転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

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7章

わらしべジャムパン



 精霊の子達が食べきれず残ったデザートは、ウェヌスが管理して頑張った子へのご褒美にするらしい。
 後片付けは精霊の子達がやってくれるらしいので、私達は腹ごなしに原っぱにやってきた。

「今から新作を発表します!」
《……新作ですか?》

 ウェヌスに不思議そうに聞かれた私は自信満々に頷いた。

「まずは~……じゃじゃーん! バドミントンもどき!」
《《》》
『これ、前に作ってたやつよね?』
「そうそう。魔女おばあちゃんが羽根くれたから遊べるようになったんだよ。エルミスは前に説明したの覚えてる?」
《うむ。そのラケットというもので何かを打ち返すのだろ?》
「そうそう!」

 私が何も言わなくても、エルミスが大人サイズになってくれた。さすがエルミス!

「これをね、こーして打つの。エルミスー」
《むんっ!》

 エルミスにラケットを渡して離れ、打ってみせる。エルミスが打ち返した羽根ボールはボワーンと遠くまで飛んで行ってしまった。

「……んとね、吹っ飛ばすんじゃなくて、何回も打ち返し合って遊ぶゲームね」
《……すまない》
「遊んでるうちに慣れると思うよ」

 ウェヌスが羽根を探してきてくれたので、次の遊び道具を無限収納インベントリから出した。

「お次はボールです!」

 これはノーマルスライムの核と、プラプラスライムの核から作った柔らかい中が空洞のプラスチックの球に、タルゴー商会で買った“カウチュフロッグ”の皮を縫い合わせてボールにしたもの。ビーチボールとバレーボールの間みたいな中途半端なボールだけど。

「このバレーボールサイズが大人ようで、クラオル達のはこっちの小さいボールね」
《これはどうやって遊ぶの?》
「好きに遊んでくれていいんだけど……私が昔やってたのは“ワンバン・ノーバン”とトスかアンダーで落とさないで繋ぐ遊びかな? “ワンバン・ノーバン”はサッカーボールだったけど、これでもできると思う。ドッジボールは人数いないとできないからね」
《よくわからないわ》

 ボールを落とさないで繋ぐやつってなんて言うんだろ?
 とりあえず、やってみた方が早いだろうと説明しながら試してみる。
 何回落とさずに繋げられるかを勝負したりもすると説明を補足すると、グレンのヤル気が上がった。
 そのうち自分達で遊び方を考えそうな気がするけど、本格サッカー、バレーボールやビーチバレーみたいなアタック系はボールが壊れちゃいそうだから、思いつかないで欲しい……まぁ、壊れたら作ればいい話なんだけどさ。

 グレンと精霊達はバドの方が好きらしくラケット争奪戦になっていたけど、ジルは遠慮しているのか話しに入っていなかった。

「ねぇ、ジルはこれと……コレと……これできる?」
「すごいです! さすがセナ様!」

 バスケットボールのように指の上で回転させ、リフティング、新体操のように腕や体の上で転がす、と連続して見せるとジルが拍手をしてくれた。
 まさか私も全部できるとは思ってなかったよ。特に新体操!

「クラオルとグレウスは玉乗りかな?」
『玉乗りってこれに乗るの?』
「そうそう。ボールの上で転ばないようにバランスとるの。バランス感覚を鍛えることもできるよ」

 レッツトライ! と、体を持ち上げてボールに乗せてあげる。二、三回でコツを掴んだらしく、キープできるようになっていた。
 ポラルは……と見てみると、ボールに糸を巻き付けて遠くに飛ばす遊びを開発していた。
 ポラルさん……ボールは武器じゃないよ……そんなヨーヨーみたいに……

《女神様! 女神様は遊ばないんですか?》
「ん? あぁ、私は大丈夫だよ。見てるの面白いし。あ! そうだ! キヒターに渡そうと思ってたものがあるんだ」
《僕にですか?》

 ダンジョンで手に入れたフンコロガシのフンを、ビニール袋に五個ほど入れてキヒターに渡した。

《わぁー! これすごい!》
「とりあえず五個にしちゃったけど、もっとあるよ?」
《充分です! これだけあれば何十年も畑の実りが良くなります!》

 え? 何十年も? この五センチくらいのフンで?
 説明を求めると、このフンはとても良質で、たった一個だけでも十年以上は土の栄養が良くなるすぐれモノなんだそう。
 五個だから……五十年以上ってことか……
 ちなみに、使い方は一気に撒いても大丈夫だし、小分けで撒いてもいいらしい。便利。



 散々遊んで夕方になったので執務室に戻ると、博士と“赤”が待ち構えていた。

《お待ちしておりました》
《できたんす!》

 執務室のソファに座ると博士からプレゼンが始まった。

《ポラル様よりお聞きして、セナ様の望んでおられると思うものを織りました。これらをご覧ください》
「んなああああ! 反物! に、帯!? しかもこれ八重山ミンサー織じゃん! こっちはこぎん刺し!? ヤバい! なんで? なんで知ってるの!?」
《ポラル様よりセナ様からお聞きしたと》

 以前ポラルに作業を手伝ってもらってたときに話したことを詳細に覚えていてくれたらしい。

「ありがとー!! めちゃんこ嬉しー!!」

 ギュウっとポラルを抱きしめてお礼を言うとポラルから苦しいとタップされた。
 博士が作ってくれたミンサー織とこぎん刺しは本物とは違って模様だけだけど、もう二度と拝めないと思ってたから感動もひとしお。
 模様だけだから服でも袋でも布製品であればなんでも作れる!
 帯にはミスリルカイーコの糸も使われていて、ちゃんと帯らしく生地も厚く、しっかりしていた。
 あの絵と説明でよくここまでポラルが理解してくれて、さらに博士達の再現力に脱帽だ。

《あのー、オレのも見て欲しいんす》

 そう言って“赤”が見せてくれたのは大小さまざまな土鍋。全部私達が使いやすいピッタリサイズ! 腕が素晴らしい!

「おぉー! 理想通り! ありがとー!」
《さっきと全然違うっす……》

 私の反応が先程とは違うとションボリしてしまい、充分嬉しいとフォローすることになった。
 いや、だってさ……頼んでいたものと、予想外のものだと予想外の方が驚きもあるじゃん?
 土鍋もめっちゃ嬉しいんだよ! ずっと欲しかったからね!

「二人はお礼は何がいい?」
《差し支えなければセナ様のジャムパンを頂けると嬉しく思います》
《オレは特にないんすけど、火のやつらには何かやって欲しいっす》

 博士は前回同様ジャムパンらしいので、ジャムパン三種類を三つずつ渡してあげるとホクホク顔で帰って行った。
 ジャムパンで反物が手に入るとは……

「火の子達は何がいいかなぁ?」
《火の子らもジャムパンは喜ぶと思います》

 ウェヌスが言うならそれでいいかと、ジャムパンを渡してあげると《まいど~す》と軽く“赤”が戻って行った。

 ウェヌス達と話していると、一時間も経たないうちに“赤”が戻ってきた。

《こんなうんめぇもん初めて食べたんす! 頑張ったらまたもらえるんすか!?》
《赤よ、落ち着け。あるじの手伝いをすればまたもらえる》
《ホントーすか? それなら頑張るんす! 何すればいいんすか!?》

 “赤”にキラキラと期待を込めて見つめられ、どうしようか考える。
 炭は今日使ったけどまだまだ在庫があるし、念願の土鍋も手に入った。

「うーん……あ! どんぶり作ってもらえる? 瀬戸物セトモノどんぶりが欲しかったんだよね」
《りょ~かいす!》
「あと、魔道具の子達がまた何か作ったら焼いてあげてくれる? そしたらまた私がここにきたときにジャムパン渡すよ」
《やった~す! 頑張るっす!》

 元気よく返事をして“赤”は再び戻って行った。
 それにしても……ジャムパン人気すぎじゃない? お昼のBBQより大興奮だったよ……

 精霊の国で野菜たっぷりディナーをご馳走になり、ウェヌスにキヒターの送りを任せて私達は宿に戻った。

 コテージのお風呂に入って宿のベッドにダイブ。

「あぁ~、楽しかったねぇ」
《ふふっ。セナちゃんが精霊の国を気に入ってくれて嬉しいわ!》
「みんな良くしてくれてるのに気に入らないわけないよ~」
《ふふふ。そういえば、チャノミーから渡された布で何作るの?》
「あれはねぇ~……ふふふっ。浴衣と甚平をまず作りたいんだよね」

 浴衣と甚平がわかっていないみんなに、以前ポラルに説明したときと同じようにデザイン画を描いて見せてあげる。
 私が以前描いたやつはポラルが精霊の国に置いてきたらしい。
 
「ミンサー織はさ、柄も可愛いんだけどちゃんと意味があるんだよー」
『意味?』
「ふふっ。ポラルは知ってるけどみんなにはまだ内緒! ね? ポラル」
〔ハイッ!〕

 みんなとお揃いとか作りたい。クラオルとかは法被はっぴみたいになっちゃいそうだけど。それならハチマキも作っちゃおうかなぁ~。ふふふっ。めっちゃ楽しみ!
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