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11章
心強い味方
日付けが変わったくらいの夜中、プルトンに起こされた。
なんでも、目深にフードを被った怪しい人物が私の部屋のドアの隙間から手紙を置いていったらしい。
昨夜はプルトンに部屋の結界を頼んでいた。その怪しい人物が手紙を滑り込ませようと悪戦苦闘していたため、手紙分だけ結界を小さくしたらしい。
プルトンいわく、見た目は怪しいけど大丈夫そうだったとのこと。
〈大丈夫そうなら、こんな時間に起こすな〉
《だって、手紙から冒険者ギルドのギルマスの魔力感じたんだもん! それに気になるじゃない! 早く見たら対策もできるわ!》
プルトンの声で起こされたグレンは不機嫌そう。
プルトンは気になるっていうのが一番の理由な気がする……
「確かにギルマスの魔力を感じるね」
《でしょ!?》
「こんな時間に何だろうね?」
手紙を開けてみると、急に手紙を寄越したことに対しての謝罪から書かれていた。内容は……領主が私を探しているけど、何か心当たりがあるか? 予定が大丈夫なら朝、ギルドに来て欲しい。ということだった。
理由かどうかはわからないけど、街に入るときに小部屋に連行されたことしか頭に浮かばない。
《あの命令は領主から?》
「そうっぽいね。領主が私に何の用だろ?」
《調べて来てあげるわ!》
プルトンはそのまま、壁をすり抜けて飛んで行ってしまった。
◇
もう一度寝直して日がちゃんと昇った後、ガルドさん達と一緒に冒険者ギルドへ。
銀髪が目印みたいだから、私はパーカーのフードを被ってグレンの腕の中。ぶっちゃけグレンが目立つから意味ない気がするんだけど、念の為だと押し切られた。
ギルドへ着くと、すぐに応接室に案内された。
ギルマスは何かの魔道具と思わしき機械をいじってから話し始める。
「これは防音の魔道具だ。大丈夫だと思うが、一応な。手紙は読んだか?」
「うん」
「心当たりはあるか?」
「心当たりっていうか、街に入るときに一時間くらい小部屋に押し込められたよ。ガルドさん達とは別々に」
「あぁー……なるほど。そういうことか……」
ギルマスは納得したっぽいけど、私はサッパリわからない。
グレンが痺れを切らして〈さっさと説明しろ〉とせっついた。
「おそらく謝罪だと思う。昨日ギルドにも領主からの使いが来たんだよ。『銀髪の少女が来たら知らせろ』ってな」
「なぜ謝罪だと思う?」
ガルドさんが問うと、ギルマスは「陛下からの通達だよ」と教えてくれた。
「ちょっと前にシュグタイルハン国で晩餐会があったらしいんだが、そこで食った料理がえらい美味かったんだと。が、誰が発案者かは教えてもらえない。んで、調べた結果セナ様が浮上したってことさ。ちなみに、この情報は俺が独自に調査した情報だ。陛下からは『青みがかった銀髪の少女が来たら王宮に知らせよ』としか言われてねぇ」
「なるほど」
晩餐会はカレー食べ放題のアレだな……アーロンさんが私のことを秘密にしていたところはポイントが高い。まぁ、調べられちゃった時点で意味はないんだけど……
予想では、王様が私とコンタクトを取りたくて、各街の領主やギルドに通達していたってところだと思う。
領主と会うか聞かれたけど、プルトンからの念話で《こいつ嫌いだわ!》と聞いたから辞めておく。
「冒険者ギルドはセナ様の味方だ。ドラゴンを敵に回すほど愚かじゃない。領主には適当に言っといてやる」
「ありがとう!」
「んじゃあ、先に会計……と言いたいところだが、忘れないうちに渡しておく」
ギルマスはジルに手紙を渡した。昨日アーロンさんにジルが手紙を書いてたから、その返事みたい。
「なるほど。アーロン陛下がこちらの国王に伝えて下さったようです」
「ん? どういうこと?」
ジルは手紙で隣国に入ったこと、街の入り口で隔離されたこと、騎士の態度を書いた内容を送っていたらしい……
アーロンさんからは、「よく教えてくれた。セナの自由を保証するように手紙を送っておく。何かあったらまた報告を頼む。内容次第では国交を考える」と書かれていた。
元々、アーロンさんがジルに「対国王や貴族に関しては自分が出た方が早いこともあるから、そういう人達で困ったら連絡しろ」って言ってたみたい。
私が原因で国交問題に発展するのはご勘弁いただきたい……
それを聞いたギルマスは「おそらく、領主のヤツ、今頃陛下から大目玉くらってるぞ」と大爆笑!
いくら防音の魔道具を使ってるとは言え、領主を笑っていいのかと聞くと、ギルマスは領主が好きじゃないらしい。貴族を優遇するタイプでソリが合わないんだそう。プルトンが嫌った理由が判明した。
「あぁ……笑った、笑った。昨日も思ったが、セナ様は面白いな。さて、これがギルドで買い取りたい物だ」
面白い要素なんてなかったと思うんだけど……
ギルマスからリストを受け取り、無限収納から出していく。今回はかなり少ない。ウツボや巨大蜘蛛の素材は一切求められず、マーモットとオークのお肉がメイン。「今日は美味い肉が食える!」とギルマス本人が喜んでいた。
ギルドの用事が終わった私達は、真っ直ぐ宿に帰ってきた。
ガルドさん達も一緒にジルの紅茶で一息つく。そこへプルトンが戻って来た。
プルトンが調べてくれたことを時系列順にすると……王様から通達が来る→領主が張り切って騎士団に連絡する→騎士団が犯罪者かと私達を捕まえる→領主怒る→領主が私達と会う前に騎士団が私達を解放する→領主騎士団を怒って私達を探す→国王から領主への怒りの連絡が来る
《……で、騎士団や周りに当たり散らしてたわ~》
「なるほどね」
予想通りすぎて笑える。騎士団との連携が取れてなさすぎでしょ!
しかも領主は私が貴族だと勘違いしていて、貴族の宿を調べているらしい。
あの使われていない見た目だけの甲冑を着ていた人もおそらく貴族。貴族が優遇される街の風潮で偉そうだったのかも。
「でも、探されているならあんまりお出かけできないねぇ……」
《うふふ。そういうと思って、あの領主の関係者の魔力を覚えて来たから、近付いてきたらすぐにわかるわ! セナちゃん褒めて!》
「おぉー! プルトンありがとう!」
小さいプルトンの頭を指先で撫でると《うふふふ》と喜んでいる。
自分の姿を偽る幻惑の魔道具でも作らなきゃマズイかと思ったけど、買い物だけなら大丈夫そう。冒険者ギルドも味方になってくれるって言ってたし!
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