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美亜は出雲空港からバスに乗り、松江で宿泊することにしていた。ぼ~っと外の景色を眺めていると山道から街中に景色が変わっていた。松江の駅からすぐのホテルを予約していたので、駅からはキャリーをコロコロ転がして歩く。
チェックインを済ませ、部屋に入るとベッドに座る。
「疲れたな・・・」
旅の工程もだが、人生に疲れたのだ。
付き合って1年の彼に浮気されていたなんて・・・。おまけに浮気現場に遭遇するまで全く気が付かなかった。相手の女曰く『あんたがセカンドだから』と言うのだ。ベッドルームでの情事に踏み込む形になってしまった美亜は、彼の部屋の鍵を投げつけ、走って逃げた。駅までたどり着くとスマホに彼からの着信があったが拒否にし、登録を消した。
あれ以来、顔も見ていない。
あまり眠れなかったが、折角の旅行だ。気分転換をしっかりしなくてはと、シャワーを浴び、身支度を整えて、ホテルの朝食バイキングに向かう。案外1人で食べている人も多い。
オムレツをオーダーしたら、その場で作ってくれるようなので、チーズ入りをお願いする。出来上がるまでに、野菜やパン、ジュースをトレーの上のお皿に乗せていく。そして、出来立てのオムレツを受け取り、空いている席に着く。
このオムレツ、美味しい・・・。
あまり食欲は無かったはずなのにペロリと食べきり、追加でスープを持ってくる。
食後の紅茶をのんびり飲んでから、一旦部屋に戻り、必要な物を鞄に詰め、神社に向かった。
平日でからだろか?
バスは空いていたし、参道も人がまばらだ。
まあ、うじゃうじゃいても、今は気分的にウザいけどね。
鳥居をくぐり、本殿までの道を大きな気を眺めながら歩く。朝、まだ早い時間のせいか、空気がひんやりして気持ちがいい。
参拝も全然人がいなかったから、すぐに終わってしまった。案外、呆気ない?本殿から鳥居に戻る道の横に広場があり、花が咲いているのが見えたから、近くに行ってみる事にした。その花の近くには、石で出来たうさぎがいっぱいある。ああ、神話でうさぎが出てくるもんね。一つのうさぎを撫でた時、何か光るモノが落ちている事に気づいた。拾い上げると、緑の石で出来たうさぎだ。
ヒスイかな?
手のひらに乗せると、ほんわり暖かいような気がした。思わず『一緒に行こう?』と呟いてしまった。そんな自分が何だかおかしかったけど、鞄にうさぎをしまい、次の瞬間には『お昼何食べようかな~』と考えていたのだ。
夕方前にはホテルに戻った。
駅前で紅茶をテイクアウトしてきたので、それを飲みながら会社へのお土産の数を数える。うん、大丈夫、足りるね。
ベッドに座ろうと思った時だ。
鞄の中から光るモノが出てくる。小さい丸い光だ。ソレはフワフワと出て来たかと思うと、ベッドの上にフワリと着地し、真っ白なうさぎになった。
「うさぎ!?うさぎの幽霊!?」
一瞬で飛び退いたが、うさぎはジッと美亜を見つめている。恐る恐る美亜はうさぎに近づき撫でてみる。どうやら実体はあるようだ。
もふもふした毛が柔らかい。
しかも撫でると目を細めるのだ。
「めっちゃ、可愛いっ!あ、でもこれ、幽霊うさぎ?幽霊って、触れたっけ?」
とりあえずは、疲れたからもう寝たいんだよね。
「ごめんね、うさぎちゃん。私、眠いから大人しくしててくれるかな。おやすみ」
ベッドの端にうさぎを移動させ、美亜は眠りにつく。
チェックインを済ませ、部屋に入るとベッドに座る。
「疲れたな・・・」
旅の工程もだが、人生に疲れたのだ。
付き合って1年の彼に浮気されていたなんて・・・。おまけに浮気現場に遭遇するまで全く気が付かなかった。相手の女曰く『あんたがセカンドだから』と言うのだ。ベッドルームでの情事に踏み込む形になってしまった美亜は、彼の部屋の鍵を投げつけ、走って逃げた。駅までたどり着くとスマホに彼からの着信があったが拒否にし、登録を消した。
あれ以来、顔も見ていない。
あまり眠れなかったが、折角の旅行だ。気分転換をしっかりしなくてはと、シャワーを浴び、身支度を整えて、ホテルの朝食バイキングに向かう。案外1人で食べている人も多い。
オムレツをオーダーしたら、その場で作ってくれるようなので、チーズ入りをお願いする。出来上がるまでに、野菜やパン、ジュースをトレーの上のお皿に乗せていく。そして、出来立てのオムレツを受け取り、空いている席に着く。
このオムレツ、美味しい・・・。
あまり食欲は無かったはずなのにペロリと食べきり、追加でスープを持ってくる。
食後の紅茶をのんびり飲んでから、一旦部屋に戻り、必要な物を鞄に詰め、神社に向かった。
平日でからだろか?
バスは空いていたし、参道も人がまばらだ。
まあ、うじゃうじゃいても、今は気分的にウザいけどね。
鳥居をくぐり、本殿までの道を大きな気を眺めながら歩く。朝、まだ早い時間のせいか、空気がひんやりして気持ちがいい。
参拝も全然人がいなかったから、すぐに終わってしまった。案外、呆気ない?本殿から鳥居に戻る道の横に広場があり、花が咲いているのが見えたから、近くに行ってみる事にした。その花の近くには、石で出来たうさぎがいっぱいある。ああ、神話でうさぎが出てくるもんね。一つのうさぎを撫でた時、何か光るモノが落ちている事に気づいた。拾い上げると、緑の石で出来たうさぎだ。
ヒスイかな?
手のひらに乗せると、ほんわり暖かいような気がした。思わず『一緒に行こう?』と呟いてしまった。そんな自分が何だかおかしかったけど、鞄にうさぎをしまい、次の瞬間には『お昼何食べようかな~』と考えていたのだ。
夕方前にはホテルに戻った。
駅前で紅茶をテイクアウトしてきたので、それを飲みながら会社へのお土産の数を数える。うん、大丈夫、足りるね。
ベッドに座ろうと思った時だ。
鞄の中から光るモノが出てくる。小さい丸い光だ。ソレはフワフワと出て来たかと思うと、ベッドの上にフワリと着地し、真っ白なうさぎになった。
「うさぎ!?うさぎの幽霊!?」
一瞬で飛び退いたが、うさぎはジッと美亜を見つめている。恐る恐る美亜はうさぎに近づき撫でてみる。どうやら実体はあるようだ。
もふもふした毛が柔らかい。
しかも撫でると目を細めるのだ。
「めっちゃ、可愛いっ!あ、でもこれ、幽霊うさぎ?幽霊って、触れたっけ?」
とりあえずは、疲れたからもう寝たいんだよね。
「ごめんね、うさぎちゃん。私、眠いから大人しくしててくれるかな。おやすみ」
ベッドの端にうさぎを移動させ、美亜は眠りにつく。
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