転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

文字の大きさ
274 / 537
11章

買い物と回避



 翌日、私達はみんなでお買い物に出てきた。一応、私はフードを被って髪の毛を隠している。視界がよくないから、今日もグレンの腕の中。

 一昨日訪れた屋台エリアとは別に、港近くにはマーケットがあると宿の人が教えてくれたんだよね。
 マーケット会場は屋根がある巨大倉庫みたいな場所。海外の市場みたいな感じで、いろいろなお店が入っていた。

「おぉー! 山盛りの魚! あっちは野菜だ! あれは? お酒かな!?」
〈セナ、暴れるな。落ちるぞ〉

 グレンの腕の中から身を乗り出してはしゃいでいると、注意された。

「おい。ジュードも落ち着け」
「だってこんなに魚いっぱい見るの、久しぶりだよー!」

 ジュードさんも浮かれていたらしく、ガルドさんに怒られている。
 くちを尖らせたジュードさんに、モルトさんが「順番に見ていきましょう」と勧めていた。

 人の多さで進むスピードが遅い分、各お店をゆっくり見られる。
 イスが用意されていてその場で食べられるお店、買った魚を捌いてくれるお店、八百屋、果物屋、鍋などの調理器具屋、刃物屋……と多種多様なお店があった。

「あ! 干物だ!」
〈なんだ? 干からびてるぞ〉
「これは、わざと干して美味しさを閉じ込めてるんだよ」
「お! 嬢ちゃんわかってるなー! 干し魚だ! 食ってみるか?」
「うん!」

 試食用があるのかと思ったら、おじさんは手前に置いてあった干物をちぎって渡してくれた。

「ん~! 塩気がちょうどよくて美味しい!」
「ハッハッハ! ほれ、あんちゃん達も」

 おじさんから順番に受け取って食べたガルドさん達は「酒に合うな」と気に入った様子。
 他の干物も味見させてもらい、ご飯に合う干物をチョイス。鑑定したら、ニジマス、アマゴ、ヤマメ、イワナに似ている魚らしい。無意識に選んだ味は馴染みがあるからかと一人納得した。
 大量購入した私達に気をよくしたのか、おじさんはオマケもくれた。

 まさか干物があるとは思っていなかった私はルンルン気分で、買い物を再開。
 他のお店を見ていると、次から次に試食を渡されるハメになった。まぁ、気に入ったものを山盛り買っちゃう私が悪いのかもしれないけど……

「ふぅ……もう入らない……」

 試食でおなかが膨れているのに、マーケットの中でお昼ご飯も食べた私は苦しくて動きたくない。

〈セナにしては食べた方だな。この後はどうするんだ?〉
「さっきのお店のおばさんが、釣り竿さえあれば港でも魚が釣れるって言ってたから、試してみようかと思って。グレンは違うことの方がいい?」
〈釣りか! 久しぶりだな!〉

 特にやりたいことはなかったらしい。
 ガルドさんとジュードさんも釣りの経験者らしく、教えてくれることになった。

 釣具屋さんに向かっている途中、プルトンが領主関係者の魔力をキャッチ。遭遇しないように迂回する。
 マーケット会場の中でかち合わなくてよかった……

 釣具屋さんでは経験者の三人に全員の竿を見繕ってもらう。
 私のはオモチャみたいな竿になった。身長を考えると、これでも大きいらしい……ジルは普通の竿なのに……
 グレンいわく、ジルベルトなら大丈夫だろ! とのことだった。
 私だって身体強化使ったら大丈夫だと思うよ!?

 この先のことを考えてリールや針、撒き餌や疑似餌など一通り全員分買った。
 驚いたのは、糸を巻き取るところが魔道具になっていて、自動でリールを巻いてくれる……言わば電動リールがあったこと。これは思っていたよりも高かったけど、必要経費ってことで!

 釣り竿を持って、先程のマーケット裏に向かう。
 河は近くで見るとまさに大河。海みたいに広く、対岸が遠い。しかも流れが早いため、係留されている船は結構揺れている。ただそこそこの透明度があり、よく目を凝らすと魚影が見えた。

 早速釣り具のお試し! と、並んで釣り竿を構える。
 五分もかからないうちにジルの竿に当たりが!
 ガルドさんが横でサポートして釣れたのは小魚だったけど、ジルは「初めて釣れた」と、とても嬉しそう。

 その後もみんなの竿には魚が入れ食い状態で、そりゃもう釣れる、釣れる。
 なのに私の竿をときたら……

「………………釣れない」
「セナ様……僕の竿と交換いたしますか?」

 くっ! 気を遣わせてる!

「大丈夫! この竿で釣ってみせる!」
「そうですか? 交換したくなったらいつでも言って下さい」

 意気込んではみたものの……一時間経っても、二時間経ってもかからず……
 場所が悪いのかと移動してもダメ。

 結局、夕暮れまで釣れることはなかった。
 ビギナーズラックはどこへ行った! いいもん、いいもん! みんなが釣った魚が〝ホンモロコ〟って魚に似ているらしいから、食べてやるもん!

 みんなに慰められながら宿に戻る途中、またもや領主の関係者がいるとのことで大回りすることになった。

感想 1,819

あなたにおすすめの小説

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

過保護すぎる家族に囲まれて育ったら、外の世界が危険すぎました 〜冷酷公爵の父と最強兄たちに溺愛される日々〜

由香
恋愛
過保護な父と兄たちに囲まれて育った少女。 初めての外は危険だらけ——のはずが、全部“秒で解決”。 溺愛×コメディ×ほんのり成長の、ほっこり家族物語。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。