転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

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11章

サーカス



 劇場を後にした私達はサーカスがやっている広場の方へ歩いてきた。

 移動遊園地のように小さなメリーゴーランドや射的、パントマイムをしているピエロっぽい人に歌を歌ってる恰幅のいい女性。食べ物屋さんは貴族用のレストランタイプと食べ歩き用の出店タイプ。さらにお土産屋さんまであった。
 さっきの劇場とは違って、子供も大人も老若男女関係なく楽しめる雰囲気。歩いている人が多く、ワイワイと賑わっている。
 そうそう! こういうのがよかったんだよ!

「わぁ~! 楽しそう! アレ何だろ?」
「何でしょう? 見に行きますか?」
「うん!」
「あ! おい! 勝手に行くな! 人が多いんだからはぐれるだろうが」
「セナっちとジルベルトはグレンと手を繋ぐか抱っこだよー」
「はーい」

 ジルと一緒に見に行こうとすると、ガルドさんに怒られた。

「早く、早く~!」
〈セナ、そんなに急ぐな〉

 グレンと繋いだ手をグイグイ引っ張り、気になった出し物を見に行くと、オモチャサイズの馬車のレースだった。馬車は魔道具らしく、カクカクと動いている。
 五台ある馬車のうち、コレだ! と思う馬車のチケットを買って勝負する。一応、一等を当てると記念のメダルがもらえるみたいだけど、賭け金は戻ってこない。ゲームセンターの競馬みたいな感じ?
 グレンは興味なさそうだけど、私はやってみたい。

「試してみよう!」
「チケットは金貨一枚するようですが、よろしいのですか?」
「うん! を四番の馬車!」
「(全員分!? お、おい! 正気か!?)」

 私が宣言すると、ガルドさんが焦りながら小声で聞いてきた。

「うん。記念だよ記念! こういうのは楽しまなくちゃ。ジル、お願いね」
「かしこまりました」
「マジかよ……俺達の分……ってジルベルトは?」
「もう買いに行ったよ」
「なっ!? ったく。後で払う」
「いらないよ~。私今日お嬢様だもん」

 ガルドさんは意図をわかってくれたのか、一瞬驚いた後、吹き出した。

「では、お嬢様。ありがとうございます」
「ふふっ。うん! 楽しみだね!」

 ガルドさんは恭しく腰を折り、芝居がかった調子で礼を述べた。ノリがいい!
 ジルにチケットを買ってきてもらい、スタートしたオモチャの馬車をワクワクしながら見守る。

「現在の一位は四番……おおっと! 四番が止まってしまいました! その隙に二番と三番に抜かされて……四番、動き出しました! 遅れを取り戻そうと頑張っております。三番が疲れているようです」

 オモチャの馬車なのに、生きているかのような実況に笑ってしまう。
 勝負は……二番と四番のデットヒートが繰り広げられた後、四番が勝利した。

「やったー!」
「さすがセナ様です!」

 早速ジルにチケットとメダルを交換してきてもらう。
 メダルは百円玉サイズの木でできていて、焼き印がしてあるだけのショボ……シンプルなもの。

「うん。こういうのは気持ちと、勝ったという事実が大事だよね。記念だよ、記念」
「多くないか?」
だから多くないよ。仲間外れはよくないからね」
「全員分って従魔もかよ……っつーか、何で四番が勝つってわかったんだ?」
「え? 知らなかったよ? 何となくパパ達四人の顔が思い浮かんだから四番にしてみただけ」
「マジかよ……」

 ガルドさんが空を仰ぐと、ジュードさんが「セナっちだからねー」とガルドさんの肩を笑いながら叩いた。
 どういう意味かと思ったけど、クラオルとグレウスが喜んでいるから気にしないでおこう。

 その後はゴーカートならぬ木製の手押し車で勝負したり、輪投げや玉入れで遊んだりと盛り上がった。
 魚の串焼きで小腹を満たし、私達は待ちに待ったサーカスの大型テントへ。

 ここも仕切りのある半個室のようなところがあったので、そっちにしてもらった。
 通常の席より一段上にあり、ステージがよく見える。劇場と同様に高かったけど、貴族とモメるより安全の方が大事。もちろんイスもちゃんと用意してもらった。

 サーカス会場は超満員。
 男性が舞台に上がり、開演のお知らせを発表すると、それだけで拍手が沸き起こった。

 一番手は剣でジャグリングをする男性。上半身裸で見事な肉体美を惜しみなくさらけ出している。一度大げさに失敗して剣が床に刺さるのを観客に見せ、剣の鋭さをアピール。会場からは息を呑む音が聞こえた。全ての剣を頭上に放り投げ、華麗にキャッチ。最後に観客に向けて投げキスをすると、ご婦人から黄色い悲鳴が上がった。

「そんなに? みんなの方がカッコイイ……」
『(主様ったら、心の声がダダ漏れよ……)』

 その後はサボテンや人間ピラミッドなど組体操的なものから、クルクルとバク転やロンダートのような肉体を使ったものが続き、技が完成する度に歓声が上がっている。
(地球のサーカスとかストリートダンスの方がすごいし、組体操なんか中学生が体育祭にやる方が見応えあるじゃん……)

 日本で見たエンターテインメントなパフォーマンスより遥かに劣るプログラムにちょっと飽きてきた頃、ようやくサーカスらしい演目が始まった。

「おぉ! 茶色い虎だ!」
〈ほう。グランドタイガーか珍しいな〉

 火吹き芸によって火が放たれた輪を、虎の魔物がジャンプしてくぐる。
 ちょっと気になるのが、虎の機嫌が悪そうなところ。でも……

「サーカスって感じ! あ! 次はお猿さんだ!」

 出てきた猿は指示を出す人の言うことを聞かず、帽子を奪っておちょくっている。
 会場からは笑いが起こり、例に漏れず私達も笑ってしまう。
 魔物を使った演目の途中、私は舞台袖から客席を見ている男性に気が付いた。

「ん? 目が合った?」
〈どうした?〉
「ねぇ、右側の舞台袖にいる人、なんか変じゃない?」
〈そんなところに人なんかいないぞ〉
「え? ……あれ?」

 ちょっと目を離した隙にいなくなっていた。
 目が合ったときにニヤッて笑われた気がしたんだけど……
 何だったんだろうかと、首を傾げている間にも演目は進み、今度は魔法を使ったショーが始まった。

「おぉー! キラキラしててキレイ!」

 女性が踊りながら光の粒子を撒いている。
 そこへ開演のお知らせをしていた男性が慌てたように壇上に駆け込んで来た。

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