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「彩音、出かけるから着替えておいで」
と言われ、外に出れる格好に着替えると、アヤトも既に着替え、目立つ頭の包帯は帽子で隠している。元々、変装用に帽子はいくつか持っているようだ。
エレベーターに乗り、地下の駐車場に停めてある車に乗る。この車にも慣れてきた。自分でシートベルトをしようとすると
「密かな俺の楽しみ取らないでね」
ふふっと笑いながら彩音のシートベルトをする。
楽しみの意味がわからない・・・。
南青山の事務所から車を数十分後走らせた後、大きな門がある敷地に入っていく。中は綺麗に整えられた庭園風になっていて美術館のようだ。
建物の前で車から降りるとそこには、執事風の初老の男性が立っていた。
「彩人様お帰りなさいませ」
恭しく頭を下げる。
アヤトは苦笑いする。
「角野さん、俺にソレはやめてよ」
「いいえ、本来なら彩人様がお継ぎになられていたのですから。それで、こちらの方はもしや?」
と優しげに視線を向けられる。
「ああ、彩音だ。面影、残ってるだろ?」
すると、角野さんは目を細め何処か懐かしむ顔をし、
「彩音様、大きくなられて角野は、びっくりしました。さ、裏のお庭でお茶でも如何でしょうか?」
「ああ、角野さん頼むね」
3人で建物の中に入る。靴は脱がなくてはいいのかな?と気にするが、どうやらいいみたいだ。美術館内の様に綺麗な廊下を抜けて、建物の裏手に出る。するとそこにはーーー!
「すっごい!!お庭と言うより、お花の国っ!一面お花っ!」
桜の花も咲き誇り、少し低めの椿にも赤やピンクの椿の花が咲き誇り、地面には色とりどりの花が咲き乱れている。まるで
「お花が笑っているみたい」
テラス席に促され、椅子に座りながら彩音は呟く。するとアヤトは
ぷぷっと笑う。
「何?アヤト?」
変な表現だと思うけど、そう思ったんだもん。ぷぅと頬を膨らませながらアヤトを睨む。
「いや、懐かしいなと思って」
「左様でございますね。彩音様は昔もその様に仰って、以来この庭の名前は『花笑みの庭』でございます」
「えっ、昔ここに来た事あるんだ?何で覚えて無いんだろう?」
「彩音はここで、俺達家族と住んでたんだよ。あの事故までね。そして彩音が見たDVDもココで撮ったものだよ」
お茶の準備が整うと、アヤトは角野さんに少し外す様に言う。一礼して角野さんが去る。
「ココで彩音に渡したい物があるんだ。ホントは昨日渡したかったんだけど、ココが相応しいかなと思ってな」
そう言ってポケットから小さな箱を2つ取り出す。1つ目の箱の蓋を開け、中から指輪を取り出す。
「指輪は俺がデザインして加工してもらったんだが、石は父が母に贈ったものなんだ。彩音が俺の気持ちを受け入れてくれると思った時に着けて欲しい。そしてこっちは、ただのピアス。シンプルな物だからいつも着けて欲しいなと、ま、独占欲の印だな」
言い終わると、今日は何も着けていない彩音のピアスホールにピアスを着け始める。
「因みに、俺も同じヤツ」
と左の耳を見せニヤリて笑う。
と言われ、外に出れる格好に着替えると、アヤトも既に着替え、目立つ頭の包帯は帽子で隠している。元々、変装用に帽子はいくつか持っているようだ。
エレベーターに乗り、地下の駐車場に停めてある車に乗る。この車にも慣れてきた。自分でシートベルトをしようとすると
「密かな俺の楽しみ取らないでね」
ふふっと笑いながら彩音のシートベルトをする。
楽しみの意味がわからない・・・。
南青山の事務所から車を数十分後走らせた後、大きな門がある敷地に入っていく。中は綺麗に整えられた庭園風になっていて美術館のようだ。
建物の前で車から降りるとそこには、執事風の初老の男性が立っていた。
「彩人様お帰りなさいませ」
恭しく頭を下げる。
アヤトは苦笑いする。
「角野さん、俺にソレはやめてよ」
「いいえ、本来なら彩人様がお継ぎになられていたのですから。それで、こちらの方はもしや?」
と優しげに視線を向けられる。
「ああ、彩音だ。面影、残ってるだろ?」
すると、角野さんは目を細め何処か懐かしむ顔をし、
「彩音様、大きくなられて角野は、びっくりしました。さ、裏のお庭でお茶でも如何でしょうか?」
「ああ、角野さん頼むね」
3人で建物の中に入る。靴は脱がなくてはいいのかな?と気にするが、どうやらいいみたいだ。美術館内の様に綺麗な廊下を抜けて、建物の裏手に出る。するとそこにはーーー!
「すっごい!!お庭と言うより、お花の国っ!一面お花っ!」
桜の花も咲き誇り、少し低めの椿にも赤やピンクの椿の花が咲き誇り、地面には色とりどりの花が咲き乱れている。まるで
「お花が笑っているみたい」
テラス席に促され、椅子に座りながら彩音は呟く。するとアヤトは
ぷぷっと笑う。
「何?アヤト?」
変な表現だと思うけど、そう思ったんだもん。ぷぅと頬を膨らませながらアヤトを睨む。
「いや、懐かしいなと思って」
「左様でございますね。彩音様は昔もその様に仰って、以来この庭の名前は『花笑みの庭』でございます」
「えっ、昔ここに来た事あるんだ?何で覚えて無いんだろう?」
「彩音はここで、俺達家族と住んでたんだよ。あの事故までね。そして彩音が見たDVDもココで撮ったものだよ」
お茶の準備が整うと、アヤトは角野さんに少し外す様に言う。一礼して角野さんが去る。
「ココで彩音に渡したい物があるんだ。ホントは昨日渡したかったんだけど、ココが相応しいかなと思ってな」
そう言ってポケットから小さな箱を2つ取り出す。1つ目の箱の蓋を開け、中から指輪を取り出す。
「指輪は俺がデザインして加工してもらったんだが、石は父が母に贈ったものなんだ。彩音が俺の気持ちを受け入れてくれると思った時に着けて欲しい。そしてこっちは、ただのピアス。シンプルな物だからいつも着けて欲しいなと、ま、独占欲の印だな」
言い終わると、今日は何も着けていない彩音のピアスホールにピアスを着け始める。
「因みに、俺も同じヤツ」
と左の耳を見せニヤリて笑う。
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