10月「ノベルアップ+」第1回小説大賞、一次選考通過作品 ※2019年9月「マグネット」ヤンデレ特集掲載作品

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。