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11章
懐かれない男
温かいスープを飲んで落ち着いた二人に、ジュードさんがおかわりをよそってあげている。
「懐かしいねー。セナっちと初めて会ったときみたいー」
「ふふっ。そうだねぇ~」
不思議そうな顔をしているツィンク君達に、「私が森で迷子になっていたとき、ガルドさん達に助けてもらったんだ」と説明すると驚かれた。
「私も迷子だったから迷子仲間だね!」
「まいご、なかま……」
ツィンク君はオウム返しのように呟いて、ホワンと微笑んだ。安心できたみたい。
食べ終わったツィンク君兄弟は、ニヴェスを枕に眠ってしまった。手を握りあっているのが仲よし兄弟を物語っていて、大変微笑ましい。
私はみんなにデザートのフルーツを配り、戻ってくる間に聞いたことをみんなに話した。
「匂い鉱石なんて初めて聞いたぞ?」
「あくまでも予想だけど、使い道がないんじゃないかな? だから格安でしか売れないし、流通しないんだと思う」
「村まで送るのはいいが、歩かせるのか?」
「ううん。ガルドさん達と一緒にネラース達に乗ってもらおうかと。後ろから支えたら、少しスピード出しても大丈夫かなって」
コルトさんとモルトさんは二人乗りだけど、ガルドさんとジュードさんは一人乗りだ。兄弟で離れちゃうけど、兄弟だけで乗るよりは確実に安全。
「今日はこのまま寝かせて、明日出発かな?」
グレンは不満そうだけど、ガルドさん達は頷いてくれた。
彼らを毛布の上に移動させた後、再びウェヌスを呼ぶ。明日の朝まで起きないように、ウェヌスの魔法で深い眠りについてもらう。
グレンはストレスを発散しに狩りに行き、残った私達は明日の相談。
森を迂回するより、このまま真っ直ぐ向かった方が早い。親が心配しているだろうから、なるべく早く会わせてあげたい。
彼らが森で掘った匂い鉱石は、魔物に追われたときに捨てたらしく、持っていなかった。
もし、使えるモノだったら私も欲しいし、使えるモノだった場合はまたタルゴー商会にお世話にならなきゃいけないかもしれない。
夜、ストレスが発散しきれなかったのか、不機嫌なままのグレンに抱き枕にされて眠ることになった。寝る前に十分ほどよしよしと撫でて、ようやく機嫌が直ったみたい。
────────────────────
翌朝、私達がストレッチしていると、ツィンク君兄弟が起きてきた。
モジモジしながら「おはよう」と挨拶してくる様子は可愛らしい。
朝ご飯を食べたら出発。
スピードを出すから危険なことを伝えても彼らは兄弟で離れるのを渋る。「それなら好きな大人を選んで」と言うと……ツィンク君はコルトさん、セブダル君はモルトさんを選んだ。
ガルドさんは選ばれなかったことで「やっぱり……」とショックを受け、そんなガルドさんを見てジュードさんが笑っている。
ジュードさんは選ばれると思ってたのに……ちょっと意外だ。
二人がモルトさんとコルトさんを選んだことで、ガルドさんとジュードさんが一緒にアクランに乗ることになった。
精霊のことを知らない彼らの前では、精霊達に抱えてもらうことはできない。そのため、グレンの背中にはジルが、腕の中には私。文字通り、おんぶに抱っこ状態。ちゃんと落ちないようにクラオルの蔓でおんぶ紐みたいにしてある。
村に着くまでは私達は戦わない予定。
エルミスとプルトンが大きな魔物を狩り、弱い魔物はガルドさんとジュードさんが担当。モルトさんとコルトさんはツィンク君兄弟の守り。
戦わない私達は暇なので道中ずっとお喋り。モルトさん達もそれぞれ兄弟と話していて、賑やかだ。
途中の休憩やご飯時にはジュードさんがオカンを発揮してい、よく世話を焼いている。
なのに、ツィンク君兄弟はなぜかガルドさんにはあまり近寄らず……近付いても必要最低限の会話しかせず、離れてしまう。
年齢が近いからか、私とジルにもよく話しかけてくるのに……
ガルドさんは普通を装っているけど、背中が寂しそう。必然的に私とジルと一緒にいることが増えた。心なしかグレンもガルドさんに優しい。
そんな二日間をすごし、フィメィ村に着いたのは三日目のお昼。休憩をよく取っていたからか、思っていたよりも時間がかかった。
村人に驚かれてしまう可能性を考えて、ネラース達は村の手前で影に入ってもらった。
私とジルもグレンから降りて、ここからは歩き。
「ここ、ボク達の村」
「とりあえず、ご両親に会わせていただけますか?」
「「うん!」」
モルトさんが優しくお願いすると、ツィンク君兄弟は揃って元気に頷いた。
ツィンク君はコルトさんの手を、セブダル君はモルトさんの手を引っ張って村の中を歩いていく。
村は一言で言えば過疎村。ソイヤ村よりも、ヒュノス村よりも全体的に廃れてボロボロだった。掘っ建て小屋のような簡素な建物に、歩いている人は老人ばかり。
その老人達の服もあちこち破れてツギハギだらけ。お風呂はないかもしれないけど、「ちゃんと【クリーン】かけてますか?」と聞きたいくらい薄汚れていた。
そのせいなのか、匂い鉱石のせいなのか……村中になんとも表現しづらい香りが漂っている。
冒険者が珍しいのか、私達はものすごく注目を集めたまま、ツィンク君兄弟の家に着いた。
「ただいま!」と小屋のような家に入っていく二人に続くと、家には誰もいなかった。
「そうだ……今の時間、父ちゃん、母ちゃん。坑道にいる」
「そうですか……待たせていただいても?」
「うん……」
自分達を待っていてくれなかったのがショックだったのか、ツィンク君は肩を落とした。
そんなツィンク君を元気付けようと、「じゃあ、みんなでご飯食べて待ってよ?」と声をかけると、途端に二人共笑顔で返事をしてくれた。
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