転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

文字の大きさ
224 / 537
9章

創世の女神



 その姿は、私が会っていた魔女おばあちゃんとはかなり違っていて、二十歳はたちくらいの優しそうなお姉さん。艶々つやつやで黒いストレートな髪の毛は、お尻より長かった。
 ベトナムのアオザイみたいな服装でスタイル抜群。
 私と目が合うと、大きな黒い瞳をイタズラそうに細めて再び「ヒャーッヒャッヒャ」と楽しそうに笑った。
 声は見た目相応に若返っているけど、声質と笑い方までは変わっていない。見た目とのギャップが激しい……

「ホントにおばあちゃん?」
「ヒャーッヒャッヒャ。いかにも。この姿を見せるつもりはなかったんじゃが……」
「お久しぶりですね」

 私が若返ったおばあちゃんの登場に驚いていると、ガイにぃが声をかけ、パパ達は四人共頭を下げた。

「セナさんはあまり驚いていないんだね」
「いや、ビックリしてるよ。パナーテル様じゃないのはわかってたけど、まさかおばあちゃんだとは思わなかったもん」

 なんでおばあちゃんがレア素材を安く私に売ってくれるのか、行く先々の街で会えたのか、パパもわからないを知っていたのか、創世の女神だとすれば納得してしまう。

「セナはいつの間に会ってたんだ?」
「あれ? アクエスパパに言ってなかったっけ? カリダの街で最初にスコップとかごとパジャマ売ってくれたんだよ。その後もいろんな街で便利道具売ってくれたの」
「カリダの街!? 最初の街じゃないか! あ! あれか! セナの様子がちょっと見れなくなったとき! なんで俺達は知らないのにガイアが知ってるんだ!」
「セナさんに、お礼をしたいから優しいおばあさん用に時間経過しない箱を作って欲しいとお願いされたからだよ。クラオルに確認して確証を得たんだ。セナさんにもクラオルにも教えてはいなかったけどね」
「なんで俺達に言わない!」
「ずっと隠れてたのに、セナさんに会ったのは何か理由があるのかと思ってね」

 アクエスパパがガイにぃに詰め寄ると、ガイにぃがシレッと返した。

「私達が何か言って、会えなくなったらセナさんが悲しむでしょう? セナさんの役立つ道具をいろいろと作ってあげてたみたいだし、ね?」
「うん! いつも安く売ってくれるの! でもアレ、作ってくれてたんだね。知らなかった。ありがとう! おばあちゃん?」

 私がお礼を言うと、おばあちゃんはひとしきり笑った後「いつも通りがいい」と言ってくれた。
 アクエスパパは私が懐いているから、文句が言えなくなっちゃったみたいで「むむむ」と黙り込んでしまった。

「セナさんはいつ、パナーテル様ではないと気が付いたのですか?」
「んとね、確信を持ったのは今日アーロンさんに報告受けたとき。〝創世の女神は闇の女神とも呼ばれていたらしい〟って言われて」
「それだけですか?」
「うん。アクエスパパは水と氷、エアリルパパは風と雷、イグねぇは火、ガイにぃは土と草、パナーテル様は光でしょ? 元々、闇って誰が担当なんだろうって思ってたんだよね。で、もう一人いるなら辻褄が合うなって思って」

 調べた内容ではパナーテル様のイメージと違ったから、最初から違和感があった。
 エアリルパパの質問に答えると、パパ達は目を丸くさせた。
 そんな驚く内容じゃなかったと思うんだけど……
 おばあちゃんはパパ達の様子見てまた笑ってるし……

わらわ達が探していたときは、てんで姿を現さなかったのに……そなたの神使がセナを怖がらせたのじゃ! なんとかせい!」

 イグねぇがビシッとチンチラを指さし、チンチラがいつの間にか倒れていることに気が付いた。
 ヒールをかけようと駆け寄ると、どうやら気絶……または眠っているらしい。
 ホッと胸を撫で下ろすと、おばあちゃんが近くまできて「すまんかったの」と頭を撫でてくれた。
 おばあちゃんの手は不思議と安心する。えへへと見上げると、おばあちゃんは優しく目を細めていた。



 おばあちゃんがチンチラに話をするらしく、私はパパ達と神殿の隅でお昼ご飯。
 ご飯を食べていなかったことを怒られてしまい、エアリルパパの膝の上でアクエスパパに食べさせられている。ただのサンドイッチなのに……
 そんな私に、四人が大昔のことを教えてくれた。

 おばあちゃん――ヴィエルディーオ様がこの世界を創った。
 人族、獣族、魔族は創世の女神として崇めていた。
 しかし、平和な時代ときが過ぎ、ヴィエルディーオ様は思った。は面白そうだと。
 そこでヴィエルディーオ様は、中心となり得る光の女神を創り、その女神を支えるようにとパパ達を創った。
 おのれの闇魔法をパパ達に分け与え、パパ達がちゃんと闇魔法を扱えるようにした。
 そして……ヴィエルディーオ様はパパ達に指示を出し、天界からいなくなった。
 月日が流れ、時代が移り変わり……いつからかヴィエルディーオ様は人々から忘れ去られてしまった――

「おそらく気に入ったんだろうね。千年ほど探したんだけど、見つからなかったんだよ。千年探してダメだったから探すのを止めたんだ」
「千年!?」

 とんでもない年月に驚愕だ。
 しかも、別れてから今の今まで一度も会っていなかったらしい……

「俺達は寂しいとかそういう感情で探していたわけじゃない。そんな顔するな。ほら、あーん」
「ん、あーん」

 アクエスパパに言われてまたひと口食べた後、なぜ探してたのか聞いてみると……自分達に仕事を丸投げしたからってことだった。
 どっちかというと恨みじゃなかろうか……

 私が食べ終わったタイミングで、おばあちゃんが「終わったよ」と声をかけてきた。
 特に音も聞こえなかったのに、チンチラはかなり小さくなっていて、クラオルと変わらないサイズに。
 おばあちゃんが私を紹介すると、チンチラは『ゴメンなさい』と頭を下げてくれた。

『仕方ないからオイラが付いていってやる』
「まだお仕置きが足りないのかな?」

 ガイにぃがニッコリと問いかけると『ひっ! ゴメンなさい』とまた頭を下げた。調子のいい性格みたい。

「私家族いっぱいいるし、困ってないよ?」
『なっ!? オイラはいらないのか!?』
「いらないっていうか……」
〔イラナイ!〕
「ポラル!?」

 ポラルが拒否して驚いた。
 おなかにくっ付いていたポラルは、言い終わった後、グリグリとおなかに顔を押し付けてくる。何か思うところがあるらしい。
 チンチラは可愛いけど、ポラルが嫌がるなら契約はしたくない。
 私の守りが強くなるから契約してもいいとパパ達は思っていたらしいけど……結局、契約はしないで遊びにこられるように、チンチラのと私の空間を繋げることになった。

「さて、ヴィエルディーオ様には神界に戻って仕事を手伝ってもらいますよ」
「ヒャーッヒャッヒャ!」
「笑って誤魔化してもダメです! 今、大変なんですから! あっ! ちょっと!」

 ガイにぃがおばあちゃんに向き直ると、おばあちゃんは一際ひときわ大きく笑った。そんなおばあちゃんにエアリルパパがプリプリと怒ると、おばあちゃんはフワリと浮かび上がって笑い声を残して消えてしまった。
 最後に「またの」って聞こえた気がする。

「逃げられたな……」
「まぁ、予想はしてたけどね」

 アクエスパパの呟きにガイにぃが苦笑いを零した。

「セナさんを村まで送りますね。おそらくグレンが最初に目覚めると思います」
「わかった! 忙しいのに来てくれてありがとう!」
「セナならいつでも呼んでよいからの」

 ここに溜まった魔力はパパ達がなんとかしてくれるらしいので、パパ達にギュッと抱きついてお別れの挨拶をした。
 イグねぇに頭をポンポンとされると、空気が動き、私は村の入り口に立っていた。

感想 1,819

あなたにおすすめの小説

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

過保護すぎる家族に囲まれて育ったら、外の世界が危険すぎました 〜冷酷公爵の父と最強兄たちに溺愛される日々〜

由香
恋愛
過保護な父と兄たちに囲まれて育った少女。 初めての外は危険だらけ——のはずが、全部“秒で解決”。 溺愛×コメディ×ほんのり成長の、ほっこり家族物語。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。