転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

文字の大きさ
143 / 537
7章

砦の街ミカニア



 門番さん達に見送ってもらい、国境の門から見えていたミカニアの街に向かうと、要塞と言えばいいのか砦と言えばいいのか……ゴツくて頑丈一辺倒な雰囲気の街だった。街と言うよりもひとつの建物みたい。

「なんか、物々しい感じだね。威圧感をヒシヒシと感じるんだけど……」
〈ここは国境が近いからな。今はもう戦争が終わって久しいが、昔国が落ちないようにと、こんな作りにしたんだろ〉
「なるほど。シュグタイルハンは各街こんな感じなの?」
われも詳しくは知らん〉

 グレンが行ったことのある街はどこなんだろ? いつか行けたらグレンも嬉しいかな?

 街に入るための列に並んでいると「シュグタイルハン国は騎士団のこと兵士と呼んでいるんだよ」と近くにいたおじさんが教えてくれた。
 街の門で再びギルドカードを見せると、またもや警備の人達に敬礼されてしまい、宿の手配までやってくれた。

 街の中は思っていたよりもゴツくなくて、上にはちゃんと空が見えた。城壁のように囲われていただけらしい。
 ただ、街の中心には外から見た壁と同じ材質だと思われるどデカい塔が立っていて、そこは街の避難所なんじゃないかと思う。戦争があったときなら籠城できる場所ってところだろう。
 一番の問題は道が入り組んでいて迷子になりそうなことだった。

 手配してもらった宿にマップを見ながら辿り着くと、街の中では高級な部類に入る宿だった。
 私の好みを知っているのか、ザ・お金持ちが泊まる宿ではなく、中流階級の中でも品の良さそうな宿。
 出迎えてくれたのは所作のキレイな品のいい優しそうなおじさんだった。
 宿の名前は“宿り木亭”。おじさんは支配人でラゴーネという名前らしい。

「ようこそおいで下さいました。皆様のお部屋はこちらでございます」
「わぁ~! ひろーい!」
「こちらリビングルームです。右側に見えます扉はベッドルームとなっており、ベッドルームからはお風呂へ入れます。朝食と夕食はお部屋へお持ちいたしますが何かご用がございましたら、このベルでお呼び下さいませ」
「はーい! ありがとうございます!」

 私がお礼を言うと、微笑みながらもしっかりとお辞儀をしておじさんは戻って行った。
 部屋はキアーロ国の王都の宿屋“渡り鳥”よりも広く、使われている家具も高級だけど落ち着く雰囲気だった。

《セナちゃーん! 魔法の痕跡もないから安心よ!》

 いつの間にかプルトンが部屋を調べていてくれたらしい。

「セナ様、マッサージもあるようです。お疲れでしたら、お受けになられますか?」

 ジルベルト君がリビングのテーブルの上にあった紙を見ながら教えてくれた。
 ジルベルト君の隣りに座って紙を覗き込むと、ルームサービス、マッサージ、買い物代行、武器屋・防具屋・商会への紹介までやってもらえるらしい。ちなみに紹介料は無料。日本の旅館やホテルよりもサービスがいい気がする。

「すごいサービスだね……私は疲れてないからマッサージはいらないけど、ジルベルト君はずっと御者してくれてたからマッサージ受ける? グレンは……ってあれ?」
〈セナ! 宿にしては風呂が広いぞ!〉

 どこに行ったかと思っていたら部屋を見て回っていたらしいグレンが、テンション高めにリビングに戻ってきた。

「グレンはマッサージ受けてみる?」
〈ん? マッサージか……面白そうだ!〉
「ジルベルト君も受けてみない?」
「いえ、僕は〈そうだな! いい機会だ!〉」

 断りそうな雰囲気をかもし出していたジルベルト君に、グレンがかぶせ、強制的に参加することに決まった。
 嫌だったら可哀想だから念の為聞いてみると、嫌なワケではなく私が受けないと言ったから遠慮しただけらしい。それならぜひ癒されてきて欲しい。


 冒険者ギルドが夕方の報告で混む前に、シュグタイルハン国の王様であるアーロンさん手紙を出しに行くことになった。
 冒険者ギルドでギルドカードを提示するとギルマスが現れ、すぐに応接室に案内されてしまった。
 お手紙出しに来ただけなんだけど……

「ようこそおいで下さいました。シュグタイルハン国はセナ様を歓迎致します」
「どうも……」
「本日はアーロン様へのお手紙だと伺っておりますが……もしムレナバイパーサーペントの素材が余っておりましたら、ぜひ売っていただきたいのです」
「あぁー、なるほど。いいですよ」

 あのウツボの素材は隣の国でも求められるのか。余ってるから全然いいんだけどね!
 なんでも、この街の近くに中ランクのダンジョンがあるらしく、武器と防具の素材が常に足りない状態なんだそう。
 さすがダンジョンの国! 今回は私が惹かれる素材はないらしいので、入らないけど。
 手紙を送ってもらい、前回のピリクの街同様に素材をひと通り出して欲しい素材を教えて欲しいと伝えると、ギルマスの目がキラリと光った気がした。

「商業ギルドも呼んでも構いませんでしょうか?」
「大丈夫ですよ。そしたらマザーデススパイダーの素材も出しましょうか?」
「なんですって!? ぜひともお願い致します!」

 鼻息荒く返されて、ビクッと体が反応してしまった。
 アーロンさんからウツボの連絡はきていたけど、クモについては通達されていなかったらしい。
 クモの素材も出すと、紅茶を淹れてくれた中学生くらいの女の子まで「キャー! すごい!」と飛び上がって喜んでいた。

「素晴らしい素材の数々です! 明日の午後以降の都合のいいお日にちで構いませんので、お越しいただいてもよろしいでしょうか? あ! 時間停止機能の付いたマジックバッグに保管致しますので、劣化の心配は無用です!!」
「ええっと……はい。わかりました」

 早口でまくし立てるギルマスに圧され、勢いのまま了承してしまった。
 テンションの高い二人に見送られて冒険者ギルドを出ると、街はおなかが空く匂いで溢れていた。
 ちょうど夕飯の時間らしく、ご飯どころはどこも賑わっていた。


 宿に戻るとすぐにラゴーネさんが夜ご飯を運んでくれ、待つことなく夜ご飯にありつけた。
 夜ご飯は、縁日の屋台で売っているフランクフルトみたいなどデカいソーセージのスープ、ウィンナーの炒め物、みんなで分けて食べるであろう山盛りの麦パンだった。

「美味しー! ちょっと味が濃いめだけど、美味しいね!」
〈なかなかいけるな〉
「美味しいです」

 スープに入っていたソーセージはハーブが入っていて香りがいいし、ウィンナーの炒め物はスパイスが効いていた。
 大満足でご飯を食べ終え、ジルベルト君とグレンはマッサージを受けに行った。
 マッサージは部屋でもできるらしいんだけど、リラクゼーションルームみたいな専用部屋があるらしく、どうせならとそっちで受けることにしたらしい。
 マッサージを受けない私は部屋付きのお風呂でゆっくり過ごした。

感想 1,819

あなたにおすすめの小説

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

過保護すぎる家族に囲まれて育ったら、外の世界が危険すぎました 〜冷酷公爵の父と最強兄たちに溺愛される日々〜

由香
恋愛
過保護な父と兄たちに囲まれて育った少女。 初めての外は危険だらけ——のはずが、全部“秒で解決”。 溺愛×コメディ×ほんのり成長の、ほっこり家族物語。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。