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メンバーがライブハウスの出口から去ったあとは、ファンの子達も帰路に着き、通りはガランとなり、やっと彩音もメンバーとの待ち合わせ場所に向かった。
はぐれた時用の公園には既に『リミテッド』のメンバーである
ギター1 拓哉 サラサラの黒髪に切れ長の目。歌詞も音楽も作れる。
ギター2 カイト 黒髪のおぼっちゃま風。だけど口数少ない。拓哉のギターの幅を広げる曲作りメイン。
ベース リョウ カイトよりも寡黙。黙々とベースを弾き、よく影がなくなる。
ドラムス ミキちゃん いつも明るく気遣い上手。
が揃っていて、イケメン4人組に彩音は急ぎ足を更に早めてメンバーに合流する。
「ごめんねっ、いつもながら出れなかった」
えへへ~っと笑う彩音にカイトは
「待つのは慣れてる」
と呟く。
「それより拓哉から話し聞いたけど、リミテッド少し休むって何かあった?」
心配そうなミキちゃんの声。
5人とも同じ高校の同級生、と言ってもマンモス学校で幼稚園から大学院まで揃っている。一応、私立の学校ではあるけれどスポーツ、勉強、芸能で活躍していたり、将来有望と思われる場合には特待生制度もある。だからいわゆるおぼっちゃま・お嬢様学校ではあるけど、幅広いタイプが揃っている。
大学にはそのままエスカレーター式で上がれるので、特に大学試験なんてものも無かった。なので、彩音が高3の2月のこの時期に1ヶ月程バンド活動を休みたい理由が分からない。
「家庭の事情?です」
と、とりあえず濁し、また連絡する約束をして帰路につく事になった。
カイトとリョウ、ミキちゃんは公園の脇にいつもバイクを停めいるのでソレで帰り、彩音と拓哉は駅に向かい歩きはじめた。
「で、家庭の事情って何?」
「う~ん、よくわからないんだけど母さんから『とりあえず、学校の予定以外は1ヶ月空けてくれる?』て言われて、正直よくわからないんだよね」
「彩音のお袋さん、相変わらずだな」
まだ数年しかの仲間付き合いでしかないが、彩音母の珍妙な行動を何度か聞いている拓哉は、苦笑しながらも何か考えついた様で
「て事は次に彩音に会えるのは1ヶ月後って事か?」
「多分、そうなんだよね。新しい曲もみんなで合わせたいのにねっ!残念だけど」
春に向けて新しくはじまる未来へのスタートの歌詞とか桜をイメージした歌詞とか色々作ってるから、拓哉には早く会いたいんだけどね、とブツブツ呟く彩音に
「俺に会いたいのは、曲の為だけかよ」
とギターケースを持ってない手で彩音を引き寄せる。突然の事にバランスを崩した彩音は背中から拓哉の胸に倒れ込む。後ろから片腕でハグされている格好になる。
「ご、ごめん拓哉っ」
すぐに離れようとしても、ぎゅっと抱きしめ力が込められ、くるりと体を反転させられ斜め上から拓哉が熱く見つめてくる。
「どうしたの?たく・・・っ」
拓哉とは最後まで言えなかった。彩音のふっくらとした唇が拓哉のソレにすっぽりと覆い被せられ、驚いたまま薄っすら開いていた唇内に舌がぬるりと入り込んできたのだ。
我にかえった彩音は必死に拓哉から逃れようとするが、頭がぼうっとして抵抗する力が弱くなる。
「やめ・・・て」
何とか声を出すが、拓哉の唇は声までも飲み込もうとする。
意識が朦朧とする中で何やら人が怒鳴る声と抱きかかえられるフワフワとした感覚がし、意識を手放した。
はぐれた時用の公園には既に『リミテッド』のメンバーである
ギター1 拓哉 サラサラの黒髪に切れ長の目。歌詞も音楽も作れる。
ギター2 カイト 黒髪のおぼっちゃま風。だけど口数少ない。拓哉のギターの幅を広げる曲作りメイン。
ベース リョウ カイトよりも寡黙。黙々とベースを弾き、よく影がなくなる。
ドラムス ミキちゃん いつも明るく気遣い上手。
が揃っていて、イケメン4人組に彩音は急ぎ足を更に早めてメンバーに合流する。
「ごめんねっ、いつもながら出れなかった」
えへへ~っと笑う彩音にカイトは
「待つのは慣れてる」
と呟く。
「それより拓哉から話し聞いたけど、リミテッド少し休むって何かあった?」
心配そうなミキちゃんの声。
5人とも同じ高校の同級生、と言ってもマンモス学校で幼稚園から大学院まで揃っている。一応、私立の学校ではあるけれどスポーツ、勉強、芸能で活躍していたり、将来有望と思われる場合には特待生制度もある。だからいわゆるおぼっちゃま・お嬢様学校ではあるけど、幅広いタイプが揃っている。
大学にはそのままエスカレーター式で上がれるので、特に大学試験なんてものも無かった。なので、彩音が高3の2月のこの時期に1ヶ月程バンド活動を休みたい理由が分からない。
「家庭の事情?です」
と、とりあえず濁し、また連絡する約束をして帰路につく事になった。
カイトとリョウ、ミキちゃんは公園の脇にいつもバイクを停めいるのでソレで帰り、彩音と拓哉は駅に向かい歩きはじめた。
「で、家庭の事情って何?」
「う~ん、よくわからないんだけど母さんから『とりあえず、学校の予定以外は1ヶ月空けてくれる?』て言われて、正直よくわからないんだよね」
「彩音のお袋さん、相変わらずだな」
まだ数年しかの仲間付き合いでしかないが、彩音母の珍妙な行動を何度か聞いている拓哉は、苦笑しながらも何か考えついた様で
「て事は次に彩音に会えるのは1ヶ月後って事か?」
「多分、そうなんだよね。新しい曲もみんなで合わせたいのにねっ!残念だけど」
春に向けて新しくはじまる未来へのスタートの歌詞とか桜をイメージした歌詞とか色々作ってるから、拓哉には早く会いたいんだけどね、とブツブツ呟く彩音に
「俺に会いたいのは、曲の為だけかよ」
とギターケースを持ってない手で彩音を引き寄せる。突然の事にバランスを崩した彩音は背中から拓哉の胸に倒れ込む。後ろから片腕でハグされている格好になる。
「ご、ごめん拓哉っ」
すぐに離れようとしても、ぎゅっと抱きしめ力が込められ、くるりと体を反転させられ斜め上から拓哉が熱く見つめてくる。
「どうしたの?たく・・・っ」
拓哉とは最後まで言えなかった。彩音のふっくらとした唇が拓哉のソレにすっぽりと覆い被せられ、驚いたまま薄っすら開いていた唇内に舌がぬるりと入り込んできたのだ。
我にかえった彩音は必死に拓哉から逃れようとするが、頭がぼうっとして抵抗する力が弱くなる。
「やめ・・・て」
何とか声を出すが、拓哉の唇は声までも飲み込もうとする。
意識が朦朧とする中で何やら人が怒鳴る声と抱きかかえられるフワフワとした感覚がし、意識を手放した。
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