転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

文字の大きさ
227 / 537
9章

最後の一人



 二日後の朝ジュードさんが目覚め、同じ日の夜モルトさんが目を覚ました。やっぱり眠り病にかかっていた記憶はなく、普通に起きた感覚らしい。
 二人共私がいることに驚き、そして喜んでくれた。
 助けてもらったお礼を言うと、逆にお礼と謝罪をされてしまった。

 それから一週間も経つと、村人はほとんどが目覚め、残すところ後数人。
 元気になった村人達が私達が滞在できる家を作ってくれ、部屋は別だけど、ガルドさん達と同じ家で寝泊まりするようになった。

 さらに一週間で村人は全員目を覚ました。
 村は眠り病にかかる以前の状態に戻り、村人は各々おのおの活動をしている。
 なのに……なのに、なぜかコルトさんだけ起きてくれない。
 パパ達も理由はわからないらしい。


 その間、グレンは体がなまるとよく狩りに行っていた。ちなみに、ガルドさん達が苦労したモントモンキーという猿の魔物はグレンによって狩り尽くされました……
 ジルはジルで村のお婆さん――ヘルバばぁから薬草の話を聞いたり、ガルドさん達に稽古を付けてもらったりしている。アルヴィンはエルミスとプルトンに教わりながらジルのサポート。ジルの成長を見守れるのが嬉しいらしい。
 グレンとジルはガルドさん達に慣れ、村人達とも仲良くしている。
 ジルはガルドさん達によく撫でられていて、少し恥ずかしそうに照れながらも嬉しそうな姿をよく見かけた。
 私は街に買い物に行ったり、アーロンさんやブラン団長やタルゴーさんと連絡を頻繁に取っていて、なんだかんだと忙しく過ごしている。



 毎日交代交代で付いていて、今日は私がコルトさんを見守る番。とは言っても、ガルドさん達は狩りに出かけていないものの、グレンとジルは村にいる。

 コルトさんにポーションを飲ませ、私はベッド横のイスに座った。
 コルトさんは眠ったままだから話かけても反応はない。それでも、反応してくれるんじゃないかと期待して話しかけてしまう。

「今日のお昼はチキンタツタバーガーだったんだよ。コルトさんは鶏肉好き? ……ねぇ、コルトさん。コルトさん起きたらアーロンさんがお城に来いって言ってたよ。王都に行ったら一緒にカレー食べよ? あとね、美味しい果実水のお店があるんだよ。ねぇ、コルトさん……」

 ペラペラと一人で喋り続け、会ったときからのことを思い返す。

 記憶がなくて正体不明だった私をガルドさん達はいつも守ってくれていた。
 歩くときはモルトさんに手を引かれて、走るときはみんなの背中におんぶしてもらってた。
 コルトさんの光魔法キレイだったんだよねぇー。走るときは忍者みたいで揺れなかったし……ストレッチするときに寝ぼけてることも多くて、目をゴシゴシする姿は可愛かった。
 私が号泣しちゃったときも、支離滅裂なこと言ってたと思うけど、コルトさんは根気よく聞いてくれた。
 私が恥ずかしがるからと歌ったやつも秘密にしてくれたんだよね……しかも一回でサビのメロディー覚えちゃうっていう。

 思い出して、懐かしむように私のくちからメロディーが零れていく。
 それは開けた窓から風に乗り、村全体に広がっていった。

「うひっ!」

 もうすぐ曲が終わるというとき、腕を取られてベッドに引きずり込まれた。

「コルトさん?」
「……会いたかった……夢でも嬉しい……」
「コルトさん!」

 私がギューっと抱きつくと「夢じゃない?」と呟かれた。

「起きてくれてよかった!」
「……起きた?」

 コルトさんは状況をよくわかっていないらしく、眠ったまま起きなかったと教えると目を丸くさせた後、何かに納得したように頷いた。

「……だから……」
「ん? コルトさん?」
「……夢、だと思う……ずっと何かが身体に絡みついて動けなかった……でも会えないなら動けなくてもいいと思ってた……そしたら……あの歌が聞こえた……すぐ近くで……会いたくて手を伸ばしたら……絡みついてたのが消えてなくなって…………目の前に会いたかった子がいた」

 最後は嬉しそうに優しく微笑みながらギュッと抱きしめてくれた。
 私の歌が起こすキッカケになったみたい。もっと早く歌えばよかった……

「……本当に無事でよかった。ケガは?」
「大丈夫だよ。助けてくれてありがとう!」
「……ううん。最後助けてくれたのはキミでしょ? ありがとう」

 コルトさんは私の鼻をツンツンして笑った。

「……ガルドさん達は?」
「みんないるよ。今は狩りに行ってる」
「……そっか。謝らないと」
「謝る?」

 コルトさんは、自分のせいでみんなが大変だったと思っているらしい。そんな話はガルドさん達から聞いてないんだけど、気に病むならそうした方がいい。言わないまま誤解が誤解を生んですれ違いになっちゃうかもしれないからね。

 ひとまず紹介したい人がいると、グレンとジルにコルトさんが起きたことを念話で飛ばした。
 二人とも急いで駆け付けてくれ、グレンはコルトさんのベッドの中にいる私を見て警戒心を露わにした。

〈グルルルル〉
「グレン?」
〈貴様……われのセナから手を離せ!〉
「……セナ?」
「私のことだよ。思い出したの。私の名前はセナ・エスリル・ルテーナ」
「……セナ。いい名前……」
〈ぬぁぁ! さっさと解放しろ!〉
「わわっ!」
「……あ」

 グレンはしびれを切らしたのか、ズカズカと歩いてきてをひったくった。
 残念そうなコルトさんにフンっと鼻を鳴らし、〈われのセナだ〉とさっきと似たようなセリフを言った。

「んもう! ビックリしたじゃん!」
〈何もされてないだろうな?〉
「へ? あはは! 何かあるわけないよー。コルトさんだし、クラオルとグレウスも一緒だよ?」
〈ふむ。ならいい〉

 グレンは納得したのか、一度グリグリと頬ずりした後、抱きかかえていた私を降ろしてくれたのでコルトさんにジルとグレンを紹介した。
 グレンがドラゴンだと教えると、コルトさんは目をまん丸にして驚いていた。

「ガルドさん達にも教えないとね。んーと……今は森にいるね」
われが呼んできてやる。ジルベルトはこやつを見張ってろ〉
「かしこまりました」

 窓から飛び立ちそうなグレンを引き止めて、ついでにお願いとアーロンさんへのお手紙とネルピオじいに伝言を頼んだ。



 ガルドさん達は急いで戻ってきてくれた。狩っていた魔物はグレンがちゃちゃっと倒しちゃったんだそう。

 ガルドさんは起きたコルトさんを見て、うるうるとしながらも「心配かけやがって」とこずいていた。
 ジュードさんもモルトさんも、コルトさんが起きたことに大喜びで、子供のようにじゃれついている。

 私達が騒いでいたからか、最後の一人であるコルトさんが目を覚ましたことは村中にあっという間に広まり、村全体でお祝いムード。

 村長が「うたげをしましょう!」と村人に声をかけると、あれよあれよという間に、村の中心にあるレリーフの回りには村人が持ち寄った素朴なご馳走が並んだ。
感想 1,819

あなたにおすすめの小説

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

過保護すぎる家族に囲まれて育ったら、外の世界が危険すぎました 〜冷酷公爵の父と最強兄たちに溺愛される日々〜

由香
恋愛
過保護な父と兄たちに囲まれて育った少女。 初めての外は危険だらけ——のはずが、全部“秒で解決”。 溺愛×コメディ×ほんのり成長の、ほっこり家族物語。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。