転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

文字の大きさ
133 / 537
6章

重い愛とサプライズ



 ガイにぃに無言で引き剥がされて、エアリルパパがクチを尖らせた。

「さっき聞いたんだけど、アクエスとイグニスになにかお願いしたんでしょう?」

 エアリルパパを放置してガイにぃが話しかけてきた。
 そんなガイにぃを睨むエアリルパパ。
 でも顔が可愛いから全然怖くない! むしろちょっと涙目で可愛さが増している。

「私達にも何かないのかな?」
「ん~。特に思い付かないかな。馬車も、ネラース達と出会えたのもパパ達みんなのおかげだし……お世話になりすぎなくらいだから。本当はアクエスパパにもイグねぇにも頼むつもりはなかったんだ」
「そうか……アクエスとイグニスのために頼んだんだね」
「でも内容は自分のためだから……それだと語弊がある気がする」

 エアリルパパを撫でながらガイにぃに答えていると、エアリルパパの膝の上に座らされた。
 なんでこの体勢になったのかな? パパよ。そのグリグリは地味に痛いぞ。

「僕はセナさんに会えないなんて耐えられません! もっと頼って欲しいです……神でもありますが、パパですから!」

 私が先程呑み込んだ、パパ達はみんなの神様だからという言葉はもう言えなくなってしまった。

「そうだね。セナさんはしっかりしなくちゃと思っているけど、私達には遠慮なく甘えて欲しいんだよ。今はまだ五歳だし。まぁ、あちらの世界の年齢でも私達からしたら子供だけどね。(まぁそんなセナさんだから放っておけないんだけど)」

 ふふっと微笑みながら言うガイにぃの最後の言葉は小さくて聞き取れなかった。

「うーん……とりあえず、教会に行くようにするね」
「うんうん。そうしてくれると嬉しいよ。さて、そろそろ今日一番のお披露目をしようか!」
「お披露目?」
「ふふっ。楽しみにしていて」

 ガイにぃは私の頭を撫でてからイグねぇとアクエスパパの方へ歩いて行き、二人に話しかけている。

「パパ達はお仕事忙しいの?」
「少しバタバタはしていましたが、セナさんに会えたので大丈夫になりました」
「無理しないでね」
「ふふっ。ありがとうございます」

 エアリルパパの膝の上に座らされたまま話していると「ゴツンッ!」と穏やかじゃない音が聞こえた。
 イグねぇがグレンに拳骨ゲンコツを落としたらしい。

〈ん゛! 痛いではないか……〉
「そなたはそれくらいしないと起きないじゃろ? アレの披露じゃ!」
〈おぉ! やっと見せるのか!〉

 痛そうな音だったのにケロリと普通に話し始めたグレンに私は驚きを隠せない。

「ほれ! みんな起きぬか!」

 イグねぇが「お披露目じゃぞ!」と、クラオルとグレウスまで起こした。
 なんのことだかわからない私は首を傾げるしかない。

 「くぞ!」とイグねぇが張り切りながら指を鳴らして移動した先は私のコテージの空間だった。

『ふふっ。主様不思議そうね』
「うん。ここコテージだよね?」
『そうよ!』

 アクエスパパに手を引かれて空間内の森の方へ連れて行かれる。
 森を少し歩くと小さな泉と果樹園のように規則正しく樹木が植わっている広場に出た。

「ん? んん? あれって……」

 アクエスパパに手を引かれたまま歩いていくと思いもしなかったモノがあった。

「え!? えぇ!? なんで? なんで醤油と味噌の木があるの!? え? どういうこと?」
「ククッ。驚いたか?」

 笑いを堪えながらアクエスパパに聞かれたけど、驚いたなんてもんじゃない。ワケがわからない。

『ふふっ。こっちはミリンの木よ!』

 クラオルが肩から降りて走って行った先には、確かに呪淵じゅえんの森でみりんを採取した木が植わっている。

「え? なんで?」
〈これはニホンシュの泉だぞ!〉

 直径三メートルほどの泉は日本酒らしい。
 私の頭は理解が追いつかず混乱に拍車がかかる。

「ふふふ。以前セナさんが移植できたら便利だとクラオルに言ったでしょう?」
「へ?」
呪淵じゅえんの森にミリン取りにくるのが大変って言ってたでしょ? だからガイア様に相談したのよ』
「そう言えばそんなこと言った気がする……でもいつの間に? ずっと一緒にいたのに」
『ふふっ。王都に向かう魔馬車のときよ』
「あ……あぁー!」

 そうか……クラオル達がどこかに遊びに行って土まみれて帰ってきてたときか!

「え? じゃあそんな前から準備しててくれたの?」
「そうだよ。空間をいじって移したのは私達だけど、私達はあのときセナさんに会わないようにしていたからね。実際植えて、整えてくれたのはクラオル達なんだ」
「そうだったんだ……」

 本当は私の食材が切れたときにビックリさせたかったらしい。でもなかなか切れなくて後回しになっていたんだそう。
 今回、私達が焼肉で飲んでいるのを見て、お酒を飲み干しちゃえば披露できると今回の宴を思いついたらしい。

「でも、実際私達もセナさんに会いたかったし、一緒にご飯も食べたいと満場一致で決まったんだ」
「なるほど……」
「嬉しいか?」

 私の目線に合わせてしゃがんだアクエスパパに優しく聞かれた。
 嬉しいなんて言葉じゃ片付けられない。私の何気ない言葉から私のために移植してくれたのだ。いつでも取りに来られるように私の空間に。

「う……うぅ……ありがとう……」
「セナ!? 嬉しくないのか?」
「違う……嬉しいのっ」
「そうか。ほら」

 涙が溢れてしまった私にアクエスパパが手を広げてくれ、胸に飛び込んだ。
 アクエスパパはグズグズと泣いている私の背中を優しく叩いてくれる。

「成功じゃの!」
「そこまで喜んでもらえると嬉しいね。エアリルも一人で百面相してないでいっておいでよ」
「うっ! セナさーん!」

 アクエスパパにくっ付いて泣いていたらエアリルパパが突っ込んできた。

「セナが潰れるだろ! 考えろ!」
「ずるいです!」
「エアリルは焼肉のときくっ付いていただろ! 今度は俺の番だ!」
「横暴です! アクエスがイグニスと一緒になって飲んでいただけじゃないですか!」

 二人が言い合いし始めてしまったけど、私には兄弟喧嘩にしか見えないし、喧嘩しているのに二人共私の頭を撫でる手つきは優しい。

「ふふっ」
「「セナ(さん)!?」」
「パパ達大好き! ありがとー!」
「そのパパ達の中には私達も入っているのかな?」
「もちろんガイにぃもイグねぇも大好きだし、クラオル達みんなも大好きだよ!」
『ワタシ達も主様のこと大好きよ』

 クラオルとグレウスのモフモフに頬ずりすると、クラオル達も擦り寄ってきてくれる。
 けしからん可愛い。

「そうそう、ポラルからのプレゼントもあるんですよ」
「ポラルから?」

 落ち着いたエアリルパパが出してくれたのは……

「パーカー!?……とショーパン!?」
「セナさんが欲しがっていたスウェット生地とデニムというものがわからなかったので、日本の神に聞いて作りました。生地は僕が用意しましたが、ポラルの糸でポラルが縫ったんですよ」
「ポラルすごい! しかも理想そのもの! パパもポラルもありがとう!」

 ポラルを抱きしめてポラルにも頬ずりすると、頭にある星マークがわずかにピンク色に変わった。
 うちの子達が優秀すぎる!

 夜ご飯もみんなで食べて、グレンに頼んで日本酒を確保してテンション高く神界に戻ってきた。
 グレンに日本酒確保のために龍牙渓谷りゅうがけいこくに行ってもらわなくてもいいし、ジルベルト君もコテージのことを説明したのでもうコソコソしなくてもいい!

 パパ達が明日同じ時間に街の教会に送ってくれるらしいので、神界にお泊まりすることになった。
 グレンに催促されて出したリバーシにパパ達が興味を示したのでパパ用のリバーシを作ってあげると大喜びされた。

 お風呂に入ることになり、イグねぇに連れて行かれた先はレトロな銭湯風の温泉。ちゃんと男湯と女湯で分かれていて、中はスーパー銭湯みたいにいろんな種類のお風呂。
 私が機嫌よくお風呂に入っていくのを見て、そんなにいいものなのかと私の記憶から作ったらしい。
 今では神達のお気に入りスポットなんだそう。

 キッチリ男女で分かれてスーパー銭湯を満喫した。
 イグねぇのボディに何回鼻血が出そうになったことか。

 みんなと一緒に眠ることになり、用意されていたのはキングサイズを遥かにしのぐ大きさのベッド。
 みんなで並んで目を閉じる。
(幸せすぎて怖いくらい。なんでパパ達はこんなに可愛がってくれるんだろう)

 隣りにいるイグねぇがポンポンと優しく背中を叩いてくれ、温もりと幸せで心地よい睡魔に包まれた。


感想 1,819

あなたにおすすめの小説

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

過保護すぎる家族に囲まれて育ったら、外の世界が危険すぎました 〜冷酷公爵の父と最強兄たちに溺愛される日々〜

由香
恋愛
過保護な父と兄たちに囲まれて育った少女。 初めての外は危険だらけ——のはずが、全部“秒で解決”。 溺愛×コメディ×ほんのり成長の、ほっこり家族物語。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。