転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

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11章

買い物と回避

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 翌日、私達はみんなでお買い物に出てきた。一応、私はフードを被って髪の毛を隠している。視界がよくないから、今日もグレンの腕の中。

 一昨日訪れた屋台エリアとは別に、港近くにはマーケットがあると宿の人が教えてくれたんだよね。
 マーケット会場は屋根がある巨大倉庫みたいな場所。海外の市場みたいな感じで、いろいろなお店が入っていた。

「おぉー! 山盛りの魚! あっちは野菜だ! あれは? お酒かな!?」
〈セナ、暴れるな。落ちるぞ〉

 グレンの腕の中から身を乗り出してはしゃいでいると、注意された。

「おい。ジュードも落ち着け」
「だってこんなに魚いっぱい見るの、久しぶりだよー!」

 ジュードさんも浮かれていたらしく、ガルドさんに怒られている。
 くちを尖らせたジュードさんに、モルトさんが「順番に見ていきましょう」と勧めていた。

 人の多さで進むスピードが遅い分、各お店をゆっくり見られる。
 イスが用意されていてその場で食べられるお店、買った魚を捌いてくれるお店、八百屋、果物屋、鍋などの調理器具屋、刃物屋……と多種多様なお店があった。

「あ! 干物だ!」
〈なんだ? 干からびてるぞ〉
「これは、わざと干して美味しさを閉じ込めてるんだよ」
「お! 嬢ちゃんわかってるなー! 干し魚だ! 食ってみるか?」
「うん!」

 試食用があるのかと思ったら、おじさんは手前に置いてあった干物をちぎって渡してくれた。

「ん~! 塩気がちょうどよくて美味しい!」
「ハッハッハ! ほれ、あんちゃん達も」

 おじさんから順番に受け取って食べたガルドさん達は「酒に合うな」と気に入った様子。
 他の干物も味見させてもらい、ご飯に合う干物をチョイス。鑑定したら、ニジマス、アマゴ、ヤマメ、イワナに似ている魚らしい。無意識に選んだ味は馴染みがあるからかと一人納得した。
 大量購入した私達に気をよくしたのか、おじさんはオマケもくれた。

 まさか干物があるとは思っていなかった私はルンルン気分で、買い物を再開。
 他のお店を見ていると、次から次に試食を渡されるハメになった。まぁ、気に入ったものを山盛り買っちゃう私が悪いのかもしれないけど……

「ふぅ……もう入らない……」

 試食でおなかが膨れているのに、マーケットの中でお昼ご飯も食べた私は苦しくて動きたくない。

〈セナにしては食べた方だな。この後はどうするんだ?〉
「さっきのお店のおばさんが、釣り竿さえあれば港でも魚が釣れるって言ってたから、試してみようかと思って。グレンは違うことの方がいい?」
〈釣りか! 久しぶりだな!〉

 特にやりたいことはなかったらしい。
 ガルドさんとジュードさんも釣りの経験者らしく、教えてくれることになった。

 釣具屋さんに向かっている途中、プルトンが領主関係者の魔力をキャッチ。遭遇しないように迂回する。
 マーケット会場の中でかち合わなくてよかった……

 釣具屋さんでは経験者の三人に全員の竿を見繕ってもらう。
 私のはオモチャみたいな竿になった。身長を考えると、これでも大きいらしい……ジルは普通の竿なのに……
 グレンいわく、ジルベルトなら大丈夫だろ! とのことだった。
 私だって身体強化使ったら大丈夫だと思うよ!?

 この先のことを考えてリールや針、撒き餌や疑似餌など一通り全員分買った。
 驚いたのは、糸を巻き取るところが魔道具になっていて、自動でリールを巻いてくれる……言わば電動リールがあったこと。これは思っていたよりも高かったけど、必要経費ってことで!

 釣り竿を持って、先程のマーケット裏に向かう。
 河は近くで見るとまさに大河。海みたいに広く、対岸が遠い。しかも流れが早いため、係留されている船は結構揺れている。ただそこそこの透明度があり、よく目を凝らすと魚影が見えた。

 早速釣り具のお試し! と、並んで釣り竿を構える。
 五分もかからないうちにジルの竿に当たりが!
 ガルドさんが横でサポートして釣れたのは小魚だったけど、ジルは「初めて釣れた」と、とても嬉しそう。

 その後もみんなの竿には魚が入れ食い状態で、そりゃもう釣れる、釣れる。
 なのに私の竿をときたら……

「………………釣れない」
「セナ様……僕の竿と交換いたしますか?」

 くっ! 気を遣わせてる!

「大丈夫! この竿で釣ってみせる!」
「そうですか? 交換したくなったらいつでも言って下さい」

 意気込んではみたものの……一時間経っても、二時間経ってもかからず……
 場所が悪いのかと移動してもダメ。

 結局、夕暮れまで釣れることはなかった。
 ビギナーズラックはどこへ行った! いいもん、いいもん! みんなが釣った魚が〝ホンモロコ〟って魚に似ているらしいから、食べてやるもん!

 みんなに慰められながら宿に戻る途中、またもや領主の関係者がいるとのことで大回りすることになった。

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