転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

文字の大きさ
125 / 533
6章

魔物にだって好みがある

しおりを挟む



 いつものように結界を張るわけにもいかず、朝起きてニヴェスに確認するとプロンバットというコウモリ型の魔物がチョロチョロと襲ってきたらしい。
 主におばさんの馬車の方が襲われていて手伝ったらしく、ニヴェスが倒したプロンバットの小山ができていた。
 それを聞いてグレンが首を傾げた。

「どうしたの?」
〈プロンバットはこんな平地には普通はいない。森ならまだわかるが、洞窟や山に生息していることの方が多かったはずだ〉
「そうなんだ。もうすぐ街なのにおかしいね」

 グレンの言葉も気になるし護衛さん達のことも気になるので、今日は私も御者席に座った。
 ジルベルト君と並んで護衛さん達を見ていると、やはり疲れているらしい。

「なんだろう。なんか引っかかるんだよねぇ……あ、ゴブリン二体。周りにはいないからハグレかな?」
「おそらくは。しかしなにかおかしいですね」
「ジルベルト君もそう思う?」
「はい。ですが、何がおかしいのかはハッキリわかりません」

 ゴブリンは護衛さん達が退治したので私達が出ることはなかった。

「ん? また魔物……今度は鳥だね」
「あれは、プレリーホークですね。平地にも出る魔物です」
「上からかぁ。しかも一匹……真っ直ぐ向かってきてるし撃っちゃおう」

 弓を構えて、前ではなく横に落ちるように撃ち落として回収しておく。
 結局その後二回ほど弱い魔物と遭遇して、護衛さん達が狩っていた。

 やっぱりおかしいと、お昼ご飯のスープを配るときに護衛のリーダーを呼び出して聞いてみることにした。
 おばさんは幌馬車の中でご飯を食べるらしく、降りて来ていないので今がチャンスとリーダーを手招きして呼ぶ。

「ねぇ、お兄さん。ずっとこんな感じで魔物と戦ってたの?」
「あぁ。あんた方が助けてくれた盗賊以外は強いのは出てきていないが、頻度は高いな……夜は確実に戦闘になるからちゃんと休めていなくて盗賊に遅れを取っちまった。あんた方が来てくれて助かったよ。夜も助けてもらったしな。感謝している」
「いや……お礼を言って欲しかったわけじゃないから大丈夫。教えてくれてありがとう。スープできたからみんなで飲んで」
「感謝する」

 リーダーは疲れを滲ませていたもののまだ大丈夫そうだけど、他のメンバーは眠いのか目をシパシパしていた。
 あと数時間だろうから、倒れるとかはないと思う。

 お昼ご飯を終え出発すると、前方には何組か冒険者のグループがチラホラ見えてきた。

「もう魔物は現れなさそうですね」
「そうだね。気配もしないし大丈夫だと思う」

 二時間ほどで街に着き、街の門前にできていた列に並ぶ。
 カリダの街では並ばなかったけど、この街は訪れる人が多いみたい。
 ギルドカードを掲示して犯罪の有無を確認する水晶に手をかざし、馬車の中のチェックを受けて街に入った。
 盗賊達は門で待機していた騎士団に引き取られるらしく、護衛さん達が説明していた。

「恩人方はこのまま商会の方へ来ていただいてもよろしいですか?」

 おばさんに付いていた執事のおじさんに言われて、護衛さん達はどうするのか確認すると、護衛さん達はギルドへ報告に行くらしい。

「あんた方のスープ美味かった。助けてくれてありがとう。また会ったら今度何か奢らせてもらうよ」
「ふふっ。ありがとう。楽しみにしてる」
「おう! じゃあな!」

 護衛さん達と別れておばさんの馬車にそのまま付いていくと、着いたのはでっかいやしきだった。パッと見では商会には見えず、豪華な貴族の家みたいだ。
 おばさんは馬車から降りて、荷物を下ろすように指示したあと、私達の馬車の方まで歩いてきた。

「ぜひ中へお願いしますわ!」
「馬車はどこに置けばいいんですか?」
「はっ! そうですわね。気が急いて失念しておりました。ダーリ!」
(ダーリン!?)

 おばさんが呼んだのは先程の執事だった。

「ダーリ! 馬車置き場に案内して差し上げて」
「かしこまりました。コチラへどうぞ」

 執事に付いて馬車置き場に案内してもらうと、ニヴェスは馬車を守ると待っていてくれることになった。一応軽めな結界を張って、何か起きそうなら念話を飛ばすようにニヴェスにお願いした。
 再び執事の案内の元、邸の玄関に向かうとおばさんが待っていた。

「どうぞ中へお入りになって!」

 おばさん自らの案内で玄関を入ると、思っていたよりもしっかりと商会らしかった。
(もっと成金っぽいかと思ってたよ)
 そのまま応接室に案内された。

「昨日は助けていただいてありがとうございますわ。そのままで申し訳ありませんが、先に護衛の報酬をお渡ししますわね」

 おばさんが手を二回叩くと女中さんと思われるメイド服を着た女性が小袋をトレイの上に乗せて入ってきた。

「こちらをお受けとり下さいまし」

 小袋の紐を緩めて中を見てみると金貨五枚が入っていた。

「多くないですか? たった一日だけ。しかも私達はほとんど魔物と戦っていません」
「命の恩人ですもの! これくらいは当たり前ですわ! 正直、今回の旅は魔物との遭遇率が高くまいっておりましたの。護衛を頼んだ冒険者も疲れており、そこへあの盗賊ですわ! 護衛の冒険者も疲れているのがわかったので、彼らの安全のためにも、どうしてもご一緒して欲しかったのですわ。ですから、これは正統な報酬ですわ!」

 語尾の“ですわ”が気になってあまり内容が入ってこないけど、特に他意はないみたいなので受け取ることにした。
 そしていい人だったらしい。おばさんではなく、ちゃんとタルゴーさんと呼ぶことにしよう。

〈ふむ。呪いの魔道具でも持っているんじゃないのか?〉
「呪いの魔道具?」
〈その名の通り呪われている、もしくは呪いの効能を持った魔道具だ〉
「そんなもの持っておりませんわ!」
「奥様! もしかしたら今回仕入れた中にあるのでは? きちんと鑑定しておりませんよね?」
「……」

 指摘したグレンに叫ぶように否定したタルゴーさんに、見守っていた執事が声をかけるとタルゴーさんは黙ってしまった。

「そうね。そうだわ。鑑定していない物も多いわ……鑑定士は?」
「本日休みとなっており、三日後に来る予定になっております」
「なんてことなの!? どうしましょう! 呪いの魔道具があるなんて仕入れた物をさわれませんわ!」

 タルゴーさんは執事のおじさんとどうするか相談し始めてしまった。

「((ねぇ、グレン。呪いの魔道具のせいだとしたらこの街危ない?))」
〈((なんとも言えん。道中のような弱い魔物ならば害はないと思うが、無作為に魔物を呼び寄せるとしたらそこそこくらいのが街を襲うかもしれん))〉
「((なるほど……))」

 私が鑑定した方が早そう。冒険者に依頼するとしても隠蔽でもかかっていたら見破れないかもしれない。王都ではそれで私が鑑定頼まれたわけだし。
 街では買い物もしたいし、私達が滞在中に襲われるとかは止めていただきたい。

「わかりました。私が鑑定します」
「「え?」」
「その代わり、目立ちたくないので内々に処理してください」
「え……鑑定、できるんですの?」
「はい。これ、ギルドカードです」
「まぁ! 本当だわ! セナ様とおっしゃいますのね! 商業ギルドに登録しているなら安心して任せられますわ!」

 タルゴーさんのテンションが上がり、仕入れてきた物が置いてある部屋に案内された。
 タルゴーさんの好みなのか今回の仕入れの系統がそうだったのか、箱の中にはアクセサリーがいっぱい詰まっていた。

 鑑定を始めると呪いの魔道具はすぐに見つかった。モヤっとするゴテゴテした装飾に大きな石の付いた指輪を見つけて、鑑定したらビンゴだったのだ。
 鑑定結果は……魔物に好かれる指輪。指輪の持ち主に好意を抱く魔物を引き寄せるらしい。
 タルゴーさんはハツラツとしているけど、おそらく五十代。人によっては熟女と言いそうな年齢だ。つまり寄ってきていた魔物はおば好みだったということ。
 呪いではないけど、それに近いものがある。

「えっと……見つけました」
「本当ですか!?」
「ええ。これです」
「この指輪が……どういった効能なのでしょうか?」

 タルゴーさんがちょうど席を外していたので執事のおじさんに教えてあげると、なんとも言えない表情になってしまった。
 うん。あのタルゴーさんにどう説明しようか考えちゃうよね。気持ちすごくわかる。

「とりあえず指輪自体は安全なことがわかりましたので、教会に頼んで封印してもらいます。冒険者の手に渡らなくてよかったです」
「そうですね」

 冒険者はこんな邪魔になる指輪はいらないと思うと思ってしまったのは内緒だ。

しおりを挟む
感想 1,816

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。