転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

文字の大きさ
127 / 537
6章

報酬は



 タルゴーさんが報酬を用意してくれている間に、応接室で執事のおじさんが淹れてくれた紅茶を飲んでいると執事のおじさんに話しかけられた。

「セナ様は冒険者ギルドにも登録しておられるのですね。拝見させていただいたギルドカードは行商人となっていましたが、何を取り扱っていらっしゃるのですか?」
「んー。何でも屋みたいな感じですね。雑貨や工芸品もありますが、魔物の素材がメインですかね」
「工芸品ですか……見せていただいてもよろしいでしょうか?」

 嘘ではないけど、本当でもない……行商なんかしていないから誤魔化しながら返すしかなかった。
 見たいというのでソイヤ村で女性陣から買った小物をテーブルの上に並べると、執事のおじさんはソファに座ってルーペのようなもので細部までチェックし始めた。

「これは……申し訳ございませんが、これはどちらで?」
「ソイヤ村です」
「ソイヤ村……何もないところだと思っておりましたが、このようなものもあったのですね。セナ様、もしよろしければ紹介状を書いていただけませんか? 当商会で取り扱いたいのです」
「いいですよ」
「本当ですか!?」
「は、はい」

 執事のおじさんが興奮して身を乗り出してきて勢いに引きつってしまった。
 グレンが私を引き寄せて睨み付けると執事のおじさんは咳払いをして元の体勢に戻った。

「申し訳ございません。奥様が戻り次第紹介の話をしたいと思います」
「わかりました。あの、執事さん……」
「大変失礼いたしました。わたくしダーリ・タヴァーリと申します。名乗りもせず申し訳ございません」
「あ、はい。タヴァーリさんですね。なぜ最初に会ったときから私と普通に話しているんですか? 怪しんだりもしてなかったですよね?」

 執事はダーリと言う名前でダーリンと呼ばれたわけではなかったらしい。
 私がずっと疑問に思っていたことを問い掛けると、執事のおじさんは虚をつかれたように目を丸くして笑顔を見せた。

わたくし共は今まで多くの人を見て参りました。そちらの少年は後ろに控えるようにしていて、こちらの男性はセナ様を守ろうとしているのがわかります。ですので、自然とセナ様と話していたのです。奥様も同じでしょう。護衛として雇った冒険者はどう思っていたのかはわかりませんが」
「なるほど」
「それにセナ様の言葉遣いも丁寧でいらっしゃいますので、幼さを感じさせないということもあります」
「あぁ……なるほど」

 内側からおばさん臭を醸し出してるってことか……せっかく若返ったのに……子供っぽく話したら相手にされないだろうし、丁寧に話したらババくさいなんて……難しすぎじゃない?

〈((セナはセナだ。あまり深く考えるな))〉
「((うぅ……グレン、ありがとう))」

 グレンが念話で慰めてくれながら私の頭を撫でてくれていると、ノック音が聞こえた。

「お待たせ致しましたわ! 別部屋に用意致しましたので、移動をお願い致しますわ」

 タルゴーさんに促され、別部屋に移動すると、部屋は色々なもので埋めつくされていた。
 魔道具・農具・鉱石・ポーション等の雑貨類・大量のアクセサリー・大量のドレスと、「なぜこれをチョイスした?」と思われるものから、冒険に役立ちそうな物まで多種多様揃っていた。

「こちらの中からお好きな物を選んで下さいませ!」
「破格過ぎませんか?」
「いいえ! 先ほど説明を受けましたの。あれは魔物に好かれる指輪で魔物を呼び寄せると。わたくしが一度指輪をはめたから指輪に主人として認識されてしまったのですわ! わたくしがすぐに指輪を取り外したからあの程度だったのだと。誰かに渡ってしまったら大変になるところでしたのよ! これくらい当然ですわ!」

 おぉー! 執事のおじさんはそうやって報告したのか! 確かにそれなら違和感はないねー。タルゴーさんも嫌な思いしないし。でも伝言ゲームみたいになったら本来の効能と違いが出ちゃうかもしれないから、あの執事のおじさんにちゃんと言っておこう。

 報酬はある意味便利なあの呪いの指輪っていうのも一瞬考えたけど、昼夜問わず襲われたらたまったもんじゃないし、どの程度の魔物がくるのかはわからない。ロリ好みは危険な気がする。そんなものを欲しがるなんて怪しまれそうだし……
 そしてみんなに怒られそう。見つけたときにクラオルが『こんな怪しげなモノのせいで主様にが寄ってきたらどうするのよ!』って怒ってたし……
 ああいう機能の魔道具が欲しかったら自分用のを作ればいいもんね!
 

「わたくしはこれが似合うと思いますの!」

 そう言ってタルゴーさんが手にしたのは、何かの発表会のときに着そうな華やかな白から淡いグリーンに変わるグラデーションのドレス。ヒッラヒラのフッワフワで、裾には輝く宝石やラインストーンのようなものが付いていて、裾が動く度にキラキラと煌めいている。

「初めてお会いしたときから絶対に似合うと思いましたの! ぜひ着て見せて下さいませ!!」

 そう言うタルゴーさんの目がキラリと光った気がして鳥肌が立った。
(うお! これか! 最初のゾワッと感は!)

「も、申し訳ありませんが着る機会がありませんので……今後の旅に役立つものの方がありがたいです……」
「そうですの……とても、とても残念でございますわ……」

 顔が引きつるのを感じながら返すと、タルゴーさんはガックリと肩を落としてしまった。無理強いする気はないようで私はホッと息を吐いた。

「では、ダーリがオススメのこちらか、わたくしがオススメのこちらからお好きなものを選んで下さいませ。わたくしがオススメのこちらは、もちろんサイズのお直しなども致しますので遠慮なく仰って下さい!」

 執事のおじさんのオススメが普通の道具類で、タルゴーさんのオススメがドレスや装飾品だったらしい。
 なんだろう。ものすごく納得した。
 鑑定を使いつつ何がいいだろうと見ているといいものを見つけた。

「あ!! ホットプレートだー! これ! これがいいです!」
「こちらは熱鉄板の魔道具ですわ。こんなものでいいんですの?」
「はい! これがいいです!」
「ふふっ。わかりましたわ。ドレスや装飾品じゃないのが残念ですが、そんな素敵な笑顔になっていただけるなんてわたくしも嬉しいですわ。どうぞお持ちになって。では、また応接室の方へお願い致しますわ」

 おばさん先導で再び応接室に戻ってくると、ソイヤ村の話になりおばさんも乗り気満々になったので、そのまま紹介状を書いた。

「セナ様には二度も助けていただき、新しい取り引きまでできるなんて嬉しいですわ! もちろんセナ様が仰っていたように村の魔物の素材も買い取らせていただきますわ! 呪われた魔道具なんて運がないと思いましたが、セナ様に会えたわたくしは最高運だったのですわね!」

 タルゴーさんが興奮しながらまくし立てると執事がうんうんと頷いた。
 タルゴーさんがどう思うかは別として、これでソイヤ村も少しは裕福な暮らしができると思う。あの村が笑顔溢れる村になったらいいな。

「ぜひこちらをお受け取りになって!」
「これは?」
「これはわたくしの商会の証書となっておりますの。他の街にもわたくしの商会の支店がございますわ。これを見せたら割引きされますし、なにかと融通が利くようになりますわ!」
「ありがとうございます。いただきますね」

 タルゴーさんから渡されたギルドカードより一回り小さい金属板を受け取って、タルゴーさんの商会を出る。
 タルゴーさんは私達が見えなくなるまでブンブンと笑顔で手を振ってくれていた。


感想 1,819

あなたにおすすめの小説

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

フェンリルに育てられた転生幼女は『創作魔法』で異世界を満喫したい!

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
旧題:フェンリルに育てられた転生幼女。その幼女はフェンリル譲りの魔力と力を片手に、『創作魔法』で料理をして異世界を満喫する。  赤ちゃんの頃にフェンリルに拾われたアン。ある日、彼女は冒険者のエルドと出会って自分が人間であることを知る。  アンは自分のことを本気でフェンリルだと思い込んでいたらしく、自分がフェンリルではなかったことに強い衝撃を受けて前世の記憶を思い出した。そして、自分が異世界からの転生者であることに気づく。  その記憶を思い出したと同時に、昔はなかったはずの転生特典のようなスキルを手に入れたアンは人間として生きていくために、エルドと共に人里に降りることを決める。  そして、そこには育ての父であるフェンリルのシキも同伴することになり、アンは育ての父であるフェンリルのシキと従魔契約をすることになる。  街に下りたアンは、そこで異世界の食事がシンプル過ぎることに着眼して、『創作魔法』を使って故郷の調味料を使った料理を作ることに。  しかし、その調味料は魔法を使って作ったこともあり、アンの作った調味料を使った料理は特別な効果をもたらす料理になってしまう。  魔法の調味料を使った料理で一儲け、温かい特別な料理で人助け。  フェンリルに育てられた転生幼女が、気ままに異世界を満喫するそんなお話。  ※ツギクルなどにも掲載しております。

過保護すぎる家族に囲まれて育ったら、外の世界が危険すぎました 〜冷酷公爵の父と最強兄たちに溺愛される日々〜

由香
恋愛
過保護な父と兄たちに囲まれて育った少女。 初めての外は危険だらけ——のはずが、全部“秒で解決”。 溺愛×コメディ×ほんのり成長の、ほっこり家族物語。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。