転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

文字の大きさ
261 / 537
11章

懐かれない男



 温かいスープを飲んで落ち着いた二人に、ジュードさんがおかわりをよそってあげている。

「懐かしいねー。セナっちと初めて会ったときみたいー」
「ふふっ。そうだねぇ~」

 不思議そうな顔をしているツィンク君達に、「私が森で迷子になっていたとき、ガルドさん達に助けてもらったんだ」と説明すると驚かれた。

「私も迷子だったから迷子仲間だね!」
「まいご、なかま……」

 ツィンク君はオウム返しのように呟いて、ホワンと微笑んだ。安心できたみたい。
 食べ終わったツィンク君兄弟は、ニヴェスを枕に眠ってしまった。手を握りあっているのが仲よし兄弟を物語っていて、大変微笑ましい。

 私はみんなにデザートのフルーツを配り、戻ってくる間に聞いたことをみんなに話した。

「匂い鉱石なんて初めて聞いたぞ?」
「あくまでも予想だけど、使い道がないんじゃないかな? だから格安でしか売れないし、流通しないんだと思う」
「村まで送るのはいいが、歩かせるのか?」
「ううん。ガルドさん達と一緒にネラース達に乗ってもらおうかと。後ろから支えたら、少しスピード出しても大丈夫かなって」

 コルトさんとモルトさんは二人乗りだけど、ガルドさんとジュードさんは一人乗りだ。兄弟で離れちゃうけど、兄弟だけで乗るよりは確実に安全。

「今日はこのまま寝かせて、明日出発かな?」

 グレンは不満そうだけど、ガルドさん達は頷いてくれた。
 彼らを毛布の上に移動させた後、再びウェヌスを呼ぶ。明日の朝まで起きないように、ウェヌスの魔法で深い眠りについてもらう。
 グレンはストレスを発散しに狩りに行き、残った私達は明日の相談。
 森を迂回するより、このまま真っ直ぐ向かった方が早い。親が心配しているだろうから、なるべく早く会わせてあげたい。

 彼らが森で掘った匂い鉱石は、魔物に追われたときに捨てたらしく、持っていなかった。
 もし、使えるモノだったら私も欲しいし、使えるモノだった場合はまたタルゴー商会にお世話にならなきゃいけないかもしれない。

 夜、ストレスが発散しきれなかったのか、不機嫌なままのグレンに抱き枕にされて眠ることになった。寝る前に十分ほどよしよしと撫でて、ようやく機嫌が直ったみたい。

────────────────────

 翌朝、私達がストレッチしていると、ツィンク君兄弟が起きてきた。
 モジモジしながら「おはよう」と挨拶してくる様子は可愛らしい。

 朝ご飯を食べたら出発。
 スピードを出すから危険なことを伝えても彼らは兄弟で離れるのを渋る。「それなら好きな大人を選んで」と言うと……ツィンク君はコルトさん、セブダル君はモルトさんを選んだ。
 ガルドさんは選ばれなかったことで「やっぱり……」とショックを受け、そんなガルドさんを見てジュードさんが笑っている。
 ジュードさんは選ばれると思ってたのに……ちょっと意外だ。

 二人がモルトさんとコルトさんを選んだことで、ガルドさんとジュードさんが一緒にアクランに乗ることになった。
 精霊のことを知らない彼らの前では、精霊達に抱えてもらうことはできない。そのため、グレンの背中にはジルが、腕の中には私。文字通り、おんぶに抱っこ状態。ちゃんと落ちないようにクラオルのつるでおんぶ紐みたいにしてある。

 村に着くまでは私達は戦わない予定。
 エルミスとプルトンが大きな魔物を狩り、弱い魔物はガルドさんとジュードさんが担当。モルトさんとコルトさんはツィンク君兄弟の守り。

 戦わない私達は暇なので道中ずっとお喋り。モルトさん達もそれぞれ兄弟と話していて、賑やかだ。
 途中の休憩やご飯時にはジュードさんがオカンを発揮してい、よく世話を焼いている。
 なのに、ツィンク君兄弟はなぜかガルドさんにはあまり近寄らず……近付いても必要最低限の会話しかせず、離れてしまう。
 年齢が近いからか、私とジルにもよく話しかけてくるのに……
 ガルドさんは普通を装っているけど、背中が寂しそう。必然的に私とジルと一緒にいることが増えた。心なしかグレンもガルドさんに優しい。

 そんな二日間をすごし、フィメィ村に着いたのは三日目のお昼。休憩をよく取っていたからか、思っていたよりも時間がかかった。

 村人に驚かれてしまう可能性を考えて、ネラース達は村の手前で影に入ってもらった。
 私とジルもグレンから降りて、ここからは歩き。

「ここ、ボク達の村」
「とりあえず、ご両親に会わせていただけますか?」
「「うん!」」

 モルトさんが優しくお願いすると、ツィンク君兄弟は揃って元気に頷いた。
 ツィンク君はコルトさんの手を、セブダル君はモルトさんの手を引っ張って村の中を歩いていく。

 村は一言で言えば過疎村。ソイヤ村よりも、ヒュノス村よりも全体的に廃れてボロボロだった。掘っ建て小屋のような簡素な建物に、歩いている人は老人ばかり。
 その老人達の服もあちこち破れてツギハギだらけ。お風呂はないかもしれないけど、「ちゃんと【クリーン】かけてますか?」と聞きたいくらい薄汚れていた。
 そのせいなのか、匂い鉱石のせいなのか……村中になんとも表現しづらい香りが漂っている。
 冒険者が珍しいのか、私達はものすごく注目を集めたまま、ツィンク君兄弟の家に着いた。

 「ただいま!」と小屋のような家に入っていく二人に続くと、家には誰もいなかった。

「そうだ……今の時間、父ちゃん、母ちゃん。坑道にいる」
「そうですか……待たせていただいても?」
「うん……」

 自分達を待っていてくれなかったのがショックだったのか、ツィンク君は肩を落とした。
 そんなツィンク君を元気付けようと、「じゃあ、みんなでご飯食べて待ってよ?」と声をかけると、途端に二人共笑顔で返事をしてくれた。


感想 1,819

あなたにおすすめの小説

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

過保護すぎる家族に囲まれて育ったら、外の世界が危険すぎました 〜冷酷公爵の父と最強兄たちに溺愛される日々〜

由香
恋愛
過保護な父と兄たちに囲まれて育った少女。 初めての外は危険だらけ——のはずが、全部“秒で解決”。 溺愛×コメディ×ほんのり成長の、ほっこり家族物語。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。