文字の大きさ
大
中
小
224 / 502
11章
フィメィ村
全員が入るといっぱいいっぱいのため、私達は家の前にコンロを出した。
兄弟はワクワクした様子で、モルトさんとコルトさんの隣りに座っている。
ジュードさんとご飯を作りながら考えるのは、この村の人々のこと。
普通、自分の子供じゃなくても、迷子になっていた知り合いが戻って来たら、大騒ぎになりそうなもんなのに……この村の人達は遠目に見て、ヒソヒソ話しているだけ。プルトンとエルミスに頼んで内容を聞いてもらったら、「なんで冒険者が……」と、私達についてだった。
親を呼びに行くこともなく、ただ喋っている村人にモヤモヤが募る。
子供もチラホラ見えるけど……私達に警戒しているのか、近付いて来ない。
「(ねぇ、セナっち。この村のことどう思うー?)」
「(やっぱり、ジュードさんもおかしいと思う?)」
「(普通もっと喜ぶよねー? オレっち達に近付いて来ないってことは、昔、冒険者と何かあったのかもしれない。何か言われること、覚悟しておいた方がいいと思うー)」
ジュードさんと小声で会話して、そういう可能性もあるのかと納得した。
お昼ご飯を食べても両親は戻って来ず、私とジルは地面に木の棒で文字を書いて、ツィンク君兄弟に算数を教えてあげている。
話せるけど文字が書けないため、数字から。若いからか、私達が正解する度に褒めちぎるからか……一時間もすると、指を使って数えれば、簡単な計算までできるようになっていた。
次のステップとして硬貨を出すと、見たことがないと大興奮。そんな二人に、買い物と仮定した計算のやり方を教えていく。
◇
結局、両親が戻って来たのは夕方だった。
両親も村の老人達と変わらず、痩せていて、着ているのはボロボロの服。しかも土まみれだった。
両親はツィンク君達を見た瞬間、走り寄ってきて二人を抱きしめた。
心配はしていたんだとホッとする。
「探した」という両親に、ツィンク君が私達に助けられたと説明。それを聞いた両親は「ありがとうございます」とペコペコと私達に頭を下げた。
「ケガ、セナちゃん、ポーションくれた!」
「スープおいしかったの!」
「まぁ! ポーションに食事まで……本当にすみません……あの……申し訳ないのですが、うちにはそれを買えるだけのお金がありません……」
「あはは! それは大丈夫だよー。オレっち達、冒険者だからねー。よかったなー?」
ジュードさんがツィンク君とセブダル君をワシャワシャと撫でると、二人は嬉しそうに笑った。
両親から話しを聞くと、この村の大人は朝から夕方まで坑道で匂い鉱石を採掘しているらしい。
それは村全体の生活がかかっていて、子供が行方不明になったとしても免れない。そのため、子供には一人では村を出ないように言い聞かせているそう。
ちょっといろいろ言いたくなったけど……私の気持ちを察したのか、ガルドさんに頭を撫でられた。
父親と共に、村長に私達の滞在許可をもらいに行くと、投げやりに「構わん。勝手にしろ」という一言で済まされた。
一切世話はしないから、全て自分達でなんとかしろってことみたい。
両親にも夜ご飯を食べさせ、私は家の横に馬車を出した。急に現れた馬車を前に、両親は腰を抜かし、ツィンク君兄弟は「すごい! すごい!!」と大興奮。中を見学かするか聞いてみると、高級そうなモノには気後れするらしく、勢いよく拒否られた。
ツィンク君達は夜遅くなっても私達から離れたがらず、むしろ働いてきた両親の方が船を漕いでいる。
ツィンク君とセブダル君を言いくるめて家の中に入ってもらい、私達はようやく馬車に入った。
────────────────────
翌朝、ご飯を食べて両親を見送ったら、ツィンク君兄弟と一緒に森へ向かう。
昨日「坑道によそもんは入れられない」って言われたから、それなら森でゲットしちゃおうってなったんだよね。
森の中をを鑑定しながら進み、ついでに薬草の豆知識をツィンク君達に教えていく。
ぶっちゃけ私は、採取のやり方をしっかりとすれば、匂い鉱石より薬草の方が高額で買い取ってもらえると思う。
森があるのに採取は最低限、畜産も農業もやっていない。なんでそこまで匂い鉱石にこだわるのかがわからない。
ツィンク君達は私達と行動を共にしていたせいか、将来は冒険者になりたいらしい。
彼らは年下の私をバカにするワケでもなく、屈託なく「セナちゃん、すごい!」と褒めてくれる素直な子達だ。セブダル君なんかは「おねぇちゃんみたい」なんて、可愛いことを言ってくれている。
「あ! この辺かな?」
鑑定に引っかかった場所をスコップで掘る。すると、直径二、三センチほどの赤っぽい鉱石が出てきた。
「それはレッド玉だよ」
「レッド玉?」
「父ちゃん達、そう呼んでる」
「なるほど」
(こんなに簡単に採掘できるとは……)
鑑定してみても〝熱すると香りを放つ鉱石〟としか書かれていない。
レッド玉が出た、すぐ近くを掘ってみると……今度は緑色の鉱石が出てきた。
「グリーン玉だ! それ、珍しい!」
「マジか!」
日本の鉱石みたいに同じ鉱石が集合しているワケではなく、すぐ近くに違う色の鉱石が出てきたことにもビックリだよ。
途中、お昼ご飯で休憩を取り、一日中みんなでスコップ片手に森の地面を掘りまくった。
トータルでそこそこの量をゲット。赤と緑以外にも茶色、黄土色、薄茶色、紫色、ピンク色と、十種類以上の色の鉱石。
ツィンク君も全ての色を把握しているわけではないらしい。「坑道、入れない。わからなくてごめんなさい」と謝られてしまった。
鉱石は村の住民にバレると「買い取れ!」と言われるかもしれないとのことで、全て私が無限収納に収納。買い取ってもよかったんだけど、ツィンク君達が嫌がった。
村に戻って、ご飯を食べた後、私は馬車の中からコテージへ。
ガルドさん達はツィンク君達と遊んであげている。
感想 1,825
あなたにおすすめの小説
親に放置された四歳の末娘ですが、前世の知識で家のお金の使い込みを見つけて追放されました〜もふもふ聖獣と、おいしいものを食べる旅に出ます〜
子爵家の末娘リリア、四歳。家族の誰にもかまわれず、屋敷のすみで育ちました。
でも私には、前の人生の記憶があります。数字を見ると、勝手に計算してしまうんです。
ある日、お父様の帳簿のお金の使い込みを、うっかりその場で言ってしまいました。
返ってきたのは「出来損ない」の一言と、追放でした。持たされたのは銅貨23枚だけ。
いいでしょう。それなら、この銅貨23枚を開業資金にします。
森で助けた銀色のもふもふな子犬のフェンと一緒に、つぶれかけのお店を立て直しながら、おいしいものを食べる旅に出ます。
つぶれかけのパン屋さんは村一番の人気店に。ガラクタだらけの雑貨屋さんは町一番のお店に。
私はただの経理顧問。なのに、まわりが勝手に大騒ぎしていきます。
え? 今さら「家がつぶれそうだからお金を何とかして」?
……ふふ。数字は、うそをつきませんよ。
※本作は、既存作品を全面的に改稿(リライト)した作品です。
捨てられた三歳の聖女ですが、辺境伯家に拾われたら家族全員が過保護でした
神殿で無能と決めつけられ、三歳で捨てられた少女リリア。
辺境伯家に保護された彼女は、厳つい辺境伯やお兄様たち、領民にまで溺愛されながら幸せな日々を送ることに。
けれど実はリリアは、数百年に一人現れる伝説級の聖女だった。
これは捨てられた幼女聖女が、たくさんの愛に包まれながら成長していく物語。
結婚式の夜に愛人を連れてきたので、署名せずに帰ります
結婚式の夜、夫となったはずの侯爵さまが、披露宴の席に愛人を連れてまいりましたの。
「彼女も今日からこの屋敷に住む。君は正妻なのだから、寛大に受け入れるように」ですって。
義母は「騒げば恥をかくのはあなたよ」と微笑むし、お客さまたちは見て見ぬふり。まあ、皆さまそろって、なし崩しにするおつもりですのね。
けれど、おあいにくさま。この国の結婚は、式を挙げただけでは成立しませんのよ。婚姻誓約書に夫婦双方が署名し、三日以内に神殿へ納めて、はじめて夫婦。
――そしてわたくし、まだ署名しておりませんの。
既成事実は、事実ではございませんのよ。
捨てられた赤ちゃんを拾ったら、創世神様でした。世界を救うより、お父さんを幸せにしたいそうです
山で捨てられていた赤ちゃんを拾い、家族として育てることを決めた青年。
その日から、枯れた大地は実り、病は癒え、伝説のもふもふ神獣たちが次々と家へ集まってくる。
実はその赤ちゃんの正体は、この世界を創った創世神だった。
「いっぱい育ててくれてありがとう。今度は私がお父さんを幸せにする番だよ。」
これは、神様が初めて手に入れた”家族”との、優しくて温かな奇跡の物語。
夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。
七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!!
初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。
2024年5月 書籍一巻発売
2025年7月 書籍二巻発売
2025年10月 コミカライズ連載開始
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
側妃を紹介されたので、その婚約はお断りいたします
公爵令嬢ヴィオレッタは、王子の婚約披露の日に、もうひとりの令嬢を「側妃に」と紹介された。
逆らってはいけない――そう信じて微笑んだわたくしは、濡れ衣を着せられ、お腹の子を奪われ、雪の離宮でひとり息を引き取った。
けれど目を開けると、そこはあの婚約披露の日。時間が、巻き戻っていた。
今度は、飲み込まない。今度は、微笑まない。
前の生で覚えた数字も、罠も、あの女の手口も、ぜんぶ覚えている。
「その婚約、謹んでお断り申し上げます!」
涙を武器にする令嬢に、二度は負けない。そして――誰も見ていないと思っていた場所で、ずっとわたくしを見ていた騎士がいた。
これは、運命に流されるだけだったわたくしが、自分の人生を"選び直す"物語。
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。