転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

文字の大きさ
309 / 537
第三部 12章

仲間side【1】



 目の前のオラジー猿のしぶとさに手間取っていた一行は、セナの魔力が消えたことに気が付いた。

《!》
《セナちゃん!?》
〈セナ! どこだ!〉

 プルトンとグレンが大声を上げても反応がない。

「セナ様!? ……念話が通じません!」
「何だと!?」
《クラオルもグレウスもポラルもよ!》
〈……ええい! 非常事態だ! プルトン! エルミス!〉

 グレンは精霊の名前を呼び、炎を吐いて火魔法をオラジー猿に放つ。
 グレンの攻撃はローションで足留めを食らっていた集団に向かい、爆発と爆風を引き起こした。
 プルトンとエルミスはグレンの意思を汲み、結界を張ってガルド達を守り、森への延焼を防ぐ。
 グレンの遠慮のない攻撃に、ネラース達もそれぞ魔法を展開して、被害を最小限に抑える。
 ブレスと巨大火の玉を受けたオラジー猿は一瞬で消し炭と化した。
 散らばっていた残りもネラース達を中心に早々に片付ける。

〈セナを探せ!〉

 普段とは違うセナの従魔達の様子を見て唖然としていたガルド達にグレンが指示を出し、総出でセナを探し始めた。

 ほどなく、コルトが地面に空いた穴を発見。そこにクラオルのつるの一部が引っかかっていたため、珍しく大きな声で全員を呼んだ。

〈落ちたのか?〉
「行ってみましょう!」
「イッヒッヒ! お待ち下さい」

 いきなり現れたインプはグレンとジルベルトの肩を掴んで引き止める。
 突然のインプの出現にその場にいた全員がビクリと反応した。

〈驚かせるな! 貴様に構っている暇はない!〉
「ヴィエルディーオ様から言われたんですよ。……ちゃんと龍走馬ドラゴンライダーホースと契約できたみたいですねぇ。イッヒッヒ」
「な゛!?」
「それどころではありません!」

 驚いたガルドに構わず、ジルベルトが叫ぶ。そこへポラルが穴から這い出てきた。

〔タイヘン! タイヘン! ゴシュジン! ケガ!〕
〈何だと!? ええい! 離さんか!〉

 ポラルの衝撃の発言を聞いたジルベルトは息を呑み、顔面蒼白に。フラリと体が傾いたが、インプに掴まれていたおかげで倒れずに済んだ。
 ケガと聞いたガルド達も穴に飛び込もうとして、両手が塞がっているインプによって魔法で拘束された。

「スピーアスパイダーのポラルさん、セナ様は何と?」

 ガッシリと掴まれた肩に暴れるグレンを尻目に、インプがポラルに話しかけた。
 そこでポラルはセナからの伝言を思い出し、状況と共にみなに伝える。

「なるほど。ずいぶんと強力な魔力封じですねぇ。セナ様が魔法を使えないとなると、ここにいる皆さんは全員間違いなく使えません。他の入り口を探せとは、そんな状況でもセナ様の指示は的確。その指示に従って地下通路を探しましょう」
「セナ様のおケガを治すのが先です!」
「魔法が使えないのですよ? 全員で捕まりに行くのですか? それは得策ではありませんねぇ。セナ様を助けたいのであれば尚更」

 すぐにセナの下へ行きたいジルベルトはいつものような冷静さがない。
 拘束され、その様子を見ているガルド達は逆に少し頭を冷やすことができた。

《地下通路……地下通路…………あの村だ!》

 何かを思い出したアルヴィンが声を張り上げた。

「村……ですか?」
《今日寄った廃れた村だ! あそこに不快な家があった!》
「案内をお願いします」
「僕は降ります! セナ様のケガを治さないと! アルヴィンは案内して下さい!」

 ジルベルトはポーションを握りしめ、引き止められる前に自ら穴に足を入れた。

「おや。手が緩んでいましたか。仕方ありません。急ぎましょう」

 残ったメンバーはネラース達の背に乗り、精霊達の先導で走り出した。

◆ ◇ ◆

 ポーションを手に、滑り降りたジルベルトは何とか着地をして、辺りを見回す。
 少々頭をぶつけたが、そんなことには構っていられない。

「セナ様!?」
『キキー!!』

 クラオルの声を聞き、近くに駆け寄るがセナの姿は見当たらない。

「セナ様はどこですか!?」

 ジルベルトが質問しても、クラオルとグレウスは泣きながら壁を叩いている。

「この壁の向こうにセナ様が?」

 再びジルベルトが問うと、『そうよ!』と言わんばかりにクラオルに睨みつけられた。
 ジルベルトもクラオルとグレウスに倣い、壁を何とかしようと調べ始める。

◆ ◇ ◆

 道中、エルミスとプルトンがウェヌスに念話で状況を説明すると、風の元精霊王であるコメータを伴って駆け付けた。
 コメータは追い風を起こし、邪魔な木や草を刈ってガルド達を乗せて走るネラース達のサポートをしてあげる。

 廃村に着き、アルヴィンが〝不快〟と言っていた倒壊した廃屋を調べる。
 この建物が一番損傷が激しく、血痕が至るところに染み込んでいた。

 地下への入り口はすぐに見つかった。
 家の残骸を退けると、地面にポッカリと穴が開いていた。

〈このにおいは……〉
「穏やかではありませんねぇ」
〈さっさと降りるぞ。ニヴェス、ガルド達用につるを出せ〉

 グレンはニヴェスに指示を出し、自身はヒラリと降りて行った。

 洞窟内は光源がなく、暗闇に支配されていた。
 セナの気配もクラオル達の気配も穴に飛び込んだジルベルトの気配もしない。
 夜目スキルの低いガルド達は再びネラース達に乗り、洞窟内を急ぐ。

「何だここは……」
「昔、魔物を捕まえ、実験していた地下施設のようですねぇ。おそらく、魔物が逃げ出してあの村に復讐したのでしょう」
「マジかよ……」

 いくつも牢屋のような格子が付いている場所を通り過ぎた。なかには魔物と思われる残骸が残っているところもあり、奥へ向かうにしたがって異臭が濃くなっている。
 するとジルベルトがセナを呼ぶ声が聞こえてきた。
 突き当たりの牢の中で、ジルベルトはセナの名前を呼びながら壁を叩いている。

〈ジルベルト! セナは!?〉
「おられません!」
〈何だと!?〉
「おい! 牢の扉がないぞ!」
〈離れろ! われが壊す〉

 グレンが格子を殴りつけると、結界のようなものに阻まれた。

〈クソ!〉
「あった、あった。ありました。グレンさんはこの魔石を、精霊の皆さんはこの魔道具を壊して下さい」

 インプが牢の近くに埋め込まれた魔石と、いつの間にか手に持っていた魔道具を指さした。
 グレンと精霊がそれぞれを壊すと、インプが壁に手をかざしながら呪文を唱え始める。
 すると、洞窟内のいたるところに魔法陣が浮かび上がり、一同は異様さに言葉を失った。

「イッヒッヒ。解除できました」

 インプの言葉で我に返ったグレンが再度格子を殴ると、先ほどとは打って変わって、部屋の格子全体が脆く崩れ去った。

感想 1,819

あなたにおすすめの小説

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

過保護すぎる家族に囲まれて育ったら、外の世界が危険すぎました 〜冷酷公爵の父と最強兄たちに溺愛される日々〜

由香
恋愛
過保護な父と兄たちに囲まれて育った少女。 初めての外は危険だらけ——のはずが、全部“秒で解決”。 溺愛×コメディ×ほんのり成長の、ほっこり家族物語。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。