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11章
理想の武器は……
◇
夜ご飯までは暇なので、私は武器を作ろうとコテージの作業部屋へ。
シュティー達は早速搾乳、キヒターはお土産に渡した支柱を持ってテンション高く畑に行った。
クラオルとグレウスは空間内の畑、ジルはアルヴィンと錬金部屋、ポラルはラインストーンを持って裁縫部屋、エルミスとプルトンは精霊の国に顔を出しに……と、みんな見事にバラバラ。
「よし! 早速作ろう! お手伝いお願いね」
『任せるっち!』
事前に聞いていたシュティー達の理想の形にするために、大量のアダマンタイトと神銀を溶かして混ぜていく。
今回は頑丈さが第一。これも彼女達の希望。
使っていたシャベルはひん曲がっていて、木の棒の方はよく折れるからと毎度使い捨てだったらしい。
『ご主人様、スティーレス石もちょっとだけ混ぜた方がいいっち』
「そうなの?」
『鋼でもいいっち。その方がこの二つが混ざりやすくなるっち』
『へぇー! そうなんだ!』
流石イグ姐が鍛治もできると言っていただけある。
今日はグレンがいないから余計にアドバイスがありがたい。
溶かした金属をルフスの指示通りに成形していく。
難しいところはルフスが片足でハンマーを持って器用に叩いてくれたよ。鳥なのに……
(……ポラルもそうだけど、みんな器用すぎない? 人間より器用な気がする……)
カプリコが望んだ、鎖の先に棘鉄球が付いた棒――モーニングスターを作り終え、シャーベット片手にちょっと休憩。
その間にシュティー用の武器のデザイン画をルフスに見せる。
『本当にこれ作るっち?』
「聞きながら描いたらこうなったんだよ~」
『物騒だっち……』
「うん。まぁ、それは私もちょっと思ったけど、これがいいらしいよ。お願いできる?」
『わかったっち!』
ルフスを一度撫で、私は再びハンマーを握った。
格闘すること三時間、ようやくシュティー用の武器も作り終わった。
仕上げに付与をしたんだけど、ものすごく魔力を使うハメになった。ただそのおかげか、いいものができたと思う。今回ばかりは自分で自分を褒めてあげたい。
「ふぅ……やっと終わったー! かなり疲れたねぇ……手伝ってくれてありがとう。めちゃくちゃ助かったよ」
『ご主人様の役に立てて嬉しいっち!』
撫でている手にスリスリと頭を擦り寄せてくるルフスが可愛い。
癒しのモフモフをしばし堪能させてもらって、みんなに声をかける。
「お待たせ」
〈遅い!〉
「ごめんね?」
教会に戻ると、グレンが戻って来ていた。時間を確認すると、いつもの夜ご飯の時間をとうに過ぎている。
待たせちゃって申し訳ないけど、今はご飯を作る体力が残っていない。
「すぐにご飯にしよう。えーっと……」
無限収納をスクロールして、グレンの不機嫌を緩和できる作り置きの肉料理を探す。
「あ! カツカレーはどう?」
〈ふむ! 肉だな!〉
一瞬にして機嫌が直ったグレン。チョロい……
シュティー達は気に入ったみたいだけど、カレーはキヒターには辛かったらしく、大量の蜂蜜と生クリームを入れて作り直してあげた。
ルフスは羽毛に飛ばすこともなくキレイに食べていて、デザートで出した杏仁豆腐をおかわりまでしていた。
食後、シュティー達に武器を渡してあげると大喜び。早速、教会前の広場で振り回し始めた。ただその姿は……
「(マジで鬼に金棒だわ……)」
カプリコのモーニングスターもあれだけど、何と言ってもシュティーがヤバい。
二メートルを軽く超える体の大きさに合わせた釘バットならぬ〝鬼の金棒〟。私では身体強化をガッツリかけても持ち上げることが精一杯だったのに、『思ってたより軽いわ~』なんて機嫌よく振り回している。
(多分、百キロ近いと思うんだけど……)
『主様すごいもの作ったわね……』
「ははは……シュティー達の希望だよ。気に入ったみたいでよかった」
〈あれだと魔物を粉砕しそうだな〉
「その辺は自分で調整して欲しいかな……」
二人は理想そのものだと熱く語ってくれた。『これならどんな悪いやつが襲って来てもこの教会を守れるわ!』なんて言っていたけど、教会はパパ達に守られているから危ないことはしないで欲しい。
それに、武器を構えたシュティー達を見たら、逃げる魔物も多いと思うんだよね……人間が遭遇したらビビって腰抜かしそうだもん。
早速魔物を狩りに行きたいというシュティー達を宥め、今日は教会にお泊まり。ガルドさん達が泊まりがけのお仕事だからね。
ベッドに全員は乗らないので、主寝室のベッドをしまってみんなで雑魚寝。
キヒターは《女神様と一緒!》と、語尾に音符が付きそうなくらい喜んでいて、グレンに〈大人しくしろ〉と怒られていた。
『ねぇ、お嬢様。お嬢様の話が聞きたいわ』
「私の話?」
『そう。アタイ達と出会う前や離れている間のこと』
「なるほど。グレン達には前にも話したんだけど、あの日私は……」
ジルは私が地球で死んだことを知らない。パパ達も誤魔化していたからそこは話せない。
いつの間にか呪淵の森にいたところから話していく。
シュティー達は話の内容に面白いくらい反応しながら聞き入っていた。
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