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第三部 12章
愛しのモフモフ
お兄さんが落ち着くのを待ち、私はパパ達に「クラオル達は?」と問いかけた。
「会わせるのは記憶が戻ってからの方がいいと思って、今はキヒターの教会で待っているよ。ガルド達にはちょっとお使いを頼んでいるから違う場所にいるんだけど……そっちも呼べる。まずはクラオル達かな?」
「うんっ!」
ワクワクする私にガイ兄が笑いながらパチンと指を鳴らす。
『あら?』
《え?》
〈なん……!?〉
「みんなー! 会いたかったよー!」
クラオル達だけではなく、キヒターやシュティ達も大集合したところに走り寄ると、顔面にクラオルがダイブしてきた。
「ぶっ!」
『主様ぁぁぁぁ! 心配したじゃないのぉぉぉぉぉぉ!』
『主ぃ! 主ぃ!』
〔ゴシュジンサマー!〕
「ぷはぁ! はわぁ……モフモフ~。心配かけてごめんね?」
クラオルとグレウスを撫で回してから持ち上げて目を合わせると、二人とも首にヒシッとしがみついた。
ポラルは私のおなかにグリグリと顔を押し付けている。
うん。たまらん。可愛い。
私の周りをクルクルとエルミス達が飛んでいる。
「ふふっ。エルミス、プルトン、ウェヌス、アルヴィン、会いたかったよ」
《私達もよ!》
《無事でよかった》
《再会を心待ちにしておりました。ぜひ近々、精霊の国にお越しください》
《息災でよかった》
「うん。コメータ達にも会わないとね。……グレン、ジル。ただいま」
呆然としている二人に声をかけると、一瞬にして間合いを詰めたグレンには抱きしめられ、ジルはすぐ近くで跪いた。
離れている間に洗脳は解けていなかったみたい。
〈セナ……本物だな……会いたかった〉
「セナ様……お会いしとうございました……」
「心配してくれてありがとう」
グレンのホールドが解除されると、ジルは跪いたまま、私の手を取り、「我が女神に一生の忠誠を」なんて爆弾発言をして、私の手の甲に自身のおデコを当てた。
「いやいや! ジルさん、自分を大事にして! って、キヒター、シュティ、カプリコ。おいで。遠慮されると寂しいよ?」
瞳をウルウルとさせている三人に手を広げて見せると、ドスドスと音を立てながら寄ってきたシュティとカプリコに持ち上げられ、胸でサンドされた。
「ぶむっ!」
『すっごく心配したのよぉ! お嬢様ったらいつも無理するんだから!』
『そうよ! アタイ達お胸が萎んじゃうかと思ったわ!』
《女神様……本物ですか?》
ヤバい。二人の巨パイがものすごく気持ちいい。何この気持ちよさ! 今顔を上げたら鼻の下が伸びているのがバレてしまう……!
◆ ◇ ◆
セナが従魔達と戯れているのを見て、天狐達は驚いたなんてものじゃなかった。
天狐は何回も目をこすり、目の前にいるのは本物なのか確認する。
「何よこの魔獣の数は……」
「精霊まで契約しているとは……」
「あの……あ、声が出せるようになりました。あの男性と男の子はセナ様のご兄弟か何かでしょうか?」
「ヒャーヒャッヒャ。大人は人化した古代龍、少年の方はセナの従者のようなものじゃ。一精霊は従者と契約しておるが……他は全てセナの従魔、及び契約精霊と妖精じゃな」
小声で話していた天狐達にヴィエルディーオが説明すると、三人の視線は古代龍のグレンに釘付けとなった。
「古代龍が契約するなんて……セナちゃんって何者なの……?」
「魔力が多いとは思っていたがそこまでとは……」
「古代龍って伝説じゃなかったんですね……」
「セナが何者か……それを教えるのには条件がある。他言無用。お主達だけなら構わぬが、他の者には聞かせてはならぬ。神に誓えるということならば話してやろう」
驚愕している三人にヴィエルディーオは何でもないことのように言ってのける。それを聞いた天狐達は顔を見合わせた。
「それだけか?」
「それだけじゃ。だがそれが一番大事なことじゃ」
「それくらいなら大丈夫よ。っていうか、女神がそこまで言うって相当なことでしょ? そんなことおいそれと話せるわけないじゃない」
「そうですね……職業柄秘密を守ることには慣れております」
動じない三人にヴィエルディーオは楽しそうに笑う。
「ヒャーヒャッヒャ! セナは界渡りじゃ。本来は違う世界で生活していた。ちょっといろいろあっての……エアリルとアクエスがこの世界に呼んだ。それ故、神達と知り合いなんじゃ。セナの優しさでエアリルとアクエスはパパと呼ばれておる」
「「界渡り!?」」
「そうじゃ。だからお主達のところでは言葉が通じんかった」
「……なるほど。それでヴィーは〝おばあちゃん〟なのか」
「ヒャーヒャッヒャ。それもあるが、セナと初めて会ったときは変装していたんじゃ。老人の姿にな。セナはそのときからそう呼んでおる。セナは本来の姿を知っても、それで態度を変えることもない。お主達にもそうじゃろうな」
ヴィエルディーオが笑うと、ジャレッドは「ジィジ……」と呟き、天狐は「ママ……」と呟いた。
アリシアだけは従者がいるとわかり、自分はもう用済みになってしまったのかと考える。〝違う世界〟や〝界渡り〟なんて単語は聞いたこともなくてわからなかった。
◆ ◇ ◆
ネラース達も呼び、私はモフモフに囲まれている。
「はぁ~。モフモフって幸せになるよね……」
クラオル達がいないフラストレーションが、天狐やアチャのしっぽに向かったのか……いや……昔から好きだったもんな……
「そろそろガルド達も呼ぼうか?」
「うん!」
ガイ兄に言われ、私はモフモフの中から立ち上がる。
ガイ兄によって呼ばれたガルドさん達は驚いていたけど、再会をむちゃくちゃ喜んでくれた。
「ったく、毎度心配かけやがって!」
「元気そうでよかったよー! ちゃんと食べてたのー?」
「無事で安心しました」
「……よかった……毎日あの歌歌ってた……」
みんなに揉みくちゃにされながら聞いてみると、コルトさんはついさっきも歌っていたらしい。
一人のときとか、みんなが眠った後に歌っていたのに、今ではモルトさんも覚えてしまったそう。
あの空間で聞こえたのはコルトさんが歌っていたからかもしれない。わからないけど、そう思った方がいいよね! 思い出すキッカケになったし!
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