転生幼女はお詫びチートで異世界ごーいんぐまいうぇい

高木コン

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17章

ホップ、ステップ、ジャンプ【2】


 わかる? と見上げた私に、笑顔で頷き返してくる騎士が頼もしい。と思えたのは一瞬で、騎士は何故かおばさん達に近付いて声をかけた。

「ご婦人方、ちょっとよろしいですか?」
「あら、騎士様。何かあったの?」
「いえ。自分ではなく、こちらの……サーシャ様のご友人であるセナ様がお話を伺いたいと」

 意味が通じてなかった!!! そしてとても説明調! 勝手に友人にしてるけど大丈夫? サーシャさんがそう思ってくれていたら嬉しいですけれども。私が見上げたのを「話しかけてくれ」と勘違いしたんだろうな……まぁ、確かに本人に聞いた方が早いか。
 おばさま方は「あら、サーシャ様の」と、にこやかに私に視線を向けてきた。流石慕われているサーシャさん。最初に声をかけた村人Aと同様に名前を出しただけで好意的だ。
 紹介してもらったので、近付いてご挨拶。

「こんにちは!」
「「はい、こんにちは」」
「あらあらあら、可愛い子じゃないのさ。挨拶できて偉いわねぇ。どうしたの?」

 三人のうちの一人は子供好きみたい。しゃがんだなと思ったら、頭を撫でられた。

「あのね、ホプコンのことが聞きたくて」
「ホプコン? ホプコンがどうかしたの?」
「今話してたのが聞こえちゃったの。ホプコンもステコンもジャンコンも私知らないからなんなのかなって思って」

 おばさま方は私の質問に顔を見合わせ、同時に吹き出した。

「アハハハ! なるほどね。エサだよ、エサ。あたし達のご飯にはならないやつさ」
「エサ?」
「そう。モウ牛とかゴートとかのエサのことよ」
「見せた方が早いんじゃない?」
「そうだね。気になるなら見せてあげるよ。こっちおいで」

 案内してくれるというおばさま達に続いてゾロゾロと近くの倉庫へ。ここは三人のうちの一人の家の倉庫らしい。倉庫には麻袋や木箱、バケツにモリモリに盛られた穀物が置かれていた。
 なるほど。確かに家畜用のエサだ。乾燥させてあるところや漂っている匂いがまさに。

「これがホプコンだよ」

 と、私の手の平の上に置かれたのは……白色で、見た目は完全に乾燥とうもろこし。ホプコンのはコーンのことだったみたい。

「去年……じゃないね。二年? 三年? とりあえず数年前に荒れた天気が続いただろ?」

 それはアレですかね? 私がパナーテル様に冬の大陸に飛ばされたせいでパパ達が躍起になって探していてくれていたときのことですかね?

「そのときに畑に雷が落ちたんだよ」
「そうそう。地面は抉れるし、地響きで家が揺れるくらいの大きいやつがね」
「そのあとからコレが実るようになったのさ」
「モロコンを植えてるハズなんだけどねぇ……」

 おばさま方によると、ステコンもジャンコンもホプコンとは色が違うだけで見た目は似ているんだそうだ。ホプコンは白、ステコンがオレンジ、ジャンコンが茶色。
 この世界のモロコンは地球のトウモロコシそっくりな穀物。地球と同じく、皮? を剥くと黄色い実がぎっしりなっているのが普通なんだけど……この変異種達は剥いたときにはすでに乾燥しているらしい。

「剥いたらコレでさ、最初は驚いたなんてもんじゃなかったよ」
「しかもどれも煮ても焼いても硬くて美味しくなくてねぇ……まぁ、エサ用に育ててるやつだから私達は食べられなくてもいいんだけど」
「モロコンは乾燥させてからエサに使うんだ。でもコレは収穫したときにはこんな感じだろ? だから乾燥させる手間が省けるって話にもなったんだけど……モウ牛も他のも嫌がって全然食いたがらないのさ」
「ハズレって聞いた通りよねぇ。そろそろ他の村や街から買わなきゃいけないかし……どうしたの?」

 ちょいちょいと袖を引っ張った私の頭を撫でるおばさんに疑問を投げかける。

「ハズレって?」
「コレが収穫され始めたときにね、村に泊まってった人が言ってたのよ。『あ、ホプコンじゃないですか。ハズレですね』って。聞けば、モロコンの変異種で、他の村ではなんにも使えないから捨ててるんですって」
「そうそう。そのときにステコンやジャンコンのことも聞いたのよね。あの人が来なかったらホプコンって名前もわからないままだったわ」
「なるほど……」

 この人達が名付けたワケじゃないのか。そして他の村でも突然変異的な異常が起きていると。
(雷って……エアリルパパが原因だったりする?)
 神界でエアリルパパが焦ってることなど知らない私は気を取り直してホプコンに鑑定をかけた。


 【ホプコン】
  ・モロコンの変異種、ホップ型
  ・元々はスイコーン地方で作られていた穀物
  ・皮が硬く、そのままでは美味しくない
  ・ポップコーンが作れ、こちらは美味
  ・塩、パウダー向け


「ふぁぁぁ!!! これほしい!! いっぱいほしい!」

 思わず声を張り上げた私におばさん達は目が点。クラオルには『いきなり大声出したらビックリするでしょ』とモフモフのお手手で頬をグリグリされた。
 グレウスもビクッてしてたもんね。ごめんよ。でもね、ポップコーンだよ? 興奮しちゃうのもしょうがなくないかい?

〈セナ! 食えるのか?〉
「うん! 成功したら美味しくなるよ!」
「これが⁇」
「さっきも言った通り食べられたもんじゃないよ?」
「大丈夫! ねねね! ステコンとジャンコンも見たいな?」
「え、えっと……ちょっと待っててね」

 興奮冷めやらぬまま困惑しているおばさんにお願いすると、おばさん二人が倉庫から走って行った。
 ジュードさんとはやる気持ちを抑えながら待つこと数分、おばさん達が戻ってきた。
 渡された乾燥コーンに鑑定をかける。まずはステコンと呼ばれているオレンジ色の方からだ。


 【ステコン】
  ・モロコンの変異種、ステップ型
  ・元々はスイコーン地方で作られていた穀物
  ・皮が硬く、そのままでは美味しくない
  ・ポップコーンが作れ、こちらは美味
  ・キャラメルなどのコーティング向け


 おおお! こっちもポップコーン!! しかもホップステップときたら、やっぱ次はジャンプか⁇
 なんてことを考えつつ、茶色いジャンコンにも鑑定をかける。


 【ジャンコン】
  ・モロコンの変異種、ジャンプ型
  ・元々はスイコーン地方で作られていた穀物
  ・皮が硬く、そのままでは美味しくない
  ・ジャイアントコーンが作れ、こちらは美味
  ・膨化も可能


 おおおおお!! ここへきてジャイアントコーン!!!!! そして予想通りにジャンプ。最初に思い浮かんだやつ、当たってはいたんだね。

「最高じゃん! これもほしい! 売ってください!!」

 期待を込めた私の視線を受けたおばさま達は困ったような表情を浮かべて顔を見合わせた。

「……ダメ?」
「売ってあげたいところなんだけどねぇ……これを売っちゃうとエサがなくなっちゃうのよ」
「なら、代わりのエサがあったら交換してくれる?」

 再び顔を見合わせたおばさま達は「それが可能なら」と頷いてくれた。


--------キリトリ線--------

 ついに明日16日は第五巻の刊行日となっております!
 ご予約していただいた方ありがとうございます。
 作者もとても楽しみです。

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