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第三部 12章
友好条約締結パーティー【1】
◇
以前使わせてもらっていた私の部屋は掃除には入っているものの、そのままキープされていた。ジィジ達やブラン団長達は私の部屋の周りに。
他の来賓者達はお城の敷地内にある来賓者専用の建物に泊まっているため、ドヴァレーさん達はそっちの建物に泊まる。サルースさん達は城下の宿。
私が泊まる場所は秘匿されているから、邪魔されることもない。
素晴らしい采配をしてくれたレナードに感謝だわ!
パーティーの時間に合わせて準備する。とは言っても、着替えるだけなんだけどね。
今回はグレンとジルも私とお揃いの浴衣だ。二人共、相変わらず似合っている。
「やっぱり二人共カッコイイねぇ! リアル二次元、眼福だわ!」
「セナ様はとても美しいです」
〈頭の飾りがすごいな〉
プルトンがセットした私の髪の毛をグレンが触ろうとすると、プルトンがそれを阻止した。
《せっかく可愛くしたのに崩れちゃうでしょ?》
〈その棒は何だ?〉
《これはセナちゃんを護る魔道具よ!》
今私の頭には花魁も驚くくらいの簪が刺さりまくっている。お団子状にまとめられた髪の毛にブスブスと。
簪はパパ達がくれたものと精霊の子達が作ってくれたやつ。見た目は普通なのに、全部に防御に関する魔法が込められているから、立派な魔道具なんだよね。
やりすぎじゃないかって思ったんだけど……プルトンに《安全第一よ!》と言われ、クラオル達が激しく同意したためこうなった。
〈ふむ。それなら安心だな〉
「はい!」
期待はしてなかったけど、二人共この簪に異論はないらしい。
老害乱入パーティーみたいにはならないと思うんだけどなぁ……そんなことしたらアーロンさんがブチ切れる気がする。
時間になり、廊下に出るとちょうどニキーダとアチャが部屋から出てきた。
「まぁ! セナちゃん可愛いわ! お揃いの格好なのね!」
「皆さん大変お似合いです!」
ニキーダとアチャに手放しで褒められ、私はこそばゆい。
「ニキーダとアチャもすごくキレイだよ!」
実際、二人共ドレスが似合ってるし、私が今まで出会ってきた人の中でダントツの美貌だ。
ニキーダは高嶺の華のような凛とした美しさで、アチャはアイドルみたいな可愛さ。二人共来賓者達の目を惹くに違いない。
「あら? どうしたの?」
「二人共キレイすぎて、私心配」
「「え……」」
二人は一瞬フリーズした後、吹き出した。
ニキーダは笑いながら「大丈夫よぉ~」なんて言ってるし、アチャは「ふふふ。私なんかにお声がかかるなんてありえませんよ」と信じていない。
これは……二人を狙う悪漢から守らなければ!
廊下で騒いでいると、ジィジとスタルティ、ブラン団長達がそれぞれの部屋から出てきた。
ジィジやスタルティ、ブラン団長達にも褒められ、お砂糖攻撃に私はおなかいっぱい。
フレディ副隊長は「見たことのないくらい美しい華ですね」、パブロさんは「こんな美人さんと一緒なんて羨ましがられるね」と、サラッと甘~い爆弾をぶっ込み、ニキーダとアチャを照れさせていた。
イケメンスペック恐るべし!
そうやって褒めてくれたみんなもカッコイイ。ブラン団長達はシンプルだけどスタイリッシュな隊服だし、ジィジとスタルティはゲームに出てきそうなマント付きの布製の軍師みたいな服。
ただでさえイケメンなのに、腹立たしいくらいに似合ってるんだよね。この中で一人普通の私って……ドンマイ自分。それよりこの美男美女を目に焼き付けなきゃ!
みんな揃って会場のすぐ近くの休憩部屋へ向かう。
アーロンさんがカレー食べ放題と言っていただけあって、廊下にはカレー臭が漂っている。
私達の部屋からと他の参加者の部屋からは動線が違うため、かち合わずに着くことができた。
私達が到着してからさほど時間を置かず、正装に着替えたアーロンさんが部屋を訪れた。
アーロンさんからの説明によると、私達が入った後にアーロンさんが入場するらしい。サルースさん達は既に会場入りしているそうで、話し相手には困らないだろうとのことだった。
私はアーロンさんに呼ばれたら壇上に上がり、軽く演説する予定。ものすご~くバックレたいけど、今回はそうもいかない。頑張らないと……
気合いを入れるためにパチンと両頬を叩くと、ウェヌスにパパッと【ヒール】をかけられた。素早い……
ニキーダに手を引かれ、パーティー会場に入ると、既にいくつかのグループに分かれて談笑していた。
ステージ上では十人ほどの人がゆったりとした音楽を奏でていて、ピアノやヴァイオリンに似た楽器があることに驚いた。
近隣国だけど、それぞれの国で着ている服装が違っていて面白い。ジャラジャラとアクセサリーを付けている人や、普通のスーツっぽい人、露出度が高いセクシーなお姉様までいる。
その中に、絵本の中に出てくるカボチャパンツスタイルの人を見つけたときは吹き出しそうになってしまった。
会場自体は穏やかな雰囲気だけど、ドナルドさんは天井裏にいるし、アーノルドさんは給仕に紛れている。私がわかる暗部の人達の気配をそこかしこから感じ、厳重警戒されていることがわかった。
私達はちょうど目が合ったサルースさん達のところへ向かう。
「おや、また今日は不思議な格好だね」
「まぁ! セナ様、その素敵なドレスはどこの国のものですの!?」
私達の服装を見て、サルースさんには普通に聞かれたけど、タルゴーさんは目を輝かせた。
「これは私の故郷の浴衣だよ。いただきものだから作り方はわからないんだ。ごめんね」
「いえいえ! 見たことのないドレスに興奮してしまいましたわ。男性も同じデザインですが、印象が違いますのね。セナ様のそのおなか周りの複雑なリボン? 布? がとても華やかですわ! それにその髪型もバッグも可愛らしいですわ!」
相変わらず〝ですわ〟が多いタルゴーさん。
私の帯の結び方とカゴ巾着に目が釘付けだ。
テンションの上がったタルゴーさんの隣りで、執事のダーリさんまで激しく頷いて、その様子にちょっと笑ってしまう。
カゴ巾着は精霊の子達が作ってくれたマジックバッグ。このパーティーで浴衣を着ることが決まったときに、普段使っているマジックバッグの代わりにとプレゼントしてくれた。浴衣に合わせたデザインのため、小さくてシンプルなのが私も気に入っている。
「ニキーダ様とアリシア様でしたわよね?」
「あら、なーに?」
「はい」
「そちらではどんな装飾品が流行っていますの?」
流石アクセサリー好きのタルゴーさん。気になるのね……
二人にニェドーラ国のアクセサリー事情を聞いて、メモを取り始めた。
――パパパ、パッパパー!
話している途中、突然ラッパ音が会場に響き渡った。
(え!? 競馬!?)
私が驚いていると、さっきまで演奏していた人が居なくなったステージにアーロンさんが歩いてきた。
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