転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

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第三部 12章

大集合



 ズズズズズと開いた転移門ゲートをくぐると、門の前でアーロンさんが待ち構えていた。
 アーロンさんに挨拶しようとすると、目の前にサッと気配が四つほど移動してきた。

「お嬢!」
「嬢ちゃん!」
「「……」」
「ドナルドさん、アーノルドさん、暗部のお兄さん達久しぶり~!」

 誰かわかった私が挨拶すると、アーノルドさんとドナルドさんは一瞬、驚いたように目を見開いた。

「嬢ちゃん……呑気すぎるだろ……」
「お嬢、本当にもう大丈夫なのか?」
「うん! 心配してくれてありがとう」
ーーウォッホン!

 わざとらしい咳払いにそちらを見ると、アーロンさんが苦笑いしていた。
 アーロンさんと宰相のレナードさんが一歩前に出ると、ドナルドさん達はシュッと一瞬にして天井裏や柱の陰に移動した。
 流石暗部! 忍者もビックリだね!

「アーロンさんとレナードさんも久しぶり~」
「久しぶりだな。逃げられるかと心配していたが……」
「ジィジ達が一緒なのにそんなことしないよ」
「ハッハッハ。それはジュラル殿に感謝しないとな。……それにしても、わかりやすくうちの暗部に気に入られているな。まぁ、アイツらも調べ回ってたから、後で労ってやってくれ。紹介してもらいたいが……ここじゃなんだからな。応接室に移動願いたい」

 アーロンさんに促され、ゾロゾロと廊下を歩いている最中、廊下に飾られているどデカい武器と防具を見て、天狐は「この国は力持ちが多いのねぇ」なんて感心していた。

 応接室でソファに座るとアーロンさんからおやつを求められた。そういうところは変わってないみたい。
 ラスクとポテチを出し、ジィジ達にアーロンさん達を紹介する。

「この国の国王のアーロンさんと宰相のレナードさん。さっき挨拶したのはドナルドさんとアーノルドさんだよ。一言お願い」

 私が天井裏にいる二人に向かってお願いすると、パカッと天井が開く。二人は顔だけ覗かせて「よろしく」と告げて再び引っ込んだ。
 ドナルドさんの気配が離れていったから、別のお仕事に向かったのかもしれない。

うぬはニェドーラ国の元国王、ジャレッド・ジュラル。引退して久しい。これは子孫のスタルティ・ジュラルだ。此度は国交についての承諾感謝する」
「アタシは……ニキーダよ」
「おや? 先ほどは〝テンコ〟と仰っておりましたが……」

 天狐が名乗ると、キアーロ国の国王ーードヴァレーさんがすかさず質問した。

「普段は天狐って呼ばれてるからついクセでね。アタシはニキーダ。セナちゃんがつけてくれたのよ~。いい名前でしょ? セナちゃんの関係者である、あなた達なら呼んでも構わないわ」

 天狐はそう言って私の頭を撫でる。

「他の人はダメなの?」
「名前はね、重要なの。人となりを表すのよ。やったこともやられたこともないけど、古代魔術では名前でこともできるって言われてるの。だからアタシも自分の名前なんて考えなかったのよ。種族がアタシしかいないから名前がなくても困らなかったしね」
「私が付けちゃってよかったの?」
「もちろん。セナちゃんが名付けてくれて嬉しいわ。まだ一度も呼んでもらってないけど」
「う……ごめん。ずっと天狐って呼んでたし、いつから呼んでいいのかわからなかったのと、改まるとちょっと恥ずかしくて……」
「うふふ。大丈夫よ。そんな感じだろうなって思ってたわ。もちろん、ママでもいいのよ?」

 マゴつく私を天狐は笑って許してくれたけど、気にしてるならちゃんと名前で呼んであげないと! 申し訳ないことしちゃった!
 パパとはすんなり呼べたのにママと呼ぶのは恥ずかしいのは何故!?
 ママはたまにでニキーダと呼ばせてもらおう。

「では我々はニキーダ殿と呼んでも?」
「ええ、構わないわ。次はアリシアちゃんの番よ?」
「……は、はい! アリシア・ブラウンと申します。ニェドーラ国でセナ様の専属メイドをしております」

 ドヴァレーさんが問いかけると、天狐は頷いてアチャに話を振る。
 アチャが緊張気味に頭を下げると、アーロンさんが「堅苦しいのは苦手だ」と手を振った。
 困惑しているアチャの代わりに天狐が「じゃあ、遠慮なく」と返した。
 アーロンさんは一つ頷くとジィジに向き直り、握手を求めた。

「史実の登場人物に実際会えるとは光栄だ。当時の話を聞きたいが、先に国交の件について話をまとめたいと思う。まず……」

 流石に国に関わる仕事の話だからか、アーロンさんは真面目に話し始めた。

 アーロンさんの話をまとめると……ここにいる三ヶ国は既に手紙でやり取りしていたため、内容の確認と書類にサインすればいいそう。
 他国とも国交を結ぶかどうかはジィジ達に委ねられ、話し合いの場が必要なら用意してくれるらしい。
 輸入や輸出についても話はまとめられていたみたいで、サンプルの交換や追加の資料が行き来している。
 スタルティはときどき首を傾げながらも、自分なりに話を理解しようと努めていた。

「ドヴァレーは顔見知りが多いが、ジュラル殿は初対面だろう。レナードに資料を作らせた。時間は少ないが、あるとないではかなり違うと思う。後で確認してくれ」
「助かる」

 ジィジがアーロンさんから受け取った資料を横からかっさらい、パラパラとめくる。
 資料は、来場者である他国の王族や宰相などのプロフィールが簡単にまとめられていた。
 写真はないけど、似顔絵が描いてあったり、特徴が書かれていてわかりやすい。
 それにしても……

「子供が結構いるんだね」
「あぁ……捜索を頼んだ手前、断れなかったんだ。何もないとは思うが……穏便に頼むぞ」
〈それは相手次第だな〉

 アーロンさんはグレンの返事にピクリと眉を動かし、「何もないことを願うしかないな」と苦笑い。
 私はそんなに面倒な子供が来るのかと資料を手早くチェックする。

「今回のパーティーは名目上、新しく結ばれる国交を祝うパーティーだ。どんなに気になっても〝探し人を見るため〟だけに集まれないからな。見たいなら見に行けばいいと思うが……まぁ、この辺は王族や貴族特有の見栄だな」
「ふーん。なるほど」
「ただ、そうしたおかげで楽だぞ? セナには最初に挨拶してもらうが、それ以降は他の者と同じく自由で構わん。ジュラル殿はオレやドヴァレーと一緒に挨拶回りをしてもらいたい」
「おぉ! はーい!」
「……わかった」

 ジィジが答えるまでにちょっと間があった気がする。
 怖がられてたせいであんまり人と関わってなかったから、苦手なのかも。何かあったらアシストしてあげよう。

「パーティーは夕食を兼ねた、カレーパーティーだ。その前に、会わせたいやつらがいる。場所は会議室だ」

 アーロンさんとレナードさんの案内で会議室に着くと、そこには……キアーロ国王都の商業ギルマスのサルースさん、同じく王都の冒険者ギルマスのジョルガスさん、タルゴーさんと執事のダーリさん、リシータさん、シュグタイルハン国王都の商業ギルマスのボンヘドさん、同じく冒険者ギルマスのグティーさん……と勢揃いしていた。
 サルースさんは来るって聞いてたけど、タルゴーさんとダーリさんまでいるとは思わなかった!

「みんないる!」
「セナ達はそちらに、ドヴァレー達はあちらの席に頼む」
「はーい」

 会議室は教室のような家具の配置になっていて、一段高い壇上と聴衆席。聴衆席には既にサルースさん達が座って待っている。
 壇上にはソファが並べられていて、私達は各グループごとに着席する。ブラン団長達、ジィジや私達、アーロンさん達、キアーロ国の国王達という並び順だった。

「わぁ~! 勢揃いだね!」
「うむ。ここにいる者はセナの関係者だ。パーティーの前に顔を覚えておいて欲しい」

 アーロンさんはジィジが頷いたのを確認してから「では、開催国であるオレから……」と自己紹介。続けて、キアーロ国の王様達、ブラン団長達、ジィジ達と順番に紹介した。
 サルースさん達は前列から順に立ち上がり、それぞれ自分の名を名乗っていく。
 天狐が小声で「覚えきる自信がないわ」とポツリと呟いた。
 私は元々会ってたからわかるけど、私も初対面だったら覚えられないよ!

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