花笑みの庭で

ゆきりん(安室 雪)

文字の大きさ
3 / 80

3

しおりを挟む
 眼が覚める直前、何故か人がいる気配がする。しかし

「彩音、そろそろ起きなさい」

ああ、母さん。起きなきゃ・・・と思い瞼を開けるとそこは・・・?

「何ここっ!!」

 眼を開けると高い天井から眩しいライトに照らされ彩音は床に寝かされていた。彩音が大好きな『snow style』の音楽がかかり、しかもカシャカシャとシャッター音まで聞こえる。写真を撮られているのだ。目が慣れてくると高い位置から彩音の母親・美緒子が撮影している。

 起き上がろうとする彩音に

「動かないで!」

 美緒子の声がかかるが無理である。ムクリと彩音が起き上がると、フワリと羽根が付いてきて落ちる。

「で、状況説明してよね母さん」

睨みながら説明を求める。

「まぁ、いい画撮れたからいいわよ。はい、撤収して~」

 
 今彩音がいる場所は多分、某芸能事務所の事務所ビル内で、先程まで使っていた撮影スタジオの数フロア上にある母専用の作業部屋兼打ち合わせルーム。何度かこの部屋には来たことがある。母は物心ついた時にはプロの写真家として雑誌やCDのジャケットを手掛けていた。
 彩音は所謂母子家庭で子供の頃、母は外に仕事に出る事もなく、家でたまにパソコンを見ながら仕事?をしていた。果たして本当に仕事なのか分からないが、本人が『今はお仕事中なのよ』と言っていたから嘘ではないのだろう。
 そんな母にも趣味があり、彩音が小さな頃から写真を撮っていた。ソレが彩音が中学生位になるとカメラマンとして仕事を受ける様になり、気がついたらソコソコ名前が売れる様になっていた。

「私、ライブ帰りが最後の記憶なんだけど?何でこんなところで写真撮られてるの?」

 記憶に間違いが無ければ拓哉にキスたされてと思うんだけど・・・。夢?

「だって~、彩音ちゃんにはこないだちゃんと『1ヶ月は学校以外の予定は入れないで』て言ってあったのに~、今日学校から帰って来ないから多分ライブか練習かなぁと思って。で、マネさん達(スタッフ)に迎えに行ってもらったら彩音ちゃん意識ないし。時間押してたから着替えとメイクして撮影しちゃったの」

 えへっと笑いながら話す母親の話が理解出来ない。

 「そもそも、何で撮影される訳」

 理由聞いてない。

 「何人か面接したけど、曲のイメージの子がいなかったから?かな」

「本人の承諾なしに?」

「彩音はママに似て可愛いから問題ないよ」

「・・・」

「何だったら歌も彩音ちゃんが歌っちゃえば?最終のボーカル決まってないみたいだし」

「はぁ?」

「仮のデモテープさっき聞いたでしょ?あれだから彩音ちゃんも歌っちゃいなよ、何となく覚えたでしょ?」

 確かに彩音は周りでかかっている音楽を覚えるのは得意だけど、さっき撮影スタジオでかかっていた音楽は『snow style 』の、あれ?曲名解らない。何で?アルバム持ってるし、ここ最近のライブは近場のモノは大体行ってるはず。なのに知らないって事は?

「まさか、snow style の新曲?!」

嘘、嘘っ!

 snow styleは彩音の最愛のバンドでボーカル・アヤトを筆頭に超絶人気のバンドである。

「う~ん、近いんだけどなぁ。snow style じゃなくて、アヤトの新曲。あ、アヤトには彩音ちゃんのバンドのCDは渡してあるから」

にゃは~っ?

新曲?!

アヤトの?!

ソロ?!

 悶々としていると母親のスマホが鳴る。

「ああ、アヤト?うんうん、今は彩音ちゃんと一緒。綺麗な画は撮れたよ~、歌?多分断らないと思うよ~。うん、じゃあスタジオ行かせるね~」

 話終わると普段の会話と変わらない口調で爆弾発言を投げつけてくる。

「彩音ちゃん、アヤトが下のスタジオで待ってるから歌ってきて」

 はいっ!?
 
 言ってる意味がわかりませんっ!!

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

筆下ろし

wawabubu
青春
私は京町家(きょうまちや)で書道塾の師範をしております。小学生から高校生までの塾生がいますが、たいてい男の子は大学受験を控えて塾を辞めていきます。そんなとき、男の子には私から、記念の作品を仕上げることと、筆下ろしの儀式をしてあげて、思い出を作って差し上げるのよ。

【短編集】こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

哲子67歳★恋して焦げて乱れ咲き♪

obbligato
恋愛
67歳、二次元大好き独身女子のぶっとんだ恋愛劇。 ※哲子は至って真面目に恋愛しています。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

処理中です...