お前の全てを俺に捧げろ

ゆきりん(安室 雪)

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 呆然と立ち尽くす亜美は、腕を引っ張る力につられてそのまま何も考えずに歩く。そして車に乗せられ着いた所は、さっきリョウさんと一緒に出てきた一軒家。

 車から降ろされ、家の中に促される。そしてリビングのソファーへ。

 「あ、あれ?」

 「お前ね、いくら呆然としてても、家に連れ込まれるまで気がつかないって、ダメだろ」

 目の前には唇がある、ハムっと唇をハマれ口腔内をねっとりと舐めまわされる。

 「んんっ!?」

 リョウさんの胸を押し、距離を取ろうとするがピクリとも動かない。やがて満足したリョウに唇を離される頃には、亜美の息は完全に上がってしまい、グッタリしてしまう。

 亜美の頭が思考停止したのを見計らい、ソファーを立ち上がったリョウは冷蔵庫から冷たいミネラルウォーターを取り出し、キャップをあけて渡してくれる。

 ソレをゴクゴクと飲んだ亜美の頭はスッキリしてきた。

 「あ、リョウさん、ありがとう」

 「で。お前、ココに住んだらどうだ?ココには俺しか住んで無いし、部屋も余ってる。もちろん家賃はいらん」

 「えっ!ココに一緒にですか!?」

 「流石にお前の服は無いが、基本の生活用品は揃ってる。そうだな・・・」

 亜美の手を引いて歩き出し、

 「二階のこの部屋をお前の部屋にどうだ?ベランダもあるし明るいだろ?他が良ければ他でもいいが」

 案内された部屋はとても広く壁面にはクローゼットもある。但し、部屋の中には家具が一つも無い。

 「うわぁ、広くて明るいっ!」

 「家具は買ってもレンタルしてもいいしな」

 家具・・・。ベッド・テレビとか色々か。

 う~ん。

 そしてまたリビングにもどる。

 自分のカバンが目に入り、大家さんからもらった紙袋が目に入る。そうだお金貰ったんだ。中を確認してビックリする。

 「200万!?」

 帯封がされた束が2つ。


 「お前、いい家主の所に住んでたんだな。全く新しい生活を1から始めるなら妥当な金額だよな」

 確かに。新しく部屋を借りるなら敷金礼金がいるし、家財道具一式。生活用品。

 「でも、こんなもらっていいの?」

 「家主が保険金から入る分を考え、アパートの再建分を差し引いて妥当な金額を出したんだと思うぞ?かなりやり手の婆さんみたいだった。後ろから封筒を出してきたのは弁護士だったぞ、バッジしてたし。それにソノ紙見てみろ」

 リョウさんに示された指の先には三つ折りの紙が入っていて、さっきリョウさんが一読していた。

 「その金は和解金も兼ねていると書かれている。入居時に入っている保険金の手続きも下に書いてある弁護士が全て行うし、今回の火災についてもその弁護士が担当するようだ。家主の連絡先も書いてある」

 亜美が確認すると確かにそのようだ。

 「で、ココに住むんだろ?」

 ん?と顎を指でつかまれ、視線を合わせられる。顎クイだぁ!!

 「え、いえ。ご迷惑になってしまうので」

 「迷惑だったら言わないだろうよ?さっきも言ったが、家賃はいらん、部屋も二階の部屋を好きに使え」

 言い終わり、亜美の唇を親指で撫でる。そして、グイッと中に入り口腔内をゆっくり撫でる。

 「で、でもっ!!」

 「タダで住むのが気になるなら・・・、開発のアシスタントをしろよ?モニターで感想を聞かせろ」

 「えっ、それでいいなら・・・」

  次の家が決まるまでお世話になろうかな。やっぱり住む家は駅近とか治安とかじっくり選びたいし。

 「ああ、決まりだな。じゃあとりあえず、家具と服を見に行くか」

 


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