番探しにやって来た王子様に見初められました。逃げたらだめですか?

ゆきりん(安室 雪)

文字の大きさ
5 / 40

4

しおりを挟む
 「お姉様、そもそも番探しの意味を分かってらっしゃいます?」

 「結婚相手を探すんだろ?」

 はぁ~っ、とデイジーは深い溜息をついた。

 「お姉様、番と言うのはですね。絶対無二の愛する人です。まず、匂いでわかるらしいです。甘い匂いがするらしいですよ?花の様な甘い匂いみたいです。あとはキスをすると愛の花が降ってくるんですって!!王太子様のお披露目では沢山のピンクの薔薇の花が降ってきたんですって!ロマンチックだわっ!!その花は通常の花よりも長持ちしたって聞くし、ドライフラワーにしても生花みたいに綺麗な状態なんですって」

 「え~、花びらならまだしも茎もついてるって事か?トゲも付いてるのか?痛そうだな。トゲの処理がしてあればまだいいが。頭にバンバン降ってきたら怒れるだろうよ」

 「も~、お姉様。18歳の乙女とは思えない発言ですわ。私も番に出会いたいわっ。愛の花を咲かせるのよっ」

 うっとりした顔でデイジーは話す。

 「私は騎士になりたかったからな」

 「そういえばお姉様、私には香水の匂いは感じませでしたわ?もしかして、番の匂いではないのですか?」

 「は?香水だろう。番になったら王宮に住むんだろ?無いな~」

 はははっと笑い飛ばす。

 「綺麗なドレスに宝石ジャラジャラ付けてダンスなんて、どんな罰ゲームだよ?」

 「お姉様はキチンとした格好をすれば、ちゃんと令嬢に見えるのに・・・」

 「そういうのはデイジーに任せるよっ。明日も護衛に扮するから、頼むぞ?デイジー」

 「お父様にまた怒られますよ?」

 「参加はするって言ったから、会場にいれば大丈夫だろ?」

 部屋に戻り、要人を警護する際の制服を整え、明日に備える事にした。




 翌日は朝から屋敷内はバタバタしており、その隙をつき屋敷から抜け出した。

 後は頼んだぞ、デイジー。

 自警団の詰所に向かうと賊が何箇所かに出ていると報告が入っている。

 スミレはいつもの自警団の服に着替え、賊の見回りに出る事にした。



 
 「誰かっ、助けてっ!」

 馬をゆっくりと走らせ街中を巡回していると、どこからか女性の悲鳴が聞こえて来た。スミレは周りを見渡し、声が聞こえた方向を探す。

 「誰かっ!!」

 視界の端に女性が鞄を引っ張られているのが見えた。スミレは馬から降り、男を1蹴りしてから背負い投げる。

 女性の鞄は無事だ。

 「騎士様っ、ありがとうございましたっ」

 う~ん、騎士じゃないけどね?

 「気をつけて」

 声をかけて馬の元に戻り、巡回を再開する。とりあえず、大事にならなくて良かった。

 その後もスリや喧嘩などを収めて回った。






しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

ただの新米騎士なのに、竜王陛下から妃として所望されています

柳葉うら
恋愛
北の砦で新米騎士をしているウェンディの相棒は美しい雄の黒竜のオブシディアン。 領主のアデルバートから譲り受けたその竜はウェンディを主人として認めておらず、背中に乗せてくれない。 しかしある日、砦に現れた刺客からオブシディアンを守ったウェンディは、武器に使われていた毒で生死を彷徨う。 幸にも目覚めたウェンディの前に現れたのは――竜王を名乗る美丈夫だった。 「命をかけ、勇気を振り絞って助けてくれたあなたを妃として迎える」 「お、畏れ多いので結構です!」 「それではあなたの忠実なしもべとして仕えよう」 「もっと重い提案がきた?!」 果たしてウェンディは竜王の求婚を断れるだろうか(※断れません。溺愛されて押されます)。 さくっとお読みいただけますと嬉しいです。

【完結】契約結婚。醜いと婚約破棄された私と仕事中毒上司の幸せな結婚生活。

千紫万紅
恋愛
魔塔で働く平民のブランシェは、婚約者である男爵家嫡男のエクトルに。 「醜くボロボロになってしまった君を、私はもう愛せない。だからブランシェ、さよならだ」 そう告げられて婚約破棄された。 親が決めた相手だったけれど、ブランシェはエクトルが好きだった。 エクトルもブランシェを好きだと言っていた。 でもブランシェの父親が事業に失敗し、持参金の用意すら出来なくなって。 別れまいと必死になって働くブランシェと、婚約を破棄したエクトル。 そしてエクトルには新しい貴族令嬢の婚約者が出来て。 ブランシェにも父親が新しい結婚相手を見つけてきた。 だけどそれはブランシェにとって到底納得のいかないもの。 そんなブランシェに契約結婚しないかと、職場の上司アレクセイが持ちかけてきて……

【完結】そう、番だったら別れなさい

堀 和三盆
恋愛
 ラシーヌは狼獣人でライフェ侯爵家の一人娘。番である両親に憧れていて、番との婚姻を完全に諦めるまでは異性との交際は控えようと思っていた。  しかし、ある日を境に母親から異性との交際をしつこく勧められるようになり、仕方なく幼馴染で猫獣人のファンゲンに恋人のふりを頼むことに。彼の方にも事情があり、お互いの利害が一致したことから二人の嘘の交際が始まった。  そして二人が成長すると、なんと偽の恋人役を頼んだ幼馴染のファンゲンから番の気配を感じるようになり、幼馴染が大好きだったラシーヌは大喜び。早速母親に、 『お付き合いしている幼馴染のファンゲンが私の番かもしれない』――と報告するのだが。 「そう、番だったら別れなさい」  母親からの返答はラシーヌには受け入れ難いものだった。  お母様どうして!?  何で運命の番と別れなくてはいけないの!?

【完結】番が見ているのでさようなら

堀 和三盆
恋愛
 その視線に気が付いたのはいつ頃のことだっただろう。  焦がれるような。縋るような。睨みつけるような。  どこかから注がれる――番からのその視線。  俺は猫の獣人だ。  そして、その見た目の良さから獣人だけでなく人間からだってしょっちゅう告白をされる。いわゆるモテモテってやつだ。  だから女に困ったことはないし、生涯をたった一人に縛られるなんてバカみてえ。そんな風に思っていた。  なのに。  ある日、彼女の一人とのデート中にどこからかその視線を向けられた。正直、信じられなかった。急に体中が熱くなり、自分が興奮しているのが分かった。  しかし、感じるのは常に視線のみ。  コチラを見るだけで一向に姿を見せない番を無視し、俺は彼女達との逢瀬を楽しんだ――というよりは見せつけた。  ……そうすることで番からの視線に変化が起きるから。

[完結]間違えた国王〜のお陰で幸せライフ送れます。

キャロル
恋愛
国の駒として隣国の王と婚姻する事にになったマリアンヌ王女、王族に生まれたからにはいつかはこんな日が来ると覚悟はしていたが、その相手は獣人……番至上主義の…あの獣人……待てよ、これは逆にラッキーかもしれない。 離宮でスローライフ送れるのでは?うまく行けば…離縁、 窮屈な身分から解放され自由な生活目指して突き進む、美貌と能力だけチートなトンデモ王女の物語

あなたの運命になりたかった

夕立悠理
恋愛
──あなたの、『運命』になりたかった。  コーデリアには、竜族の恋人ジャレッドがいる。竜族には、それぞれ、番という存在があり、それは運命で定められた結ばれるべき相手だ。けれど、コーデリアは、ジャレッドの番ではなかった。それでも、二人は愛し合い、ジャレッドは、コーデリアにプロポーズする。幸せの絶頂にいたコーデリア。しかし、その翌日、ジャレッドの番だという女性が現れて──。 ※一話あたりの文字数がとても少ないです。 ※小説家になろう様にも投稿しています

『番』という存在

恋愛
義母とその娘に虐げられているリアリーと狼獣人のカインが番として結ばれる物語。 *基本的に1日1話ずつの投稿です。  (カイン視点だけ2話投稿となります。)  書き終えているお話なのでブクマやしおりなどつけていただければ幸いです。 ***2022.7.9 HOTランキング11位!!はじめての投稿でこんなにたくさんの方に読んでいただけてとても嬉しいです!ありがとうございます!

王弟殿下の番様は溺れるほどの愛をそそがれ幸せに…

ましろ
恋愛
見つけた!愛しい私の番。ようやく手に入れることができた私の宝玉。これからは私のすべてで愛し、護り、共に生きよう。 王弟であるコンラート公爵が番を見つけた。 それは片田舎の貴族とは名ばかりの貧乏男爵の娘だった。物語のような幸運を得た少女に人々は賞賛に沸き立っていた。 貧しかった少女は番に愛されそして……え?

処理中です...