転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

文字の大きさ
349 / 537
第三部 12章

雪ダンジョンの恐ろしさ





 グレンもジルも眠りについた夜中、私は再び精霊達と共に雪見風呂に入っていた。
 精霊達と話した結果、ジルは温泉で一気に温まったためのぼせたんだろうということに落ち着いた。

「ふぅ~。これで雪がチラつく……もしくは月とか見えたら最高なんだけどなぁ」
《……セナちゃん、ゆっくりしてるとこ悪いけど、人間が来るわ》

 プルトンが私に注意を促すと、バタバタと階段を降りてくる足音が聞こえてきた。

「あぁー! やっと着いた!」
「セーフティーエリアだー!」
「なぁ、前に来たときあんな建物あったか?」
「ん? あ、本当だ。前はなかったから他の冒険者のテントとかじゃねぇの? それよりさっさと休もうぜ。走り回って疲れちまった」
「すげぇなぁ。あんなテント持ってるなんて高ランクかな?」

 ダンジョンに来た冒険者パーティっぽい。
 私達のゲル型テントを見つけたらしく、話題になっている。
 結界石を起動しているから近付いては来られないけど、騒がしい声で雰囲気が台無し。
 プルトンに頼んでグレンとジルが起きないようにテントに遮音の結界を張ってもらった。

あるじよ。そう肩を落とすな。天気が荒れそうだからちょうどいい》
「え、セーフティーエリアなのに?」
《うむ。空気が一段と冷えている。これは吹雪くぞ》
「マジか……」

 ダンジョン内は天気も変わる。それはパパ達からの刷り込み情報で知っているけど、てっきりセーフティーエリアは除外されるんだと思っていた。
 安全って魔物が出ないだけなのね……
 吹雪が明日まで続くなら、動かない方がよさそう。特にグレンは寒さに弱い。あっという間に体温が奪われちゃう。
 私は気配を殺しながらお風呂から上がり、テントへ戻った。

◇ ◆ ◇

 翌朝、目を覚ましたジルはちょっと気まずそうだったけど、朝ご飯を食べるころには普通に戻っていた。
 テントの外の様子を窺うと、雪は降っているものの、吹雪いてはいなかった。これなら攻略が続行できそう。

「そういえば昨日の冒険者ってどうなったの?」
《うふふ。あっちで縮こまってるわよ》
〈冒険者?〉
「うん。夜中に降りてきたんだよ」

 プルトンが指さした方向に様子を見に行くと、一本の木の根元で男性五人が団子状になって震えていた。

「えっと……大丈夫?」
「ごごごごごどどど」

 声をかけた私に何か喋ろうとしているけど、顎がガチガチ鳴りすぎてて何を言いたいのかサッパリわからない。

〈セナ! そんなやつら放っておけ!〉
「僕も事前準備をしていない自業自得だと思います」

 二人共冷たい! 確かに準備して来なかったこの人達が悪いとは思うけど、ここは初級ダンジョン。初心者も来られる。このまま雪の中に放置は可哀想じゃない? 遭難になっちゃうよ!
 悩んだ私はガタガタと震える五人にヒールをかけ、さっき作ったお昼ご飯用のスープを一杯ずつわけてあげることにした。
 不満を言うグレンを宥め、冒険者が回復したのを見届けたら、お礼を言う冒険者達から離れる。
 戻るのか進むのか決めるのは自分達。あんまり手助けしすぎて、他人に寄生する人になって欲しくない。

〈放っておけばいいものを〉
「まぁまぁ。これからあの人達がランク上がったとき、初心者を助けるかもしれないでしょ? それが受け継がれていったら優しい冒険者が増えるよ」
「セナ様はそこまでお考えだったのですね」

 いや、ジル、ごめん。今思い付いただけ。まぁ、本当にそうなってくれたらいいと思うけどね!

「さ、予想外に時間かかっちゃったから、チャキチャキ進も! 残り四階層でしょ?」
「はい。最後の十五階層にダンジョンボスがいるそうです」

 ゲルをしまって十二階層に降りる。
 十二階層は森の広場型だった。
 このエリアも雪が降っていて、歩きにくい。
 ルフスは雪のせいで飛びにくいらしく、小さいサイズでグレンの頭の上に。残りのネラース達は再び狩りに走って行った。
 私はグレンに抱っこしてもらい、腕の中からモコモコ探し。

《セナちゃん、セナちゃん! あっちに面白いものがあったわよ!》
「面白いもの?」
《そう! 変な花!》

 プルトンが言うには木に咲いている花のことで、見た目は花に見えないらしい。
 案内してもらった木を見上げると、私には……ソフトクリームにしか見えなかった。

「うずまきソフトクリームの花……?」
《この形面白くない?》
〈小さな蛇みたいだな〉
「あ、想像するのはそっちなんだね」
〈ん? どういう意味だ?〉

 首を捻るグレンに「何でもない」と伝え、これは何だろうと鑑定をかける。

「おおお! あれ? あ! そういうことか!」
「セナ様?」
「あのね、これ生クリームだよ」
〈は?〉

 鑑定では【ホイップフラワー】。栄養価はなく、これだけでは甘くもない。ただ泡立てた生クリームみたいな感じで、フワフワしているだけらしい。

 私は片栗粉の代用品で【スライム液】を使っていたけど、本来は【マラーション草】のローションを乾燥させたものが片栗粉だった。
 シュティーのミルクは栄養価が高い液体生クリーム。多分だけど、シュティーのミルクは栄養豊富な飲むミルクで、この花がお菓子とかに使われるホイップクリームだ。

 説明しても納得していないグレン達に、お試しで砂糖を混ぜたホイップクリームを食べさせる。
 グレンいわく、シュティーの生クリームの方が美味しいけど、妥協できる範囲だそう。
 モコモコ探しはお休みして、【ホイップフラワー】の収穫を手伝ってもらう。

《この木は上の階層にも生えておりましたが、このような花は咲いておりませんでした。おそらくですが、ダンジョン内で雪が降り、寒さが増したときに咲く花だと思います》
「おぉー! そうなんだ! ラッキーだったね!」

 途中でウェヌスから考察を聞き、私のやる気は一気に上がった。
 レア物なら今のうちにたっぷりと収穫しておきたいよね!
 モコモコも見つけ次第収穫しつつ、【ホイップフラワー】を刈り尽くす勢いで採取しまくる。

 十三階層、十四階層も森エリアだったため、【ホイップフラワー】の在庫は大量となった。
 これで気がねなくホイップクリームを使ったおやつが作れるし、デザートサンドイッチも作れる!
 グレンやガルドさん達の消費量を考えるとすぐになくなっちゃいそうで、なかなか手が出せなかったんだよねぇ。

 十五階層のボス部屋の手前のセーフティーエリアでお昼休憩。グレンに雪を溶かしてもらい、たき火で冷えた体を温める。
 機嫌のいい私はデザートにカスタードパイを作った。

「雪下野菜もホイップクリームもたくさん! お手伝いありがとう!」
〈おぉ! 温かいおやつだな!〉

 みんなハフハフ言いながら焼きたてを頬張る。プルトンは《甘いし、温かいし最高ね!》と大はしゃぎだった。

感想 1,819

あなたにおすすめの小説

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

過保護すぎる家族に囲まれて育ったら、外の世界が危険すぎました 〜冷酷公爵の父と最強兄たちに溺愛される日々〜

由香
恋愛
過保護な父と兄たちに囲まれて育った少女。 初めての外は危険だらけ——のはずが、全部“秒で解決”。 溺愛×コメディ×ほんのり成長の、ほっこり家族物語。

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。