転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

文字の大きさ
138 / 533
6章

できる女と汗っかき男

しおりを挟む


 グレンを筆頭にみんなにいつも使っている馬車はダメだと言われて、人数が少ないのに大きな馬車に乗り込んだ。
 村長が連れてきた村人への説明をジルベルト君に丸投げして、私はグレンと共に御者席に陣取った。
 

 冒険者ギルドに到着して、依頼完了報告をするとブラン団長とサルースさんからのお手紙が届いていた。
 報告の間ウサ耳お姉さんとゲーノさんが仲良く話していて、依頼を受けたときにお姉さんが泣いた理由がかんがみれた。
 手紙を受け取り、タルゴー商会に寄ってタルゴーさんと執事のおじさんに一緒に商業ギルドへ行って欲しいとお願いすると快諾してもらえた。
 「なんだか予感めいたものがありましたので、一日空けておりましたの」とタルゴーさんが嬉しそうに言っていた。
 女の勘なのか仕事の嗅覚なのかはわからないけど、大変ありがたい。


 商業ギルドでギルマスを呼んでもらい、全員で応接室に移動した。
 再び説明をジルベルト君に任せ、私はひとまずサルースさんからの手紙を開いた。手紙には無事で安心したということ、王都の近況、宿屋“渡り鳥”とネライおばあちゃんのお店の様子などが書かれていた。そして「また何か登録するときに手間取ることがあれば気軽に連絡おし」だなんて、タイムリーなメッセージで締めくくられていた。

 最後の一枚はネライおばあちゃんからの手紙で、近況が書かれていた。私がデザインした服が好評で、お店が忙しくなり子供夫婦と孫もお店を手伝ってくれることになり、今鍛えているんだそう。文面から生き生きしている様子が想像できて、ほっこりと嬉しくなった。

「セナ様。セナ様はどうお考えですか?」
「ん?」
「タルゴーさんを呼ばれたのは何かお考えがあるのだと推察したのですが」
「あぁ! そうそう! タルゴーさんにはバックアップをお願いしたいんです」
「バックアップですの?」

 バックアップとは何かを話してから、商業ギルドには料理人の手配、タルゴーさんには屋台の手配と場所の確保や売り上げの推移のチェックなどオーナーの役割り、村人は読み書き計算が可能とのことなので従業員のシフトや売り上げ計算など店長的な仕事をしてもらいたいと説明した。

「屋台の味が家庭でも楽しめますと宣伝したら、ホットプレートの魔道具も売れると思うので、タルゴーさんも一枚噛んだ方がいいと思ったんです」
「素晴らしいですわ! セナ様は商売を熟知しておりますのね!」
「ただ、そうなるとどんなに屋台の売り上げが悪くても、従業員の給料を払ってもらうことになるんですけど……」
「そんなの些細なことですわ! もちろん全面的に協力させていただきますわ!」

 どんなものを屋台で売るのかもまだ話していないのにタルゴーさんは乗り気になってくれたらしい。
 ギルマスが汗をハンカチで拭きながら料理人の手配をしてくれている間に、ゲーノさんに屋台用のホットプレートを作らないといけないと話すと、鉱石と魔石の確保をどうするかと話題が変わった。

「こちらが手配をしても構いませんが……」
「いいえ! わたくし達が手配致しますわ! セナ様のお話ではダンジョンで採掘可能なのですわよね? しかも、質が良いと。それでしたら、冒険者を雇えばいいのですもの。ダンジョン内の間引きにもなりますし、先程の全面協力すると言った言葉通り! わたくし達が協力致しますわ!」

 手配が終わったらしいギルマスにタルゴーさんがたたみかけ、その様子にギルマスは汗を拭きながらタジタジ。


 お昼ご飯を食べ、ギルマスが選んだ料理人さんが集まったらラップサンドの作り方を説明して試食。ラップや耐油紙がないのでタコス巻きの方が正しいかもしれないけど。
 試食を出すと、タルゴーさんと執事のおじさんは「さすがセナ様」なんてとろけそうな笑顔で言っていて、ギルマスは汗を拭くのも忘れ固まってしまった。
 集まった料理人さんは三人だったけど、一人が「革命だ!」と叫ぶと口々くちぐちに「革命だ!」と言い始め、大丈夫かと心配になるくらい興奮している。

「生地や肉に使うスパイスの分量を公表しなければ、屋台で売れなくなることはないと思います」
「素晴らしいですわ! わたくし達がこのような美味しいものの販売にたずさわえるなんて! 商人冥利に尽きますわ!」

 タルゴーさんが食材などの手配もしてくれることになり、商業ギルドは関わるうまみがほとんどなくなってしまった。

「オイはこんなに大変だと思ってなかった……」
「そう思ったので、くちを挟ませてもらいました」
「すまねぇ……アンタには感謝してもしきれねぇ」
「私よりタルゴーさんに感謝した方がいいですよ。私が旅に出たあとはタルゴーさんが細かいことをやってくれるそうなので」

 最初の勢いがなくなったゲーノさんは販売の大変さを痛感したらしく、意気消沈気味。村長はどんどん進む話しに放心気味だ。
 あとはレシピの登録を済ませたら私の仕事は終わり。タルゴーさんなら任せても大丈夫だと思う。

 タルゴーさんは「この街一番の屋台になりますわ!」とハイテンションになったかと思えば、執事のおじさんやギルマスと真剣に話したりと忙しい。
 話を聞いている限りしかわからないけど、タルゴーさんは商売上手だと思う。その点商売ギルドのギルマスはタルゴーさんの勢いに呑まれ、いいところを持っていかれている。日本の中間管理職を彷彿とさせるギルマスも負けずに頑張ってもらいたい。

 タルゴーさんがゲーノさん達を村まで送ってくれることになったので、私達は先に帰らせてもらうことにした。
 タルゴーさんが上手くやってくれると思う。


 宿に戻り、ブラン団長達からの手紙を開くと、フレディ副隊長とパブロさんからのお手紙も入っていた。
 近況も書いてあったけど、主に私を心配する文面だった。相変わらず優しくて心配性で過保護な人達に心が温かくなった。
しおりを挟む
感想 1,816

あなたにおすすめの小説

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

4/10コミック1巻発売!【完結】魔王様、溺愛しすぎです!

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
ファンタジー
2026/01/20追記 『魔王様、溺愛しすぎです!』のコミカライズ情報、解禁となりました! TOブックス様から出版、1巻が4/10発売予定です。 キャラクターデザインに『蒼巳生姜(@syo_u_ron)』先生! 以前表紙絵をお願いした方です(*ノωノ) 漫画家は『大和アカ(@asanyama)』先生です° ✧ (*´ `*) ✧ ° 連載については改めて発表させていただきますね_( _*´ ꒳ `*)_ 「パパと結婚する!」  8万年近い長きにわたり、最強の名を冠する魔王。勇者を退け続ける彼の居城である『魔王城』の城門に、人族と思われる赤子が捨てられた。その子を拾った魔王は自ら育てると言い出し!? しかも溺愛しすぎて、周囲が大混乱!  拾われた子は幼女となり、やがて育て親を喜ばせる最強の一言を放った。魔王は素直にその言葉を受け止め、嫁にすると宣言する。  シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。 【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう 【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264) 挿絵★あり 【完結】2021/12/02 ※2026/01/20 1巻発売日(4/10)発表! ※2025/12/25 コミカライズ決定! ※2022/08/16 第3回HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門 一次審査通過 ※2021/12/16 第1回 一二三書房WEB小説大賞、一次審査通過 ※2021/12/03 「小説家になろう」ハイファンタジー日間94位 ※2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過作品 ※2020年8月「エブリスタ」ファンタジーカテゴリー1位(8/20〜24) ※2019年11月「ツギクル」第4回ツギクル大賞、最終選考作品 ※2019年10月「ノベルアップ+」第1回小説大賞、一次選考通過作品 ※2019年9月「マグネット」ヤンデレ特集掲載作品

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。