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我がダグラス王国の1週間は他国と同じで、月・火・水・木・金・土・日の7日間を1週間としていてる。国の文官として働く者は、土・日が休みの部署が多い。
「マリアには週2日、木・金の2日を神殿の勤務とする。その為、王宮にマリアと護衛の部屋を1室づつ用意してくれるそうだ。給金については1ヶ月100万ルビーとする。また他の日に地方に赴いて大聖女として活動した際には別途手当を出すものとする。大聖女として活動する際にかかる費用は今迄通り神殿が負担する。まあ、こんな感じだ」
「はあ。週に2日ですか」
「ああ、それ以外はダリル辺境伯領で過ごして構わない。それに、勤務以外の日でも王宮の部屋には泊まっていいそうだ」
「2日で大聖女の仕事が務まるでしょうか?」
行列が凄い事になりそうだけど、大丈夫?
「ポーションと薬草があれば、最初は少し大変かも知れないが落ちつくと思う」
「わかりました。では水曜日の夜に王宮に来て、木曜日は朝の祈祷から参加します。そして土曜日の朝にダリル辺境伯領に向けて帰る予定でよろしいでしょうか?」
「ああ。マリアならそう言ってくれると思っていたよ」
昼食は全ての聖女が同じ時間帯に食事をする為、神官長様に連れられ、マリアは食堂で皆に来週から本格的に復帰する旨を伝えられた。
神官長様と3人で昼食をとり、午後からは神殿内や他の聖女の仕事振りを見て回る。他の聖女に力の変化は無しだった。
夕方になり、マリアとクロイツは早めに休むようにと神官長様から言われ、王宮の部屋に向かう事になった。メイドに部屋を案内されるとマリアの部屋の横がクロイツの部屋だった。
「じゃあ、クロイツ。また夕食時に」
「ああ」
それぞれの部屋に入り、マリアは室内を見て回る。部屋の左側に扉があり、中を見るとバス・トイレ等があり便利だ。部屋の右側にも扉があり、開けてみる。すると・・・
「くっ、クロイツ!?」
部屋のソファーに座っているクロイツがいる。
「マリアっ?中で繋がっているのか!?いや、まずいだろうよ・・・」
クロイツはブツブツ呟く。
夕食はマリアの部屋で2人で食べたのだが、部屋の扉の件で2人は微妙な雰囲気だ。
「大丈夫だ、マリア。キチンと妻として迎えるまでは、その、何もしないから」
「え、ええ。わかってるわ」
食事を終え、ソファーに移動してお茶を飲む。しかし、いつもお姉様がいたので、2人だと話す事に困ってしまう。
クロイツが馬車の時のように、そっと手を握ってきた。
「マリア、ごめん。さっきは何もしないと言ったが、キスさせてくれないか?」
コクリとマリアが頷くと、クロイツはゆっくりと優しいキスをした。
「マリアには週2日、木・金の2日を神殿の勤務とする。その為、王宮にマリアと護衛の部屋を1室づつ用意してくれるそうだ。給金については1ヶ月100万ルビーとする。また他の日に地方に赴いて大聖女として活動した際には別途手当を出すものとする。大聖女として活動する際にかかる費用は今迄通り神殿が負担する。まあ、こんな感じだ」
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「2日で大聖女の仕事が務まるでしょうか?」
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「マリアっ?中で繋がっているのか!?いや、まずいだろうよ・・・」
クロイツはブツブツ呟く。
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コクリとマリアが頷くと、クロイツはゆっくりと優しいキスをした。
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