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「ザックの妹ならば、伯爵家だな。うーん、そうだなぁ。どうしようかなぁ、まあ、いいか。うん、決めた」
マリウスはブツブツ言いながら、その場を去って行った。
「兄様、あの人は悪い人では無いですが。周りに黒いモヤモヤしたものが見えます。もう、側に行かないでください」
セイラが小さな声でザックに呟く。
「何だって!?大変じゃないか。どうしたらいいんた?周りって事は、まだマリウス王子は取り込まれてはいないんだろう?大事な親友だし何れは王太子、国王となられる方だぞっ!?」
振り返りながらセイラの肩を掴み、問う。
「でも・・・、時間の問題です。すぐに染まる」
そう言ってセイラは瞳を閉じて、全体重をザックに預けた。
その数日後、シャーロック伯爵家の面々は王宮に呼ばれた。
「そう畏まらなくて良い。この度はマリウスが黒魔に取り込まれる前に未然に防ぐ事が出来た。セイラ嬢の力だと思うが、まだ5歳だったな?教会での魔力測定は7歳だからまだ測定を受けていないが、魔力とは違う聖なる力が宿っているかも知れぬな。うむ、どうだろう、実はマリウスがセイラ嬢を気に入ったようでな。力の事もある、マリウスの婚約者にしたいと考えておる。伯爵、どうだろうか?」
問いかけではあるが、国王に反する意見など言える訳はない。
「はっ。ありがたいお話し、受けさせて頂きます」
4人揃って、頭を下げるしかなかった。
婚約者と言ってもまだ5歳。
普通であれば、お互いの家でたまにお茶会に呼ばれる程度なのだが、この日翌日からセイラは週に1度、王宮に呼ばれマナーを学びながらの淑女・王妃教育げ始まったのだ。
元々、気が弱いセイラは王宮に行った日は必ず泣いて帰り、また笑わない日が増えていった。
「このままてはセイラが可哀想ですっ!!父上・母上、何とかセイラが王妃になる事を回避する事は出来ないのですかっ!?」
何度かザックは両親に申し入れるが、答えは同じだった。
「伯爵家如きが、婚約解消の申し出など出来る訳が無い。出来るのであれば、最初から婚約の話しは受けておらんのだ」
そうこうしているうちに、セイラは7歳になり、教会での魔力測定の日を迎えた。
誕生月の頭に王都の大教会にて、測定を受けるのだ。貴族は爵位が高いものから順に午前中に受け、それ以外の者が午後から受ける。
伯爵家であるセイラは午前中に受ける事になっている。
「兄様は風の魔力とモグラの加護でしたよね?風の魔力は分かるのですが、モグラの加護とは何なのですか?」
魔力測定であるものの、教会の女神像より、たまに加護を与えてられる者もいるのだ。魔力とは別で、ユニークスキルとも呼ばれる。何故ユニークなのかと言えば、面白いからである。
「くっ!!聞きたいのか?笑いたいのか?」
ザックは忌々しそうに言う。
「え、ええ。聞いた事がありませんので、興味はありますわ」
王妃教育のおかげなのか、最近ではセイラは自分の意見はだいぶ言えるようになってきた。家族や身内の使用人に対してのみだが。他人に対してはまだまだ引っ込み思案だ。
「聞いて笑えっ!!モグラスキルとはな、ミミズを土から出したり土に穴ぼこを空けるスキルだっ!!」
何故か胸を張って言い切るその声は、教会内に響き渡り、至る所から笑いを堪えて吹き出す音が聞こえてきた。
ソレを聞き、ザックは顔を赤くするのだった。
マリウスはブツブツ言いながら、その場を去って行った。
「兄様、あの人は悪い人では無いですが。周りに黒いモヤモヤしたものが見えます。もう、側に行かないでください」
セイラが小さな声でザックに呟く。
「何だって!?大変じゃないか。どうしたらいいんた?周りって事は、まだマリウス王子は取り込まれてはいないんだろう?大事な親友だし何れは王太子、国王となられる方だぞっ!?」
振り返りながらセイラの肩を掴み、問う。
「でも・・・、時間の問題です。すぐに染まる」
そう言ってセイラは瞳を閉じて、全体重をザックに預けた。
その数日後、シャーロック伯爵家の面々は王宮に呼ばれた。
「そう畏まらなくて良い。この度はマリウスが黒魔に取り込まれる前に未然に防ぐ事が出来た。セイラ嬢の力だと思うが、まだ5歳だったな?教会での魔力測定は7歳だからまだ測定を受けていないが、魔力とは違う聖なる力が宿っているかも知れぬな。うむ、どうだろう、実はマリウスがセイラ嬢を気に入ったようでな。力の事もある、マリウスの婚約者にしたいと考えておる。伯爵、どうだろうか?」
問いかけではあるが、国王に反する意見など言える訳はない。
「はっ。ありがたいお話し、受けさせて頂きます」
4人揃って、頭を下げるしかなかった。
婚約者と言ってもまだ5歳。
普通であれば、お互いの家でたまにお茶会に呼ばれる程度なのだが、この日翌日からセイラは週に1度、王宮に呼ばれマナーを学びながらの淑女・王妃教育げ始まったのだ。
元々、気が弱いセイラは王宮に行った日は必ず泣いて帰り、また笑わない日が増えていった。
「このままてはセイラが可哀想ですっ!!父上・母上、何とかセイラが王妃になる事を回避する事は出来ないのですかっ!?」
何度かザックは両親に申し入れるが、答えは同じだった。
「伯爵家如きが、婚約解消の申し出など出来る訳が無い。出来るのであれば、最初から婚約の話しは受けておらんのだ」
そうこうしているうちに、セイラは7歳になり、教会での魔力測定の日を迎えた。
誕生月の頭に王都の大教会にて、測定を受けるのだ。貴族は爵位が高いものから順に午前中に受け、それ以外の者が午後から受ける。
伯爵家であるセイラは午前中に受ける事になっている。
「兄様は風の魔力とモグラの加護でしたよね?風の魔力は分かるのですが、モグラの加護とは何なのですか?」
魔力測定であるものの、教会の女神像より、たまに加護を与えてられる者もいるのだ。魔力とは別で、ユニークスキルとも呼ばれる。何故ユニークなのかと言えば、面白いからである。
「くっ!!聞きたいのか?笑いたいのか?」
ザックは忌々しそうに言う。
「え、ええ。聞いた事がありませんので、興味はありますわ」
王妃教育のおかげなのか、最近ではセイラは自分の意見はだいぶ言えるようになってきた。家族や身内の使用人に対してのみだが。他人に対してはまだまだ引っ込み思案だ。
「聞いて笑えっ!!モグラスキルとはな、ミミズを土から出したり土に穴ぼこを空けるスキルだっ!!」
何故か胸を張って言い切るその声は、教会内に響き渡り、至る所から笑いを堪えて吹き出す音が聞こえてきた。
ソレを聞き、ザックは顔を赤くするのだった。
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