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7章
八つ当たり討伐
いつものようにクラオル達に起こしてもらって起き上がると、グレンとジルベルト君が左右で寝ていた。
昨日の夜ピリピリしていた二人に挟まれて眠ったんだけど、二人共他のベッドに移動しなかったらしい。
ま、ベッド広いからいいんだけどね!
◇
グレンが街の外に出たいと言うので、ついでに依頼を受けようと冒険者ギルドの掲示板を見にきた。
「うーん。ダンジョン系が多いねぇ……」
〈これはどうだ?〉
「バガンタールの間引き討伐?」
「バガンタールは土中に穴を掘って巣を作っている魔物です。放っておくと穴だらけになるため、定期的な間引きが推奨されています。食肉で、毛皮は良質です」
さすがジルベルト君! わかりやすい説明に大助かりだよ! そしてこの依頼をグレンが選んだ理由もわかったよー!
「ランクも大丈夫だね。ジルベルト君もこれでいい?」
「はい。大丈夫です」
受け付けで依頼を受けて、教えてもらった生息地へ向かう。
◇
着いた先は、地面を見て歩かないと足が穴に落ちそうなくらい穴だらけだった。馬車で通ったらガタガタなんてもんじゃなく、ガッタンガタンで運が悪ければ脱輪、もしくは車輪が破損しちゃいそう。
「それらしき生き物は見当たらないけど、気配はいっぱいだねぇー」
〈セナの料理が楽しみだ!〉
「ふふっ。食べる気満々だね」
ジルベルト君もいつになくやる気を出していて、ジルベルト君まで肉食になったのかな?と、少し心配になる。健康のために野菜も食べてもらいたい。
土の中のバガンタールをどうやって狩ろうかと考えていると、クラオルが『ネラース達を呼べばいい』と教えてくれたので影から出てきてもらった。
「今日はバガンタールを狩って欲しいんだけど、毛皮と肉を確保したいからあんまり傷付けないで欲しいの。お願いできるかな?」
『『『『はいっ!』』』』
しっぽをブンブン振りながら、元気よく返事をしてくれる姿は可愛すぎる!
『おびき出すっち!』とルフスが言うなりドドン!と火柱を地面に撃ち込むと、そこらじゅうからピー! ピー!とホイッスルのような笛の音が聞こえてきた。この笛の音がバガンタールの鳴き声らしい。
慌てた様子で穴から出てきたバガンタールをネラース達は小さいサイズのまま狩っていく。
グレンとジルベルト君も負けじと狩り始め、私はあぶれたバガンタールを狩るだけ。
バガンタールはマーモットに似ている魔物で、茶色い毛皮はうさぎのようにふわふわしていた。
ルフスがおびき出し、みんなで狩るを繰り返して、ここらへん一帯のバガンタールを狩り尽くすと、バガンタールは300匹以上にも上った。
穴ぼこだらけは危険なので、グレウスに頼んで直してもらう。
ネラース達は手加減をちゃんと覚えたらしく打撃攻撃で仕留めてくれていて、毛皮にも傷は見当たらなかった。
「お昼ご飯にしたいけど、むき出しの地面だと土埃がすごいね」
《結界張れば大丈夫!》
ピクニック気分でサンドイッチを食べて休憩していると、グレンからシャーベットのリクエストがきた。
『主様、ワタシも欲しいわ』
「あれ? クラオルとグレウスも暑い?」
《草があまり生えてないのと、日陰もあまりないからな。主よ、儂も所望する》
私はパパ達が作ってくれた服を着ているから温度変化がわからなかったらしい。
春の季節の大陸とはいえ、熱中症になったら大変!
とりあえず闇魔法で日陰を作り、ネラース達にもシャーベットを出してあげると『美味しい! 美味しい!』と一心不乱に食べていた。
大きなパラソルでも作ってあげよう。
グレンもジルベルト君もまだ戦いたいらしいので、魔物を探してうろちょろ。
ルフスが空から見つけてきてくれたのは、さっきのマーモット……バガンタールよりも大きく、日本の豚サイズの灰色のマーモットだった。
「あれはドリルバガンタールですね。先程のバガンタールの上位種と言われており、額の角で攻撃してきます。食肉、毛皮、角が素材のはずです」
いつもわかりやすい説明ありがとう!
私も図鑑を見て覚えているはずなんだけど、記憶を探る前に教えてもらえるのはとても助かる。
気配を探った感じでは、数はそこまでいない。
先程と同じく、ルフスがおびき出したのを狩っていく。
〈おぉ! そのデカさは食べ応えがありそうだな! ジルベルト! 目を潰せ!〉
「ハッ!」
ボスらしき二倍ほどの体格のドリルバガンタールが現れてグレンが喜んでいる。
ジルベルト君が弓でそのボスの目を射ると同時にグレンが突っ込んでいき、殴り飛ばした。
〈ふぅ。ようやく少しスッキリしたな〉
「そうですね。昨日のことは忘れられませんが、少しだけ溜飲が下がりました」
なんと昨日の女の子への怒りで狩っていたらしい。
えぇ……完全に八つ当たりじゃん……
回収したドリルバガンタールは20匹ほどだった。
ネラースに乗せてもらい、街に近付くまでトテトテと歩くネラースのモフモフを堪能させてもらった。
ネラース達には影に入ってもらい、冒険者ギルドに入るとギルマスに迎えられて、昨日と違う倉庫に案内してもらう。
ギルマスの話しでは、肉と毛皮以外にも爪や魔石なども買い取ってくれるらしい。
狩ってきたバガンタールを倉庫に出すと量に驚かれ、間引き討伐で数量分の報酬を払うと全部の買い取りは難しいと言われてしまった。
お肉全部と毛皮半分は確保しておきたいから、それ以外を買い取ってもらえないかと交渉してみると、むしろ助かると返された。
ドリルバガンタールの方は、一匹分だけ買い取ってくれるらしい。
明日のお昼までに解体しておくから、また明日来てもらいたいと告げられた。
無限収納で解体したら楽なんだけど、一瞬にして解体しちゃったら怪しまれるから大人しく明日取りにこよう。
昨日渡した素材の代金を受け取り宿に戻ると、ラゴーネさんが知らない人と話し込んでいた。
「申し訳ございません。おかえりなさいませ」
「ただいま! どうしたの?」
「いえいえ! ご心配おかけして申し訳ございません」
ラゴーネさんは言いたくないみたいなので、ひとまず鍵を受け取って部屋に戻り、プルトンに様子を探ってきてもらうように頼んだ。
お風呂に順番に入ってスッキリした頃、プルトンが戻ってきて何があったのか教えてくれた。
「そっかぁ。ラゴーネさんは優しいね」
〈やるのか?〉
「そうだね。それくらいなら手伝ってあげようよ。たぶんギルドに張り出されてると思うし」
〈仕方ないな〉
宿の案内の紙に描かれていた街の地図を見ながら、相談していると夜ご飯が運ばれてきたので中断してご飯を食べる。
今日は炒めものとサイコロステーキだったんだけど、ステーキの横に付いているジャーマンポテトみたいなものがすごく美味しかった!
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