転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

文字の大きさ
245 / 533
第二部 10章

マースールー迷宮たる所以【10】

しおりを挟む


 眩しさに閉じていた目を開けると、目の前には魔物の大群が待ち構えていた。
 目視できるだけでもオーク系、ゴブリン、牛、馬、熊、虎……と、多種多様な魔物が鎧や武器を持って武装している。全魔物が二足歩行の筋骨隆々のマッチョだった。

「うおっ!」
〈チッ! モンスターハウスか! 気を付けろ!〉

 ガルドさんにいきなり襲いかかってきたゴブリンを弾き飛ばしながら、グレンが叫んだ。
 モンスターハウス――別名パニックルーム、または殺人部屋。ダンジョンの中に存在する、魔物で溢れ返った部屋のことを示す。

 今までのマッチョな筋肉を見せびらかしていた魔物とは違って、攻撃をしかけてくる。スピードも速いし、攻撃力が桁違い。
 みんな散らばって各々おのおの向かってくる魔物からの攻撃を回避しながら攻撃していく。
 私も例に漏れず、刀と短剣を握りしめて向かってくる敵を魔法で牽制しながら切り倒す。

 ガルドさん達は魔物の力任せの攻撃に耐えるのでいっぱいいっぱいみたい。
 プルトンに結界を担当してもらい、私はゲームのように攻撃力とスピードが上がるように願いながら、みんなの身体に魔力をまとわせた。
 ガルドさん達は「なんだこの感覚は」と驚いていたけど、圧され気味だった魔物の攻撃を逆に弾き返していた。
 ぶっつけ本番だったけど、成功したらしい。

 混戦というよりも大乱闘と言った方がいいかもしれない。
 ただ、グレンやネラース達は楽しそうにイキイキと魔物を狩っていて、精霊達は淡々と魔法を放つ姿が対比的。

「ジル!」
「ありがとう、ございます」

 ジルに向かって飛んできた弓矢を風魔法で撃ち落とした。
 魔物なのに飛び道具で的確に狙ってくるなんて厄介だ。
 アルヴィンにジルをちゃんとフォローするように言い、ルフスにガルドさん達の回復を頼む。
 倒しても倒しても一向に減らない魔物にちょっと焦ってくる。

《セナ様、そのまま魔力を使い続けるのは危険です》
「でもっ、ここ乗り切らないとっ!」

 みんなに魔力をまとわせたことで魔力がゴリゴリ減っていくのはわかってるけど、みんなの安全を考えたら解除はできない。
 マジックポーションを飲みながら敵を倒していると、ウェヌスの雰囲気が変わった。

《グレン! ネラース達も! 遊んでないでさっさと片付けますよ! セナ様の負担になっているのがわからないのですか!? どきなさい!》

 いつになく声を張り上げたウェヌスは、言いながら手の平から光線を出した。それはまばゆい光を放ちながら敵に真っ直ぐ発射され、線上にいた魔物を焼却していく。
 見た目は完全にバトル漫画のパフパフ好きな仙人の必殺技……の片手バージョン。

「わお……」

 ウェヌスの攻撃に圧倒されていると《プルトン! マズイ! ガルド達を守れ!》とエルミスが叫んだ。
 私はエルミスに抱えられ、同じくアルヴィンに抱えられたジルと共に入り口近くまで後退させられる。
 ウェヌスはグレンやネラース達がいるのも構わず何回も光線を放ち、ネラース達は巻き込まれないようにと右往左往。
 ドン! ドーン! と激しい音を立て、衝撃で部屋全体が揺れている。

《まだ理性があるだけマシだな……》
「ネラース達が危ないよ!」
《いや、キチンと避けられるようにしているから大丈夫だ。見てみろ》

 エルミスに言われて見てみると、ネラース達はウェヌスの攻撃に合わせて魔物を追い詰めていた。
 慌てていたのは最初だけだったらしい。
 ウェヌスが光線を出し始めてから二十分ほど経つと、魔物はほとんどいなくなり、床にはそこらじゅうにドロップ品が転がっている。
 最後の一発をお見舞いして全て魔物が消えたのを確認したウェヌスは《ふぅ……》と息を吐いた。いつものウェヌスに戻ったみたい。

《セナ様、大丈夫ですか?》
「う、うん。私は大丈夫だけど、ウェヌスは大丈夫? ポーション飲む?」
《私を心配していただいてありがとうございます。ポーションは大丈夫ですが、少々興奮してしまいましたのでセナ様のシャーベットをいただけたら嬉しいです》

 あんなにボンボン破壊光線を出していたのに疲れも見せないウェヌスは、私が想像していたよりも遥かに強いことがわかった。

《ちょっと! こっちのことも考えてくれる!?》
《おや、あまり被害が出ないようにしましたが? それともあのままセナ様が倒れてもよかったと言うのですか?》
《んもう! そんなこと言ってないじゃない!》

 ガルドさん達を結界で守ってくれていたプルトンがウェヌスに怒ると、ウェヌスはシレッと返した。プルトンは言い返せないのか〝ぐぬぬ〟と悔しそう。

「プルトン、ありがとう。大丈夫?」
《セナちゃーん!》

 プルトンはをエルミスから奪い取り、私の頭にスリスリと頬ずり。
 これは……いつもイグねぇにやられてる感じだ。
 腕を伸ばしてプルトンの頭を撫でてあげると、少し落ち着いてくれたみたい。

「ドロップ品回収しないと」
《それはセナ様に負担をかけた彼らにやってもらいましょう。わかりましたね?》

 ウェヌスがニッコリとネラース達に笑いかけると、ネラース達はビクッと反応した後すぐにドロップ品を集め始めた。

 グレンとネラース達がドロップ品を集めてくれている間に私達はラグを敷いて休憩。
 ガルドさんと精霊達にとりあえずのジャムパンを渡し、疲れているみんなのために特別なシャーベットを作る。

「ウェヌスってすごいんだねー! オレっちあんな魔法初めて見たよー!」
「だな……結局、俺達はあんま役に立ってねぇな……」
「まさか精霊の本気を見られるとは思いませんでした」
《あれはウェヌスの本気ではない》
「「「「え」」」」
《ええ。少し熱くなってしまいましたが、本気ではありませんね》

 ガルドさん達と精霊の話を聞きながら、チートなリンゴを使った〝アポの実シャーベット〟を完成させ、みんなに配った。
 回収してきてくれたネラース達を撫でて労い、ネラース達にも渡すと大喜びでがっついている。
 私も食べると、リンゴパワーで体力も魔力も回復していくのを実感。

「なんだこのシャーベットは……おい、セナ!」
「みんな疲れてるから特別だよ」

 ガルドさんは聞きたかったみたいだけど、私が言わないことがわかったのか「ったく」と呆れたように言い、残りのシャーベットを食べた。
 一緒にいてもらってるのにあんまり秘密が多いのはちょっと嫌。パパ達からの許可をもらったらちゃんと話したい。引かれないといいんだけど……

しおりを挟む
感想 1,816

あなたにおすすめの小説

転生したら幼女でした!? 神様~、聞いてないよ~!

饕餮
ファンタジー
  書籍化決定!   2024/08/中旬ごろの出荷となります!   Web版と書籍版では一部の設定を追加しました! 今井 優希(いまい ゆき)、享年三十五歳。暴走車から母子をかばって轢かれ、あえなく死亡。 救った母親は数年後に人類にとってとても役立つ発明をし、その子がさらにそれを発展させる、人類にとって宝になる人物たちだった。彼らを助けた功績で生き返らせるか異世界に転生させてくれるという女神。 一旦このまま成仏したいと願うものの女神から誘いを受け、その女神が管理する異世界へ転生することに。 そして女神からその世界で生き残るための魔法をもらい、その世界に降り立つ。 だが。 「ようじらなんて、きいてにゃいでしゅよーーー!」 森の中に虚しく響く優希の声に、誰も答える者はいない。 ステラと名前を変え、女神から遣わされた魔物であるティーガー(虎)に気に入られて護られ、冒険者に気に入られ、辿り着いた村の人々に見守られながらもいろいろとやらかす話である。 ★主人公は口が悪いです。 ★不定期更新です。 ★ツギクル、カクヨムでも投稿を始めました。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

4/10コミック1巻発売!【完結】魔王様、溺愛しすぎです!

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
ファンタジー
2026/01/20追記 『魔王様、溺愛しすぎです!』のコミカライズ情報、解禁となりました! TOブックス様から出版、1巻が4/10発売予定です。 キャラクターデザインに『蒼巳生姜(@syo_u_ron)』先生! 以前表紙絵をお願いした方です(*ノωノ) 漫画家は『大和アカ(@asanyama)』先生です° ✧ (*´ `*) ✧ ° 連載については改めて発表させていただきますね_( _*´ ꒳ `*)_ 「パパと結婚する!」  8万年近い長きにわたり、最強の名を冠する魔王。勇者を退け続ける彼の居城である『魔王城』の城門に、人族と思われる赤子が捨てられた。その子を拾った魔王は自ら育てると言い出し!? しかも溺愛しすぎて、周囲が大混乱!  拾われた子は幼女となり、やがて育て親を喜ばせる最強の一言を放った。魔王は素直にその言葉を受け止め、嫁にすると宣言する。  シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。 【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう 【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264) 挿絵★あり 【完結】2021/12/02 ※2026/01/20 1巻発売日(4/10)発表! ※2025/12/25 コミカライズ決定! ※2022/08/16 第3回HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門 一次審査通過 ※2021/12/16 第1回 一二三書房WEB小説大賞、一次審査通過 ※2021/12/03 「小説家になろう」ハイファンタジー日間94位 ※2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過作品 ※2020年8月「エブリスタ」ファンタジーカテゴリー1位(8/20〜24) ※2019年11月「ツギクル」第4回ツギクル大賞、最終選考作品 ※2019年10月「ノベルアップ+」第1回小説大賞、一次選考通過作品 ※2019年9月「マグネット」ヤンデレ特集掲載作品

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。