娘の未来を取り戻すために

運命の出会い

 ゴルフを始めて間もない頃、美咲のゴルフを見て衝撃的なセンスを感じると言ってくれる方に出会った。

 その方は、ゴルフ工房を個人で営み毎週木曜日に練習場へゴルフ道具の販売で来られている、三川さんという方でゴルフの技術もセミプロの方だった。

 

「美咲ちゃんのゴルフ感性は今まで沢山のジュニアゴルファーを見て来ましたが１番凄いです」

「福原愛ちゃんが初めてテレビに出て来た時より衝撃的です！」

と、そんな事を言われた。

 いつも見ていると、へぇ～そうなんですか？程度の感覚しかなかったが、娘を褒められるのは、とても気分が良かった！

「見て学ぶ事が出来てるので凄いです」

とも言われ、確か……

「上手な人の真似をしてみたら？」

 と言った様な記憶がある様な？無い様な気がするが……

 何気なく言ったかもしれない言葉が、良い方向に向かってるのかもしれない。

 美咲は本当に小柄で、ムチムチっとした小さな手で必死になってグリップを握り、ダイナミックなスイングで上手にボールを打つ。

「パチィーン」

「パチィーン」

と、毎日ゴルフと遊んでいたと言った方が良いくらい、ゴルフに夢中になり楽しそうにボールと遊んでいた。

 バンカーも砂遊びの様に、決して強制した訳でもなく毎日夢中になって遊んでいる。

 クラブ作りのプロである三下さんが思わず、

「いつか美咲ちゃんのクラブを作ってみたいですね」

と、言わせるくらい楽しそうにボールを打つ姿は、可能性ある未来を想像するには十分であった。


 練習時間も１５分から３０分と少しづつ増えて行き、小柄の美咲には、沢山食べる事が毎日の練習、そして、体を大きくする為には必要不可欠になって来た。

 スポーツをすると体力付けないといけない、体調を維持する為にも、体を大きくするにも、もっと沢山食べないといけないので、美咲には沢山食べる様にいつも言い聞かせていた。

「美咲！」

「もっと沢山食べないと」

「食べろ！」

「食べろ！って」

「これ以上食べられないよ」

「沢山食べないと大きくなれないよ」

「それでもいいの？」

「もうお腹一杯」

 親としてはもっと食べて欲しいのだが、無理やり食べさせる訳にもいかず、いつも気になっていた。