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11章
河べりの街パラサー
それから順調に進み続け、私は実験三昧の日々を送っている。
あのとき魔道具の子達が作ったのは日本の戸建てサイズの燻製器だった。私は自分で生ハムを作るつもりだったんだけど、精霊達は私にお願いされると思っていたみたい。
巨大土鍋や戸建て燻製器はそのままに、私が使いやすいサイズも作ってもらった。
大量のオーク肉を渡し、現在生産中。
紅花油を作る機械もバッチリ! 多少試行錯誤はしたものの、収穫したサフロームの花はそこまで消費しなかった。仕組みを説明してくれたんだけど、私には圧搾することしか理解できず、ちんぷんかんぷん。
まぁ、精霊達も新しい物を作るのは楽しいみたいなのでいいよね!
道中の街や村では基本的に歓待か、リアクションなく普通に接せられるかの二パターン。泊まるだけだったり、気が向いたらギルドで依頼を受けたりと気ままにすごしている。毎度食材の買い物は大量だけど、ギルドへ素材を卸しているから、懐は痛まない。むしろ逆に潤ってしまい、お店で余分に買っているくらい。
そうこうしているうちに、隣国であるルィーバ国の領地に入った。
この国は水源が豊富で、森はもちろんのこと、湖、池、小川、大河、湿地……と基本的に各街の近くにどれかが存在しているらしい。
マップを確認していると、馬車を引いているニヴェスから『近いですン』と声がかかった。
ネラース達は影に入ってもらい、ニヴェスにはスピードを落としてもらう。
御者席に座るジルの隣りにお邪魔して、だんだんと近付く街を眺める。
「セナ様、楽しみ……でございますか?」
「わかる? 大きな河べりの街なら、お魚の美味しいお店とかあるかもだよ!」
「ふふっ。僕はセナ様の料理にかなう物はないと思いますが、セナ様が笑顔だと嬉しいです」
ジルは今日も絶好調に信者だった。
アクエスパパがお魚を無限収納にたくさん送ってくれたけど、海のお魚が多かった。だから今回は川魚をゲットできたらいいな!
門に並んで検問を受けていると、なぜか私達とガルドさん達を分けられて別室に移動させられた。
何もしていないのに、街の警備を担当する騎士団は態度が悪い。
イライラするグレンをジャムサンドクッキーで宥め、精霊達に様子を探って来てもらう。
戻ってきたプルトンが教えてくれたのは、「青みがかった銀髪の少女が来たら知らせろ」という命令が下っていたということ。
私達を捕まえる理由がわからない。グレンは〈高ランク冒険者だから囲い込もうとしているんじゃないか?〉なんて怪しんでいるけど、私はCランク。そこまで高ランクじゃない。
小部屋で放置されること一時間。煌びやかな甲冑を着ている男性が訪れた。
「貴様達を釈放する。フンッ。何をやったか知らないが、運のいいやつめ」
とっても偉そうに鼻を鳴らした騎士は、ぞんざいに私達を部屋から追い出した。
建物の入り口には既にガルドさん達が待っていてくれ、みんな揃って捕まえられていた建物を出る。
「何だったんだ?」
「よくわかんない。何にも説明されなかった」
「セナっち達もー? オレっち達もそうだったよー」
「ですが、セナさんが無事でよかったです」
モルトさんとコルトさんが微笑みながら頭を撫でてくれた。自分のことより私を心配してくれていたみたい。相変わらず優しい人達だ。
「気分を変えて、冒険者ギルドに宿を聞きに行こー!」
私が言うと、ガルドさん達は笑って頷いてくれた。
この街は港街のように賑わっている。それもそのはず、街は大河の岸に造られていて、捕れた魚を売り捌くお店が多い。
北へ向かうには大河を横断しなきゃいけないため、人を乗せて運ぶ船のマストが河岸に並んでいるのが見える。船は映画でよく見る海賊船みたいな木造の帆船。
正真正銘の大河の港街。ワイワイというより、ガヤガヤ。お店の呼び込みの声が早口で、枯れているのがまた魚河岸っぽい。これは完全に私の勝手なイメージだけど。
雑多な雰囲気がこう、ワクワクしてくるよね!
冒険者ギルドへ着くと、ギルマス応対だった。キアーロ国からもシュグシュグタイルハン国からもお知らせがきていたらしい。
応接室でギルマスと素材の売買について話してから、宿の手配をしてもらう。
この街の宿は身分によって泊まれる宿のランクが違うそう。貴族は貴族専用の宿で、平民や冒険者は門前払いされるんだって。
平民や冒険者が泊まれる宿は基本的にどこも似たり寄ったりらしく、「ご飯が美味しいところ」とお願いしておいた。
ギルドを出た私達はそのまま街を散策。
小腹が空いたので屋台エリアに向かう。
「おぉー! お魚の屋台がいっぱい!」
小さい魚は鮎の塩焼きみたいな丸焼きが多いけど、スープや炒め物のお店もある。
キョロキョロとあっちこっち視線を動かしていると、グレンに〈迷子になりそうだ〉と抱っこされてしまった。
むぅ……否定できないのが悲しい……でもでも、マップがあるから戻って来られるんだよ!
そう伝えると〈我から離れるな〉と一言で済まされた。
「人が多い。諦めろ。んで、何食いたいんだ?」
「あれ! あの串焼き食べてみたい!」
ガルドさんに聞かれて、私はとある屋台を指さした。
「おじさん七本ちょうだい!」
「二本セットで売ってっから八本か六本だ」
「じゃあ八本で!」
「あいよ! 銅貨八枚だ!」
日本の居酒屋の焼き鳥みたいにセット販売は初めてだ。こういうシステムもあるのかと内心驚いた。
屋台のおじさんは焼き上がった串焼きから渡してくれた。お持ち帰り用の袋や紙やお皿はなく、このまま食べ歩くスタイルみたい。
私が買ったのは魚とお肉が交互に串に刺さっている串焼き。ネギマならぬサカナマ?
「ん~……お肉もお魚もパサパサだ……」
「屋台はこんなもんじゃないか?」
「そうなの? キアーロ国で食べた串焼きは美味しかったよ?」
〈セナ。その残りは誰が食べるんだ?〉
「食べる?」
〈うむ!〉
余った残りの一本をグレンに渡すと、パクン! パクン! と二口で食べ終わってしまった。
まだまだ足りなさそう。
結局、おなかいっぱいになるまで屋台巡りをしてから宿に向かう。
宿は前にニャーベルの街で泊まったような大衆宿……のちょっと下ランク。お風呂及びシャワーなし、共同トイレ、ご飯は別払い。三人部屋がなかったので、四人部屋。部屋は狭く、全体的に埃っぽい。
宿泊料金は安かったから、値段相応だと思う。ガルドさんは「こういう宿は久しぶりだな。汚ぇのが気になっちまう。慣れって怖ぇな」と苦笑い。確かに、王都ではイペラーさんのキレイで広い宿だったし、移動中はほとんどコテージだったもんね。
でも私は、みんなには清潔なところで寝泊まりして欲しいよ!
と、いうことで、宿の部屋に勝手にクリーンをかけさせてもらった。埃っぽさがなくなり、許容範囲。
おなかいっぱいの私達は夜ご飯を食べることなく、就寝。
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