転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

文字の大きさ
225 / 537
9章

待望の目覚め



 急いで村長宅に戻って、クラオル達を呼んだ。
 途中で待っていてくれたウェヌスには、パパ達が連絡しておいてくれてたらしく、ヤキモキさせずに済んでホッとした。
 ガルドさん達が眠っている部屋からコテージに移動してグレンの部屋へ。
 グレンは一時間もしないうちに目が覚めてくれた。

〈ん……ん?〉
「グレン!!」
〈セナ? どうした?〉

 私がガバッと抱きつくと、グレンは驚きながらも受け止めてくれた。

「グレン……グレン……よかった……」
〈セナ? なぜ泣いている? 何かあったのか? 村人か? 始末するか?〉
『覚えてないの?』
〈何をだ?〉

 グレンは眠ってからのことを覚えていなかった。普通にいつも通り寝ていたつもりだったらしい。
 グレンにしがみついて泣く私の代わりに、ジル達がグレンに説明と聴き取りをしてくれた。

〈なら、われは何日も眠っていたのか?〉
《そうよ! セナちゃん大変だったんだから!》
〈ふむ。体は何ともない。大丈夫だから泣くな〉

 泣き止まない私をグレンが抱きしめ、背中をトントンしてくれた。



 グレンに抱きかかえられたまま村長に起きたことを報告すると、村長は大喜びで泣きながら村人達に報告すると家を飛び出して行った。
 私達はガルドさん達の部屋に戻って、ネラース達も呼んでグレンが眠っていた間のことを話した。

「んとね、グレンとエルミスとプルトンは事後報告になっちゃったんだけど……ジルが精霊と契約したの」

「そ。紹介するね。ジル」

 私が促すと、ジルはアルヴィンを影から呼び出した。

《アルヴィンだ。よろしく頼む》


 アルヴィンが挨拶すると、プルトンとエルミスは何かに気が付いたらしい。一応挨拶はしたけど、様子を窺うような目をして決して近付かない。
 三人に念話でワケを説明すると、特に不満もなく納得したみたい。
 みんなが揃ったところで、泉でのチンチラの話をすると、クラオルに『契約したの!?』と首元をグイグイされてしまった。

「契約してないよー。ポラルが拒否ったんだよ」
〈よくやった!〉
「特に契約するつもりはなかったけど、何でそんなに嫌なの?」
『……だって……神の使いなんか従魔にしたら、ワタシ達がいる意味がなくなっちゃうじゃない……』

 クラオルは居心地悪そうにモゴモゴと教えてくれた。

「ふふっ。そんなこと心配してたの? んもう、可愛いんだから! 私にとってはみんな大好きで大切な家族だよ? 一緒にいてくれなきゃ寂しくて生きていけないよ」

 クラオルとグレウスを持ち上げてスリスリすると、二人とも体を擦り寄せたあと頬にチュッとキスしてくれた。

「はわぁ! 可愛すぎ!」
『『キャ~』』

 クラオルとグレウスにじゃれつくと、嬉しそうに喜んでくれ、そこへ『ズルい!』とネラース達が飛び込んできて、モフモフにもみくちゃにされた。

 久しぶりの全員集合に、グレンが眠ってから張り詰めていた心がほぐれていく。
 まだガルドさん達は起きていないけど、気持ち的には軽い。
 部屋の密度はすごいけど、家族の笑顔が一番だね!



 しばらく話していると、ネラース達は飽きたのか、ドアからコテージに遊びに行った。開けっ放しだから気が済んだら戻ってくると思う。

「セナ様、本日の夕食はいかが致しますか? まだ村人が起きていないとすると、作らなければならないかと思いますが」
「そうだね。眠ってる人がいつ起きても大丈夫なように余分に渡さないと。って、あ! 井戸の水大丈夫になったのかな?」
『そうそう。たぶん大丈夫だけど、念の為に【浄化玉】を入れてってガイア様から伝言よ』
「わかった!」

 どうせならと村人のご飯は井戸の近くで作ることにした。
 エルミスにガルドさん達を任せて、スープを作っていると、グレンが起きたことを聞いた村人達が集まってきた。
 ちゃんと起きていることを自分の目で確認すると、瞳に希望を宿し、口々くちぐちにお祝いとお礼を述べられた。
 ポラルに頼んでいた【浄化玉】を回収して、スープを配り、井戸が使えるようになったことを伝えると涙を流す村人まで現われた。

「目を覚ますまでちょっと時間がかかるかもしれないけど、みんなが元気じゃないとね。いっぱい食べて起きるの待とうね!」

 私が声をかけると歓声が上がり、元気を取り戻した村人達はスープと飲み水を持って戻っていった。

「ありがとうございます……村に希望が……」
「お礼を言うのは早いよ。まだ村長も奥さん達起きてないでしょ?」
「そうですね……起きたときにしっかりしていなければ嫁と子供に笑われてしまいます」
「うんうん。村長もちゃんと食べてね」

 村長にもスープを渡して、私達はガルドさん達の部屋に戻った。
 ネラース達がコテージから戻ってきていて、ガルドさんをベッドの周りから四人で覗き込んでいた。

「どうしたの?」
《もうすぐ起きそうらしい》
「ホント!?」
〈セナ、われは腹が減った〉
「じゃあ、ご飯食べながら待とうか?」

 グレンが肉を食べたいかと、ピンクオークの生姜焼き丼を大盛りで出してあげると大喜び。
 もうジルにも食べさせていいと許可が下りたので、ジルも普通盛りの同じもの。
 アルヴィンは見たことのない食事だと恐る恐る食べてから感動していて、ジルが「セナ様の料理は世界一なのです」と、自分のことのように言い聞かせていた。

「ん……俺は……?」
「ガルドさん!」

 ガルドさんが起きて、食べていたご飯をそっちのけで私はガルドさんに飛びついた。

「セナ? なんか美味そうな匂いが……」
「ふふっ。ガルドさんも食べよ?」

 ガルドさんには普通のオークの生姜焼きを作って渡してあげると、おなかが減っていたのかガツガツと食べ進め、何回も作ることになった。

「ふぅ。生き返った。初めて食べたが美味いな……」
〈セナの料理だからな!〉

 ガルドさんは五杯目の生姜焼き丼を食べ終わって、ようやく少し落ち着いたらしい。六杯目を作って渡すと、また食べ始めた。

 ジュードさん達が回復してから記憶がないと言うガルドさんに、かいつまんで説明すると、自分も眠り病になっていたことに驚いていた。
 グレンと同じく、普通に目が覚めた感覚らしい。

「またセナに助けられたのか……」
「ガルドさんが起きたから村の人達喜ぶよ!」
「全く……また無茶しやがって……」

 そう咎めるガルドさんの声は優しく、ガシガシと頭を撫でられた。
 お兄ちゃん具合と、口元くちもとにご飯粒が付いているのが相まって笑っちゃうと、ペシッと軽くデコピンされてしまった。

「なぁ、これ、もしかして従魔か?」
「うん。ニヴェスは前に会ったでしょ? ネラース、アクラン、ルフスだよ。可愛いでしょ?」
「はぁ……またお前は……」

 ガルドさんは盛大なため息をついた後「よろしくな」と挨拶してくれた。
 ネラースが撫でろ撫でろと体を擦りつけると、ガルドさんはおっかなびっくり撫でてあげていて、微笑ましい。
 しばらく撫でた後、ガルドさんは村長に起きたことを報告しに行った。

「アーロンさんに報告しないとだけど、ここからあんま離れたくないから手紙でいいかな?」
われが飛んでいくか?〉
「それはダメ。病み上がりだからグレンはゆっくりしなきゃなの」

 グレンはちょっと嬉しそうに〈そうか〉とだけ呟いた。

感想 1,819

あなたにおすすめの小説

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

フェンリルに育てられた転生幼女は『創作魔法』で異世界を満喫したい!

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
旧題:フェンリルに育てられた転生幼女。その幼女はフェンリル譲りの魔力と力を片手に、『創作魔法』で料理をして異世界を満喫する。  赤ちゃんの頃にフェンリルに拾われたアン。ある日、彼女は冒険者のエルドと出会って自分が人間であることを知る。  アンは自分のことを本気でフェンリルだと思い込んでいたらしく、自分がフェンリルではなかったことに強い衝撃を受けて前世の記憶を思い出した。そして、自分が異世界からの転生者であることに気づく。  その記憶を思い出したと同時に、昔はなかったはずの転生特典のようなスキルを手に入れたアンは人間として生きていくために、エルドと共に人里に降りることを決める。  そして、そこには育ての父であるフェンリルのシキも同伴することになり、アンは育ての父であるフェンリルのシキと従魔契約をすることになる。  街に下りたアンは、そこで異世界の食事がシンプル過ぎることに着眼して、『創作魔法』を使って故郷の調味料を使った料理を作ることに。  しかし、その調味料は魔法を使って作ったこともあり、アンの作った調味料を使った料理は特別な効果をもたらす料理になってしまう。  魔法の調味料を使った料理で一儲け、温かい特別な料理で人助け。  フェンリルに育てられた転生幼女が、気ままに異世界を満喫するそんなお話。  ※ツギクルなどにも掲載しております。

過保護すぎる家族に囲まれて育ったら、外の世界が危険すぎました 〜冷酷公爵の父と最強兄たちに溺愛される日々〜

由香
恋愛
過保護な父と兄たちに囲まれて育った少女。 初めての外は危険だらけ——のはずが、全部“秒で解決”。 溺愛×コメディ×ほんのり成長の、ほっこり家族物語。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。