花笑みの庭で

ゆきりん(安室 雪)

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43〜アヤト目線〜

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彩音がスタジオを出ようとする。

「彩音、大丈夫か?」

 声をかけるがショックを受けているようだ。俺だって面白くはない。当日、ゴネて回避してもらいたい。

「・・・、何か私キス運無いかも。拓哉には無理やりだし、次は酔っ払いだし、その次はムカつく蓮さんだし!」

 もうっ!と今度こそ部屋を出ようとする彩音を腕の中に囲い込む。

 拓哉、ああライブ帰りに彩音にキスしていた奴だな。あの場で殴り飛ばしてやったけどな。酔っ払いとは誰の事だ!?俺の前に何人、唇を奪われたんだ?そして、蓮にも彩音を触れさせたくはない。

 俺の心に黒い渦が逆巻いてくる。

「イヤなら断ればいい。でも、俺は今逃すつもりはない」

 俺は彩音の頤を掴み唇を寄せる。触れるまであとちょっとの所で俺は一瞬止まり、ふっと仄暗い笑みがこぼれたが、そのまま唇を合わせる。

 パニックしている彩音を他所に、唇を離すとまた角度を変えてキスする。啄ばむように、チュッ・チュッとキスしながら俺は彩音の頭を両手で撫でまわす。しばらくすると片手は顔に、もう片腕は彩音の腰にまわす。いつもながら細い腰だ。あれだけよく食べるにもかかわらず。

 彩音は腰砕け状態で立っていられなくなり、俺が腰に腕をまわして支えているので、何とか立っていられる。だんだん目が潤んできて、今までにない瞳になる。

 くっ・・・!

 これ以上はまずい!

 自制出来なくなるっ・・・。
 

 
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