転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

文字の大きさ
121 / 533
6章

しおりを挟む


 今日も雨が止んでおらず足止めだ。
 結界内は雨を弾くので最初は昨日作ったフライングディスクで遊んでいたものの、午後にはグレンに限界が訪れた。

〈あぁー! 暇だ!〉
「リバーシも飽きた?」
〈飽きてはいないが、違うことがしたい〉
「うーん……なにか暇つぶしってことでしょ?」
〈よし! ちょっと狩りに行ってくる〉
「えぇ!? 風邪引いちゃうよ?」
われはそんな軟弱ではない。肉を狩ってくる〉

 私が引き止める前に素早く馬車から飛んでいってしまった。

『あらら……。主様は気にしなくて大丈夫よ。風邪を引いたら自業自得だわ』
「でも外雨すごいよ?」
『大丈夫よ。放っておきましょ? 気が済んだら帰ってくるわ』
「うん……」

 グレンに念話で雨は大丈夫か聞いてみるとテンション高めで大丈夫だと返ってきた。なにかあったら念話で知らせるように言い、念話が終わった。

「じゃあ、私はトマトペーストと水煮の作り置きでも作ろうかな? ジルベルト君はどうする?」
「何かお手伝いすることはありますか?」
「特にないかな?」
「でしたら本をお借りしてもよろしいでしょうか?」
「いいよー。何系がいい?」
「植物や魔物の本をお願いいたします」
「はーい」

 ジルベルト君に本を十冊ほど渡して、私はキッチンに向かう。
 ポラルとプルトンはリバーシに夢中で、ネラース達は小さいサイズでじゃれあって遊んでいる。
 私はクラオルとグレウスとエルミスに手伝ってもらいながら作り続けた。


〈((セナ! 取ってきた!))〉

 キッチンで作業に熱中していると、グレンから念話が届いた。
 ドアを開けて馬車の外に出ると、グレンは上半身裸で頭をタオルで拭いていた。

「風邪引いちゃうでしょ」
〈お。助かる。それよりいいものを狩ってきたぞ!〉

 【ドライ】をかけて乾かしてあげると、グレンはニヤリとなにかの山を指さした。

「これは?」
〈これはレニーレムマッシュだぞ!〉
(レニーレムマッシュってなんだっけ?)
「レニーレムマッシュは雨の日にしか現れない魔物で、とても珍しいと言われています。地域によっては幸運の象徴とされ、遭遇すれば女神に愛されると伝えられていたりします。そして、食べても美味しく、薬にも使われるため素材としてはとても高級品として取引されています」
「おぉー! さすがジルベルト君。めっちゃわかりやすい!」

 わかっていなかった私にジルベルト君が丁寧に説明してくれた。
 レニーレムマッシュは体長一メートルほどで、見た目は椎茸の傘が逆さまバージョン。は薄い水色で傘は深緑色。なぜかから短い手足が生えている。

(女神に愛されるなんて怖すぎる! イグねぇだったらウェルカムだけど、パナーテル様はズレてるからな……ぶっちゃけロクなことにならなさそうだから関わりたくないんだよね)

「キノコの着ぐるみみたい。いや……あの有名キノコ会社のキャラクターみたいだわ。キノコなのに魔物なの?」
〈これは雨の日にどこからか現れる。生体は解明されていないはずだ〉
「なにその謎に満ちてる感じ」
〈嬉しいか?〉
「うん。グレン、ありがとー!」

 美味しい食材は大歓迎だ。何を作るか考えながら隣りにしゃがみこんだグレンを撫でてあげると、とても満足そうだった。
 12体ものキノコの魔物を回収して、早速馬車の付属ワンルームマンションへ。

「グレンがせっかく持ってきてくれたから、あのキノコで夜ご飯作ろうかな。って大きいな……」

 四苦八苦しながら風魔法でカットして、まな板に置けないのはひとまず無限収納インベントリにしまった。
 久しぶりに料理アプリの助けを借りつつ、鼻歌を歌いながら料理を作っていく。
 全部を作り終わったころには、だいぶ時間が経っていた。

「できたよー!」
〈レニーレムマッシュか?〉
「そうだよー。炊き込みご飯、お味噌汁、キノコの和風ステーキ、豚肉巻き、バター醤油炒め、ピリ辛炒めでーす!」
〈おぉ! 全部美味そうだ!〉

 私が作ったのは全部キノコ料理。
 グレンだけじゃなくて他のみんなも目を輝かせている。
 いただきますと食べてみると……

「なにこれ! 超美味しい!」
〈やはり美味いな!〉
『美味しいわ!』
『んん~!』

 味は、しめじとエリンギを足した感じだけどそれより断然美味しく、香りは松茸みたいだけど遥かにいい香りで、食感はエリンギに似ていた。味も香りも今まで食べたことのあるキノコのなによりも美味しい。
 あまりの美味しさに元々ない語彙力がさらになくなって“美味しい”しか言えなくなってしまう。
 みんなも声を上げるくらい美味しいと思ったらしい。

「んもう、なんて言っていいかわかんないくらい美味しいー!」
〈セナ! おかわり!〉
「はーい。ジルベルト君は? 遠慮しなくて大丈夫だよ」
「はっ、はい。お願いいたします」
「はいなー」

 みんなでおなかいっぱいになるまでキノコ祭りを満喫すると、残ったのは炊き込みご飯が少しだけだった。

「ふぅ。おなかいっぱい。超美味しかったねぇ。まだ残ってるけど、また遭遇したらぜひ狩ろう!」
〈だろう? これはわれも中々遭遇したことがないからな〉
「秋の季節の方に行ったら遭遇しやすいとかないかな?」
〈なぜだ?〉
「ん? あーっと……キノコって秋のイメージがあるからさ」
〈あぁ、なるほど。そういうことか。われはそんな話しは聞いたことがないが、セナが言うならありえるかもな〉

 グレンは私が言いたいことがわかったのか深くつっこんで聞いてこなかった。
(いつかジルベルト君にもちゃんと話せたらいいいな)

 おなかも満足したのでグレンとジルベルト君が一緒にお風呂に入りにいった。
 私は片付けをしてからグレン達のあとにお風呂に向かう。

「ちょっと待ってね。コテージのパパ達のロッカーに炊き込みご飯のおにぎり置いてきたいんだ」
『わかったわ。神達の取って置いてたのね』
「そうそう。グレンが絶賛してたから、パパ達も食べたいかと思って先に確保してたの。よしっ!」

 洗面所からコテージに移動して全員のロッカーに入れたら、マンションの方に戻ってお風呂に入る。
 ニヴェスは昨日入ったけど、ネラース達はお風呂に驚いていた。
 モフモフを堪能しながら洗ってあげて、みんなでバスタブに浸かる。
 ネラース達もお風呂が好きになってくれたみたい。

 今日はミニサイズのネラース達のモッフモフに包まれて幸せな微睡みに沈んだ。

しおりを挟む
感想 1,816

あなたにおすすめの小説

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

お掃除侍女ですが、婚約破棄されたので辺境で「浄化」スキルを極めたら、氷の騎士様が「綺麗すぎて目が離せない」と溺愛してきます

咲月ねむと
恋愛
王宮で侍女として働く私、アリシアは、前世の記憶を持つ転生者。清掃員だった前世の知識を活かし、お掃除に情熱を燃やす日々を送っていた。その情熱はいつしか「浄化」というユニークスキルにまで開花!…したことに本人は全く気づいていない。 ​そんなある日、婚約者である第二王子から「お前の周りだけ綺麗すぎて不気味だ!俺の完璧な美貌が霞む!」という理不尽な理由で婚約破棄され、瘴気が漂うという辺境の地へ追放されてしまう。 ​しかし、アリシアはへこたれない。「これで思う存分お掃除ができる!」と目を輝かせ、意気揚々と辺境へ。そこで出会ったのは、「氷の騎士」と恐れられるほど冷徹で、実は極度の綺麗好きである辺境伯カイだった。 ​アリシアがただただ夢中で掃除をすると、瘴気に汚染された土地は浄化され、作物も豊かに実り始める。呪われた森は聖域に変わり、魔物さえも彼女に懐いてしまう。本人はただ掃除をしているだけなのに、周囲からは「伝説の浄化の聖女様」と崇められていく。 ​一方、カイはアリシアの完璧な仕事ぶり(浄化スキル)に心酔。「君の磨き上げた床は宝石よりも美しい。君こそ私の女神だ」と、猛烈なアタックを開始。アリシアは「お掃除道具をたくさんくれるなんて、なんて良いご主人様!」と、これまた盛大に勘違い。 ​これは、お掃除大好き侍女が、無自覚な浄化スキルで辺境をピカピカに改革し、綺麗好きなハイスペックヒーローに溺愛される、勘違いから始まる心温まる異世界ラブコメディ。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。