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病院からの電話

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 2015年 10月

どうして……

こんな身体になってしまったのだろうか……

廃人の様に別人になった娘の美咲……


  私の家族は、再婚した妻と5人の子供と祖父母の9人家族。

  娘の美咲は三女で、私が最初の妻との間に生まれた娘だ。

  これからお話する内容は登場人物、団体名は仮称ですが、それ以外の内容は実話を元に書きました。

  娘の美咲にある日突然襲った原因不明の病気。

  私の生き甲斐だった美咲との夢が絶望に変わりドン底にまで落ち、未来ある美咲の人生までも失いかけながらでも、美咲の「ゴルフを諦めたくない」その言葉と気持ちを信じ、病気を回復させる為に常識と闘い復活した経験を、娘と同じ原因で苦しんでる方に、元の健康な身体になり、もう一度未来ある人生を取り戻して欲しいと願い、1人でも多く娘の経験が伝わり健康を取り戻される事を心から祈ります。

  


 美咲の病気がきっかけで会話も無ければ笑う事も忘れてしまった家族……

 テレビの音だけ室内に響くリビングに、突然電話の呼び出し音が鳴り響いた。

「はい、もしもし、安村ですが」

 ため息をつきながら、祖母の美恵子が受話器を取った電話は、今日、美咲が血液検査をした、むろた小児科の医院長からの電話だった。

「今日採血した美咲ちゃんの血液検査の結果の事なんですが、お父さんとお話ししたいのですが御在宅でしょうか?」

 と、祖母が電話口で医院長と話をしている。

「居ますので変わります」

「憲純、室田先生が血液検査の結果

の事で話をしたいみたいだから聞いてみて」

 今日私が仕事に行く前に、美咲を病院に連れて行く様に祖母にお願いして、もう一度血液検査してもらい原因が分からない様なら、紹介状を書いてもらう様にお願いをしていた。

「ん、分かった」

「もしもし、お電話変わりました」

「何か原因分かりましたでしょうか?」


「その事なんですが、今回も美咲ちゃんの血液検査では何処にも異常は見つかりませんでした」

「これだけ検査しても異常が見つからないので、美咲ちゃんの病気は自律神経の異常が原因の可能性があります。」

「お父さんが言われている紹介状はいつでも書きますが、何処も悪くないので何処に行っても同じだと思いますよ。」

「何処に行っても同じ⁉︎ってどう言う事でしょうか?」

「これだけ何度も検査をしても何処にも異常が見当たらないので、何処の病院で検査されても結果は同じだと言う事です。」

「それでも紹介状を書いてもらえますでしょうか?」

こんなに美咲は苦しんでるのに?

  これだけ沢山の症状が出て体調が悪いのにどうして、血液検査で何処にも異常が無いなんて有り得ない……

「……」

「分かりました、お願いしたら、それでも紹介状書いてもらえますか?」

 大きい病院でちゃんと血液検査をすれば原因が発見出来るかもしれない……

「分かりましたが、何度も言いますが、何度検査しても異常が無いので、何処に行っても同じだとと思いますがね?」

 何故これだけ検査しても何処にも異常が無いのはどうしてだろうか……

 病院は病気を治す為の場所なのに……

 諦めず原因を見つけて美咲を元気にして欲しい気持ちだった……

 どうしたら前の様に元気になれるのか?

 そんな無責任な事を言って欲しくなかったが
、もう先生には期待しても無理だと思っていたが、もしかしたら?と奇跡でもいいから原因を見つけてくれるかもと、少しは期待はしていたけどやっぱりダメみたいだった。

「分かりました……失礼します……」

電話を切った後、美咲をどうやって元気にしてやるか八方塞がりで、どうしてやる事も出来ない、代われるものなら、代わってやりたい!

 何故?何処にも異常は無いのに、こんなに体調が悪化してるのか、何故?どんな治療をしても元気になってくれないのか?

 今まで何ヶ所もの病院で、美咲は何回血液検査をしたのか分からない程、検査しても原因不明なのである。

 その血液検査全ての結果が何処にも異常が見つからず検査結果だけで判断すると、美咲は健康そのものなのだ。

 しかしこれだけ沢山の体調不良の症状が発症してる事は、絶対に何処かに原因があるはずなんだと父は信じていた。

 しかし元気だった美咲が別人の様になってしまったのは紛れも無い事実で、もう美咲は日常生活もまともに出来ない、ほぼ寝たきりの身体になってしまったのだ!


 別人の様になった美咲の身体に、初めて症状が発症したのは、2009年9月、6歳の誕生日を少し過ぎた頃になる。
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