転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

文字の大きさ
173 / 537
8章

気分はお祭り【3】



 ガイにぃが浴衣になると、イグねぇやパパ達も指パッチンで浴衣姿になり、お互いに見せ合っている。
 神様は服も指パッチンで変えられるのかと思って眺めていると、イグねぇに呼ばれた。

「セナ、ちとこっちへ」
「どうしたの?」
「ハナビを想像するのじゃ」

 私を抱っこして、おでことおでこをこっつんこしながらイグねぇに言われた。
 想像しろと言われると、思い出すのは日本有数の花火大会。大輪の花が夜空に咲き誇る所謂いわゆる尺玉、柳、千輪菊、ナイアガラと想像していく。

「面白いのぅ! もうよいぞ」

 イグねぇの声で閉じていた目を開くと、ワクワクした様子のイグねぇの笑顔のドアップが視界いっぱいに広がった。

「セナは驚いた顔も可愛いの」

 イグねぇは私のひたい、頬、髪の毛にチュッチュとキスを落としていく。
 会う度にスキンシップが激しくなっている気がする。
 相当ストレスが溜まっているのかもしれない。大丈夫かな?

「あ! そうだ! ダンジョンでね、新しいスライムの核手に入れたからいろいろ作ったんだよ」
「ほう! わらわ達に見せてくれるかの?」
「うん! 前に報告しようと思ったんだけど、ちょっと忘れちゃってた。ごめんね?」

 イグねぇは謝る私に再びキスを落とし、イスの上に座らせてくれた。

「ずっと気になっていたんだけど、この入れ物かな?」
「うん! これはプラプラスライムの核から作ったの」

 お好み焼きを入れていたプラスチック容器を指さしているガイにぃに教えてあげる。
 テーブルの上を片付けてから、スライムダンジョンで手に入ったスライムの核をテーブルの上に出すと、パパ達も興味深そうに見ていた。

「何作ったんだ?」
「んとね、いっぱい作ったんだー。まずは~……」

 ノーマルなスライムの核から作ったミルクプリンを出すと、全員に食べていいのかと聞かれたので全員分出した。作り置きしておいて良かった……
 みんなが食べている間に、テーブルの上に作ったものを広げていく。

「んぐっ。セナさんこれはなんですか?」
「これは保冷剤だよ。凍らせると、時間をかけて溶けていくから冷たさが長持ちするの。熱が出たときとか氷枕としても使えるし、暑いときとかは冷たくて気持ちいいよ」
「これはなんじゃ?」
「それは……」

 順番に全ての説明をしていくと、イグねぇが特に食い付いたのはクレイスライムの核だった。泥パックに惹かれたらしい。

 「これが一番需要がありそうだね」とガイにぃが手に取ったのはサンドスライムの核から作った中敷き。
 ブーツの中に入れたら蒸れないんじゃないかな? と思って作ったんだけど、私のブーツはパパ達の付与で蒸れないから効果が確かめられなかったやつだ。

「それ、ちゃんと効果があるのかわからないよ?」
「大丈夫だと思うよ。よく、足の痒みが治りますようにと教会に祈りにくる人がいるからね。たぶん発売したら爆発的に売れるんじゃないかな?」
「もしかして騎士団とか兵士さん?」
「そうだね。でも冒険者にも多いよ」
「な、なるほど……」

(この世界にも水虫が存在するのか……伝染うつされたくないな……)

「セナさんが想像しているのとは少し違うかな? 人に感染したりはしないから安心して」
「そうなの? 良かった……」
「乾燥したら治まるからね。そうだな……“あせも”みたいな感じかな?」
「なるほど。治るけど、また発症するのね」

 売るとしたらタルゴー商会か、デタリョ商会だろうなぁ……タルゴーさんは私のせいで忙しそうだから、ちょっと悩む。

「この核はまたもらっても大丈夫かな?」
「うん。もちろん! いっぱいあるから大丈夫だよ」

 パパ達四人に各核を一つずつ渡すと、「ポイズンスライムの核でわかったことがある」とアクエスパパが教えてくれた。
 ポイズンスライムの核は、中に込められている魔力が消費され尽くしたら、倒した後の核のように灰色になって使えなくなるらしい。ただ上手く使えばそこそこ長く使えるんだそう。
 偶然かはわからないけど、私が使っているスライムの核はいまだに使えている。
 パパ達いわく、「セナは無意識に上手く使っているんだろう」とのことだった。

「セナがいろいろと作ったことも考えて、おそらくドロップ品の下位互換だな」
「やっぱそうなんだ」
「あぁ。だが、使い方次第では同等にもなるから一概には言えなさそうだ。まさかこんなにセナがいろいろ作っているとは思わなかった」

 アクエスパパが笑いながら私が作った実験結果を見ながら言う。

「まさかスライムを食べる日がくるとはの。ほんにセナは面白い!」
「それって褒めてる?」
「もちろんじゃ! スライムは多いからの。きっとこの先もセナの気に入るやつも出てくるじゃろ」

 スライムは何種類いるのか聞いてみると、環境によって進化するためパパ達でも把握できていないらしい。以前グレンが言っていた通りだった。

「そういえばお仕事は大丈夫なの?」
「今日は大丈夫です! 明日からまた少し忙しくなりそうですが……」
「もしかして、私と会うために無理してくれた?」

 無理させてしまったかと心配になって聞くと、「僕達がセナさんに会いたかったんです!」とエアリルパパが言ってくれた。
 そうだ……パパ達は私に激甘だった……たぶん無理したんだな……少しでもパパ達がお仕事頑張れるようにご飯の差し入れをしてあげよう!



「ふむ。そろそろいい頃合いかの?」
「そうだね。せっかくならキヒターも呼んであげようか」

 イグねぇとガイにぃが話している内容がよくわからなくて、私は首を傾げた。
 ガイにぃが指パッチンをすると、ジョウロらしき物を持ったキヒターが私達のいるガゼボの前に現れる。

「へ!? あ! 女神様! と、神様!」
「ふふっ。私達はオマケだね」
「わぁー! 女神様の衣装初めて見ました! とってもキレイです!」
「ふむ。わらわ達は完全にオマケじゃの」

 キヒターの反応にイグねぇとガイにぃが苦笑いしていて、ちょっと申し訳なくなった。

 ガイにぃがせっかく呼んでくれたのでキヒターにも作った浴衣を着させてあげる。帯はウェヌスとエルミスがやってくれた。
 エルミスもすぐ覚えてくれたけど、一回見せただけで覚えちゃうウェヌスもすごい。

 ガゼボの草原にいる全員が浴衣姿。キヒターは「女神様とお揃いっ!」と語尾に音符のマークが付きそうなくらい喜んでくれている。

「あ! そうだ! みんな出てきてー」

 私が影に向かって言うと、ネラース達はすぐに出てきてちょこんとおすわりしてくれた。
 クゥッ……可愛い!

「あのね、みんなとお揃いでいつも身に付けられるモノ作ったの」
『『『『!?』』』』
『それワタシ達も?』
「うん! ここにいる全員のだよ」
『ほんとですか?』

 心配そうに聞いてくるクラオルとグレウスを撫でながら「そうだよ」と返すと二人とも嬉しそうに体を擦り寄せてくる。

「みんなを驚かせたかったからね。エルミスとポラルは巻き込んじゃったんだけど。まずはクラオルからね」

 クラオルの腕に作った私のイニシャルブレスレットを「いつもありがとう」と付けてあげると、腕を持ち上げて『わぁ~』と見つめ始めた。
 特にデザインは疑問に思わないらしい。
 グレウス、エルミス、プルトン……と全員の腕に付けて、動きが邪魔にならないか確かめてもらう。
 ネラース達には小さいサイズから巨大サイズまで大きさを変えてもらって、付け心地を確認してもらった。
 自動サイズ調整の付与がちゃんと機能したらしく、問題はないらしい。浴衣のベストも気に入ってもらえたみたい。

「大丈夫そうで良かった。最後はパパ達ね」
「僕達のもあるんですか!?」
「うん。いらなかった?」
「とんでもない! とっても嬉しいです!」
「えへへ。良かった」

 私が立っている場所に素早く寄ってきたパパ達にも順番に付けていく。

「これはあっちの文字だね?」
「うん。私のイニシャルだよ」
「いいね。セナさんと繋がっている感じがする」

 ガイにぃの呟きがどういう意味かわからないけど、喜んでくれているみたいだから気にしなくてもいいかな? 悪い意味じゃなさそうだし。

「気分も上昇したことじゃし、やるかの!」
「そしたらみんなはここに座ってくれるかな?」

 気合い充分のイグねぇと、草原に大きな敷物を用意するガイにぃ
 私達が座ったのを確認すると、パパ達四人は手を高く挙げ同じタイミングで指を鳴らした。
 瞬間――草原は暗闇に支配された。
 再び指を鳴らす音が聞こえると、ポンッポンッと提灯のような柔らかな光が空に浮かび上がった。

「おぉっ」
「お楽しみはこれからじゃ」

 ニヤリとイグねぇが私に笑いかけ、パチンッパチンッと両手で指を鳴らす。

――――ヒューー……ドンッ!

「おおおおお! 打ち上げ花火だー!」

 一発、二発と夜空に大輪の打ち上げ花火が咲いていく。

 前の人生でも久しく見ていなかった打ち上げ花火に私の目は釘付け。

「ふふっ。成功だね」
「目が輝いておるの」
「喜んでくれましたね」
「あぁ。それにしても花火はキレイだな」

 パパ達の会話が聞こえていたけど、特等席で見る花火が美しすぎて私は言葉にならなかった。

感想 1,819

あなたにおすすめの小説

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

フェンリルに育てられた転生幼女は『創作魔法』で異世界を満喫したい!

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
旧題:フェンリルに育てられた転生幼女。その幼女はフェンリル譲りの魔力と力を片手に、『創作魔法』で料理をして異世界を満喫する。  赤ちゃんの頃にフェンリルに拾われたアン。ある日、彼女は冒険者のエルドと出会って自分が人間であることを知る。  アンは自分のことを本気でフェンリルだと思い込んでいたらしく、自分がフェンリルではなかったことに強い衝撃を受けて前世の記憶を思い出した。そして、自分が異世界からの転生者であることに気づく。  その記憶を思い出したと同時に、昔はなかったはずの転生特典のようなスキルを手に入れたアンは人間として生きていくために、エルドと共に人里に降りることを決める。  そして、そこには育ての父であるフェンリルのシキも同伴することになり、アンは育ての父であるフェンリルのシキと従魔契約をすることになる。  街に下りたアンは、そこで異世界の食事がシンプル過ぎることに着眼して、『創作魔法』を使って故郷の調味料を使った料理を作ることに。  しかし、その調味料は魔法を使って作ったこともあり、アンの作った調味料を使った料理は特別な効果をもたらす料理になってしまう。  魔法の調味料を使った料理で一儲け、温かい特別な料理で人助け。  フェンリルに育てられた転生幼女が、気ままに異世界を満喫するそんなお話。  ※ツギクルなどにも掲載しております。

過保護すぎる家族に囲まれて育ったら、外の世界が危険すぎました 〜冷酷公爵の父と最強兄たちに溺愛される日々〜

由香
恋愛
過保護な父と兄たちに囲まれて育った少女。 初めての外は危険だらけ——のはずが、全部“秒で解決”。 溺愛×コメディ×ほんのり成長の、ほっこり家族物語。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。