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16章
遊び尽くしたその後は……2
しおりを挟むお先に宣伝をば。
コミカライズ版の電子書籍が昨日から配信されています。
紙媒体の方はもうお店に並んでいるところもあるみたいですが、30日~のところが多いようです。
紙媒体を待ってくれている読者様、もう少々お待ちくださいませ……!
コミカライズ版の電子書籍版と紙媒体書籍版、先月に第四巻の発売となりました小説版の電子書籍と紙媒体書籍、共によろしくお願いいたします!
では、本編の続きをどうぞ。
─────切り取り線─────
何を言われるのかと構えていたら、ガイ兄から発せられたのは予想外のセリフだった。
「うん。セナさんがみんなに会いたいように、私達もセナさんに会いたいからね。今よりもっと会いに来てくれると嬉しいな」
「え……」
「そうだぞ!」
「!」
内容に虚をつかれた瞬間――耳元で声を上げられて、肩が跳ねる。
ビックリした……アクエスパパ、いつの間に復活してたの?
「前も会いにくると言っていたが、あまり増えていないだろ? 料理はロッカーに入れてくれているが、俺たちはセナに会いたいんだ」
「あぁー……えっと、ごめん」
「よいよい、謝らんでよい。そこで妾達は考え、セナの家に祈りの間を作ったんじゃが……」
ヒラヒラと手を振ったイグ姐が口ごもる。
全然活用していませんね……あの祈りの間がそういう理由で作られたなんて知らんかったわ……てっきり教会代わりかと思ってたよ。せっかく造ってくれたのにごめんなさい。
「セナさんは旅をするので、そもそも家にいないことに最近気が付いたんです」
気付いたのは最近なんかーい! 申し訳ないけど気付くの遅くない??
エアリルパパのセリフに内心ツッコむ。
「それで、旅先でもわざわざ教会に行かなくてもいいように、セナの空間内に専用部屋を作ってもいいか聞きたかったんだ」
「全然いいよ。王都の家みたいに別の建物建てる?」
「あぁ、あれは地上に神気が漏れたら大変じゃからああしたんじゃが、セナの空間内なら影響は出ん」
「そうなんだ」
「なので作業部屋の隣あたりはどうですか?」
「いいよ、いいよ~。私も新しい街だとマップで調べてたからありがたいくら……あ!」
「どうした?」
アクエスパパの発言と同時にパパ達全員が不思議そうに首を傾げた。
「んと……」
「もしかして嫌でしたか!?」
「へ? あ、違う違う。ついでって言い方だと失礼だと思うんだけど、地球の神様用の祭壇っていうか神棚みたいなのを置ける部屋も作ってもらえたら嬉しいな~って」
「地球の、ですか?」
「うん。カラオケとかデニムとか、私じゃ製造方法わからないモノ、パパ達に教えてくれてるでしょ? 私が楽しく快適にこの世界で生活出来てるのはパパ達ありきだけど、御礼が言える場所があったらいいな……って思って」
日ごろ感謝はしているとはいえ、パパ達を祀ってる教会で地球の神様に御礼を言うのも違う気がしてたんだよね。たとえあちらに届かないとしても、私の気持ち的にさ。まぁ、自己満の類いだろうから無理なら自分で作ろうかな? ちょうどいい機会だし。
「ふふっ」
「セナさん……」
「「はぁぁ……」」
ガイ兄は笑顔なものの、エアリルパパは涙目だし、アクエスパパとイグ姐には思いっきり溜め息をつかれてしまい、そんなにマズいお願いだったのかと不安が頭をもたげる。
「セナさぁん……」
「相も変わらずセナは優しいのぅ」
「本当にな」
「え……」
優しい眼差しを向けられ、少々困惑。
あ、大丈夫そう?
「ふふふっ、私達の神の間とは別がいいのかな?」
「あ、えっと、うん。地球の神様はパパ達みたいな関係性じゃないから、出来るなら別がいいな」
「「「「!」」」」
いや。だってさ、仮に通じてたとしたら、地球の神様の前でパパ達にさっきみたいなお願い(おねだり)出来なくない? 自分でもイタいなって思うのに、神様に「クソワガママじゃねぇか。ヤベーな、テメェの年齢考えろよ」なんて思われたくない。
それに、パパ達の威厳的にもその方がいいと思うんだよね。お知り合いがさ、デレデレしてるの目撃しちゃうの気まずくない? 私は気まずい。
昔、直属ではない会社の上司が「いい子でちゅね~」って電話で話してるところに遭遇して、お互いとても気まずかった。そして、顔を見かける度にあのセリフとデレ顔が頭の中をチラついてしょうがなかった。
ガイ兄からの質問にえへへ、と笑ってみせたら、何故かアクエスパパの腕の力がギュンッと強まった。
パパ達が「あちらの神とは違う→自分達は家族→セナ(さん)にとって自分達は特別!」という思考回路に至った……なんて知らない私は、圧迫を弱めてくれとアクエスパパの手をペシペシ叩いてアピール。弱まった腕にホッと息をはいた。
「セナさんの気持ちはわかったから、任せてもらって大丈夫だよ」
「ホント? ありがとう!」
ガイ兄が調べて、ちゃんと日本方式にしてくれるって。
神棚タイプか神社のお社タイプかはわからないけど、ガイ兄なら安心だよね。
転移門も神の間も神様部屋も早めに作ってくれるとのこと。特に神の間に関しては何故か私の希望とかも聞かれたから、一番最初に完成しそうな気がする。
「そうそう、セナさんはこれから夏の大陸の方に向かうんだよね?」
「うん、そのつもりだよ」
「そんなセナさんにプレゼントがあるんだ。イグニス」
「おぉ、アレの出番じゃな?」
「プレゼント?」
パパ達二人も知らなかったようで、二人は顔を見合わせてからフルフルと首を振った。
「フフフフフ、これじゃ!」
イグ姐が得意気にパチンと指を鳴らすと同時に現れたのはマネキン。私が以前商業ギルドに登録したやつにソックリ。ただ、そのマネキンが着ている服よ!
「おおおおお! 可愛い!!」
「私からはコレだよ」
思わずマネキンに駆け寄った私にイグ姐がニカッと笑う。
続いてガイ兄の指パッチンで現れたのも服を着させられているマネキンだった。
「こっちも可愛い!!!!」
イグ姐の方はスチームパンク調で、ガイ兄の方は意外や意外……サイバーパンク調の服である。
スチームパンクは半袖で、ダボッとしたズボンをブーツインするタイプ。サイバーパンクは多分七分袖で短パン、ニーハイブーツだった。
両方ともフルセットで好みドストライクです!
「セナはこういったデザインが好きなんじゃろ?」
「超好き! マジで可愛い!」
「喜ぶセナが可愛いのぅ」
「セナさんがやっていたゲームを参考にして正解だったようだね」
なるほど。私がやってたMMORPGのドレスアップを見たのか。とても納得。
「オマケとして、デザインに合わせたマジックバッグやヘアアクセサリーなんかも作っておいたからの」
「ヘアアクセサリーはそれぞれのマジックバッグに入れてあるから、後で無限収納に移すといいよ」
「おい、聞いていないぞ!」
「そうです! セナさんにプレゼントなんてズルいです!」
「フンッ、アクエスとエアリルはもうセナに作っておるじゃろ」
「服くらい私達が作ってあげたところで問題はないでしょう?」
あら……ケンカが始まっちゃった。
『主様なら両方似合いそうね』
クラオルからの一言で私ははたと冷静になった。
――そうだ……これ、着るのは私か!
私が悩みに悩み抜いたゲームのキャラデザはスタイル抜群な自分好みの美人お姉さん。ゲームだから着させていたんであって、自分が着るとなると別では? 日本人だったあのころよりは格段にマシだろうけど、今の、私の、この幼女ボディで着こなせる? 無理じゃない? 服に着られるというか、チンチクリン度が増す気がする……
「……私に似合うかな?」
『似合うわよ』
「当たり前じゃ!」
「!」
クラオルとイグ姐のセリフはほぼ同時だった。
ビックリした……ケンカしてたんじゃなかったの?
「妾達がセナのために作ったのじゃぞ? 似合わないワケなかろう」
「そうかな?」
「セナさんはなんでも似合いますよ!」
ちょっと大丈夫かなって思ったのに、エアリルパパのセリフを聞いて、やっぱ不安になってきた。
パパ達私に激甘だからな……似合わなくても欲目で脳内変換されてそう……でも私のために作ってくれたんだもんね。デザインはめちゃくちゃ可愛いし。お礼はちゃんと言わなければ。
「イグ姐、ガイ兄ありがとう! とっても嬉しい」
「うむうむ。着て見せてくれてもよいぞ」
イグ姐のリクエストでお着替え。元々予定していたのか、案内された部屋には全身が映る姿見が用意されていた。
着替えた姿は……髪色や瞳の色がファンタジーだからか、思っていたよりも違和感がなかった。今朝、プルトンが髪型をアップにしてくれたおかげもあるかも。意外と……イケる?
「クラオルさん、グレウスさん、どうでしょう?」
『あら、想像以上ね』
『はい。主、とっても似合ってます!』
こういうときはクラオルとグレウスの方が言葉に信憑性がある気がするのは気のせいだろうか?
パパ達のいるリビングに戻ると、待っていたのは全員からのべた褒め。
ガイ兄作のサイバーパンクの方も、これでもかと褒められるという羞恥時間となった。
まぁ、これだけ褒められたなら大丈夫そうだな……なんて思っちゃう私は単純だ。
いつまでも褒め続けられるので頑張って話題を変え、その後はお喋り。パパ達はご飯で大盛り上がりだった。
パパ達的に気になっていたことだと、いろいろと注意事項なんかも言い渡され、そろそろ私のお帰りタイム。
「イグ姐、ガイ兄、服本当にありがとう」
「うむうむ、これから活躍するに違いないからの」
「エアリルやアクエスの服と同じように着てくれると嬉しいよ」
「うん。パパ達もありがとう。会えて嬉しかった。お仕事の邪魔しちゃってごめんね」
「セナに会えるならなんてことはない」
「これからは十分でも二十分でも会えますからね! とても楽しみにしてますね!」
最後のエアリルパパの言葉に反応する前に私は自分の空間に送られていた。
え……マジで? 十分でも二十分でもって正気? 忙しいんじゃないの? そんな頻繁に会いに来いってこと? 神様の呼び出しってそんな友人と世間話の電話するような感覚でやっていいものじゃなくない??? いくら私に甘くてもそれはマズくない??
「……クラオルさん、十分でも二十分でも……って私の聞き間違いかな?」
『間違いじゃないわ。ワタシもハッキリ聞いたもの』
「ですよね……なるべくお仕事の邪魔したくないんだけどな」
おばあちゃんいわく、未だパナーテル様の件が尾を引いてるって話だったし。私なんかを可愛がってくれてるのは本当にありがたいけど、私に構うあまりお仕事を疎かにするのはアウトでしょ。お手伝いしてくれている眷属泣いちゃうよ。
「私のせいでおサボり常習犯になったらどうしよう……尊敬出来なくなるし、好きじゃなくなるかもしれない……」
『んふふっ、それを聞いたらきっとショックを受けるわね。ガイア様に伝えておくわ』
「お願いします。パナーテル様とは違うんだ、ってずっと尊敬出来るパパ達でいて欲しいな」
まぁ、そんな簡単に嫌いなんてなれないんだけど。悪い意味で名前を出したパナーテル様には申し訳ないが、私に甘いパパだ、こう言っておけばおサボりの可能性は下がるハズ……!
私の狙いがわかったんだろうクラオルはクスクス笑っている。
きっと次に会ったときに宥めたり、甘えたり、フォローしたり……ってしなきゃだろうけど、この世界の均衡が崩れることの方が一大事である。
空間に戻ってきた私はクラオルとグレウスをモフモフさせてもらい、癒やされながら部屋へと戻った。
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