転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

文字の大きさ
302 / 537
11章

久しぶりの逢瀬【1】



 久しぶりに挨拶に来ただけだから特に用はなかったんだけど、以前話していたウツボと蜘蛛の素材を見せてあげることになった。

「素晴らしいですね! 流石セナ様です! コチラとこちらはぜひとも買い取らせて下さい!」
「まだまだいっぱいあるから何個でも大丈夫だよ」
「残しておいてくださったのですね! すぐに査定と書類をまとめて参ります! こちら一度お預かりしてもよろしいですか!?」
「う、うん。大丈夫だよ」

 ジョバンニさんの勢いに頷くと、パパッとマジックバッグに入れて退出していった。
 残しておいたわけじゃないんだけど……まぁ、いいか。

 ジョバンニさん達が席を外している間に、ブラン団長に「家があるのか?」と聞かれた。
 おそらく、レスリーさんに売った家具を何で持ってるのかってところだよね……
 クラオルに教会の話をしてもいいものなのか聞いてみると、『任せるわ』と返ってきた。

「えーっとね……フレディ副隊長が私を見つけてくれた廃教会あるでしょ? 今、あそこに私の家族――従魔が住んでるの」
「……他にもいたのか」
「うん。前に人間に酷い目に遭わされたから、すごく傷つきやすい子達なの。デタリョ商会のおじいちゃんには服を買うときに会わせたんだけど、内緒にしてもらったんだ」
「……そうか。俺達に話してもよかったのか?」
「ブラン団長達だから。でも内緒にしてくれる?」

 私が問いかけると、三人とも口外しないことを約束してくれた。
 ただ、ジョバンニさんには報告しておかないと、呪淵じゅえんの森に素材を取りに行く冒険者から連絡が入るかもしれないらしい。
 教会には悪いやつは近付けないけど、見回りで森にいるときに遭遇したら大変。

 戻ってきたジョバンニさんにも秘匿情報だと説明すると、「もちろん、神に誓って秘密は守ります」と言ってくれた。

呪淵じゅえんの森に入る冒険者もなかなかおりませんが、討伐隊を組むことのないように致します」
「ありがとう! 人間が苦手だから攻撃しなければ大丈夫だと思う」
「……ちょっと待て。心配するのは冒険者達の方なのか?」
「ううん。シュティー達の方が心配だよ。呪淵じゅえんの森の魔物を軽くのしちゃうから、その辺の冒険者よりは強いと思うけど……ケガはするかもしれないし、何より二人共優しいから〝人間に攻撃された〟っていう心の傷が心配」

 実際、シュティー達が魔物を狩ったときに負った傷は、ちょっとした切り傷や擦り傷くらいだったらしいし。それも、キヒターの薬草ですぐに治ったと言っていた。
 それに昨日、武器作っちゃったし、近接戦になったら生半可な冒険者じゃ太刀打ちできないと思うんだよね……強力な魔法バンバン撃たれたら別だろうけど。
 ブラン団長達やジョバンニさんは私の発言を聞いて顔を引きつらせた。

「す、すごく強い従魔なのですね……ちなみに、種族を聞いてもよろしいでしょうか?」
「えっとね、確か……シュティーがミノタウローナでカプリコがサテュロナって言ってたよ」
「「「「!」」」」

 私が種族を答えると、四人共ビクッと反応した。

 そんなに驚くことかと首を傾げると、パブロさんが「悪夢ナイトメア級の魔獣だよ」と教えてくれた。
 何でも、天災級ほどではないものの、討伐するとなれば何十人も人手が必要で、間違いなく死人が出るくらいの強さらしい……

「そうなの? でもシュティー達は争いは好きじゃないって言ってたし、最初から話が通じたよ?」
「……本当か?」
「うん。平和に普通の生活がしたいって。二人共、可愛い物が大好きな女の子だよ」
「ま、まぁ、セナさんの従魔でしたらそこら辺の魔物より安全性は高いでしょう。意思疎通ができるのであれば尚更。その強さであれば呪淵じゅえんの森から魔物が溢れることもなさそうです」
「うん。それは大丈夫だよ」

 パパ達の結界石で脅威は漏れ出ないハズだから、例えシュティー達がいなかったとしても保証できる。もし漏れ出たら……完全にパパ達のせいにできるもん。

「……それならあの廃教会はセナを持ち主にしよう」
「へ?」
「……いないとは思うが、セナが修理したことで自分の所有物だと主張するやつが現れる可能性がある」
「そんなことしちゃっていいの?」

 ブラン団長は「利用できる物は利用することにしたんだ」とフッと笑った。
(そんな顔もイケメンがやるとキマるのかぁ……罪な男だねぇ)
 あの教会には悪いやつは近付けないんだけど、説明するとなるとパパ達の話をしなきゃいけない。
(黙っておこう)
 ブラン団長はその場で王様に手紙を書いて、すぐに送ってもらっていた。
 前の一件で王族であることを吹っ切ったみたい。




 熊屋さんで昼食を食べた私達が久しぶりにパン屋【パネパネ】を訪ねると、お店は大盛況だった。外にまでお客さんが並んでいる。

「わぁー、混んでるね」
「……セナのレシピが話題になって以来ずっとこうだ」

 マジか……

「こんにちはー」
「いらっしゃ……セナちゃん! 父さん、母さん! セナちゃんだよ! 早く!」

 私を見たネネさんが厨房に向かって大声で呼ぶと、バタバタとドーグルさんとムッタさんが走ってきた。
 お会計をアルバイトと思われる女性に任せ、三人は歓迎してくれた。

「そうだ、師匠! 味見してくれ!」

 まだ師匠呼びは直ってなかったのかと思いながら、渡されたジャムを味見してみる。

「うん。ちゃんとブルーベリージャムです。美味しい」
「おぉー! やったぞー!」

 ドーグルさんは拳を上げ、ムッタさんとネネさんは手を握り合って喜んでいて、私は目を瞬かせた。

「これでジャムパンを販売できる!」
「え!? まだ販売してなかったんですか?」
「ジャムが難しいからだ!」
「そうなのよ~。私達、欲張って三つも教えてもらったでしょう? それぞれ練習しても美味しくならないから、まずは一つを作れるようになろうと思ったの。それでようやく、ここまで作れるようになったのが一ヶ月前。毎日作ってはいたんだけど、自信がなくて発売できなかったのよ~」
「なるほど……」

 しかも私の行き先を知らないから、連絡のしようもなかったらしい。
 まさかまだジャムと格闘しているとは……メロンパンとかの方が簡単だったかも……

「立ち寄った街でブラン団長達にお手紙書いてるので、ブラン団長達に聞けば連絡取れます」
「あら、そうだったのね! いいこと聞いたわ!」
「明日からこのジャムパンを発売する! 師匠! 俺は……俺は今猛烈に嬉しい!」
「!」

 ドーグルさんがジワジワと近付いてきたと思ったら、後ろからジルに手を引かれた。
 あれ? と思ったときには、ジルがドーグルさんに抱きしめられていた。

「落ち着いていただけますか?」

 抑揚のない声で注意するジルを見て、ムッタさんとネネさんがパァン! と、ドーグルさんの頭を叩いた。

「ヴ……」
「ちょっと! 離れなさい!」
「ごめんなさいね。興奮しすぎたみたい」
「す、すまん」

 ドーグルさんが離れると、ジルは再び後ろに下がった。ただ、ボソッと「次はありません」なんて物騒な発言をしていて、その後はお店を出るまで警戒を解くことはなかった。
感想 1,819

あなたにおすすめの小説

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

過保護すぎる家族に囲まれて育ったら、外の世界が危険すぎました 〜冷酷公爵の父と最強兄たちに溺愛される日々〜

由香
恋愛
過保護な父と兄たちに囲まれて育った少女。 初めての外は危険だらけ——のはずが、全部“秒で解決”。 溺愛×コメディ×ほんのり成長の、ほっこり家族物語。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。