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9章
神の使いと創世の女神の正体
「セナさん!」
ポラルを抱きしめながらうずくまっていた私を、エアリルパパが安心させるように優しく抱きしめてくれた。
「セナさん、僕が来たのでもう大丈夫ですよ」
「うぅ……パパ……」
エアリルパパの服をギュッと掴むと「ふぐぅっ」と変な声が聞こえてきた。
「え……大丈夫?」
「大丈夫ですよ。疲れが吹き飛びました。セナさんを泣かせるようなやつはお仕置きですね」
音が怖くてちょっと涙目だったかもしれないけど……決して泣いてはいないし、疲れが吹き飛ぶ意味がわからない。
エアリルパパが私にニッコリと微笑むとパンッと何かが弾けるような音がした。
「「セナ!」」
「大丈夫かい?」
いつもの三人も再び助けに来てくれて、私の頭を代わる代わる撫でてくれた。
『うぅ……なんでオイラが……』
「こやつが妾の可愛いセナを苛めたんじゃな?」
いつの間にか床に転がっているチンチラを、イグ姐が紅い炎を手に睨みつけた。
『……神? なんで神が……』
「なぜ? 俺のセナを苛めたからだろうが!」
「うっ! パパ、ポラルが風邪引いちゃう!」
「おぉ……悪かった。セナは大丈夫か?」
アクエスパパか吹雪を起こしかけたのを止めると、怒りを抑えてくれた。
「セナさんはちょっと私と一緒に出ていようか?」
「パパ達はチンチラ苛めるの?」
エアリルパパからガイ兄の腕の中に移された私が質問すると、パパ達は「うっ」と胸を押さえた。
(え? もしかして調子悪い?)
「大丈夫だよ。私達の誰も具合は悪くないから。コレとは少ーしお話するだけだよ」
「ホント?」
私が確認すると、パパ達はコクコクと頷いた。
ガイ兄に抱っこされたまま神殿を出ると、どうして私が攻撃されていたのかを聞かれた。
ヘドロの話をするとガイ兄は「それはいいね」と大爆笑。
「あんなに怒ると思ってなかったんだよ」
「ちゃんと見れば、セナさんが毒を撒くなんてことするハズがないのがわかると思うんだけどね」
ガイ兄は笑いが治まらないまま、私を抱えている逆の手で頭をポンポンしてくれた。
泉で【浄化玉】を回収して浄化ができているか聞くと、浄化自体はできているけど、辺りに漂ったままの濃密な魔力をなんとかしなきゃいけないらしい。
私がパパ達を呼んだせいで、さらに濃密な魔力になってしまい、私ではどうしようもないと言われてしまった。
「私達が揃って来ちゃったからね。あ、セナさんのせいじゃないから自分を責めてはいけないよ。私達はセナさんに頼られて嬉しいんだからね」
パチンとウィンクをキメられて、謝りそびれてしまった。
ガイ兄の案で、ポラルと三人で泉のほとりに座ってお茶を飲む。
三十分ほど経った頃、神殿内から爆発音が聞こえておったまげた。
私は一瞬にしてガイ兄の腕の中に抱きとめられていて、駆けつけられない。
「何!? 話し合いじゃなかったの!?」
「あぁー……気にしないでってのは無理だよね?」
「無理。ガイ兄?」
「全く。セナさんに心配かけないでもらいたいね」
ガイ兄は呆れたようにため息を吐いて、私を抱えたまま立ち上がった。
神殿の中に入ると、檻に入れられたチンチラが喚き散らしながら、檻から出ようと暴れていた。
「どうなってるんですか? 外に音が響かないように気をつけてくれないとセナさんが心配するでしょう」
「あやつがホンに話を聞かぬのじゃ! お、セナ~」
イグ姐は私に気が付くと目尻を下げて頭を撫でてくれた。
「はあ……私達の話まで聞かないとは……セナさんがグレン達の目覚めに間に合わなかったらどうしてくれるんだろうね。こうなったら女神にお灸を据えてもらおうか」
「女神って、創世の女神?」
撫でられているまま、ガイ兄を見上げると頷かれた。
「私達がお仕置きしてもいいんだけど逆恨みされそうだし、何よりセナさんが嫌でしょう?」
「うん。チンチラ、何も悪いことしてないでしょ?」
むしろお礼言わなきゃいけないと思うんだよね。
チンチラが抵抗してくれなかったら村人は全滅だったかもしれないし、ガルドさん達も危なかったかもしれない。
「冷静になって誤解が解けたら普通にお話できると思うの」
そう私が言うと、エアリルパパは「セナさん……」と瞳をうるうるさせ、アクエスパパ達とイグ姐には「優しすぎる!」と揉みくちゃにされた。
「ふふふ。やっぱりセナさんは特別だね。これからココに呼ぶから、セナさんは私達から離れないようにしててね」
「わかった!」
ガイ兄が抱えていた私をパパ達の真ん中に降ろすと、パパ達は片手を頭上に高く上げて何かを唱え始めた。
魔力の渦がグルグルと私達を取り囲み、神殿の中にいるはずなのに空が暗くなったのがわかった。
「え? えぇー!? ちょっ、これ、えっ!?」
私のネックレスに通していた指輪が浮き上がり、何かに呼応するかのように小刻みにプルプルと震えている。
天井からキラキラと光輝く黒色の粒子が集まって徐々に人型を形成し始めた。
全身がシルエットのように形作られると波打つように輝き、聞き覚えのある声質が「ヒャーッヒャッヒャ」と響いた。
「魔女おばあちゃん!?」
「随分と探しましたよ。ヴィエルディーオ様。すでに会っているのでしょう? キチンとした姿を見せてあげて下さい」
ガイ兄が言うと、シルエットだった人型は頭から色を纏っていく。
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