結婚式に代理出席したら花嫁になっちゃいました

ゆきりん(安室 雪)

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 午後になり、美希は下のフロアに急ぎの稟議書を回しに行って欲しいと総務部長に頼まれて、持って行く。営業フロアを横断し、営業部長の所へ行く途中で、会話が耳に入る。

「お前、まだあの総務の子落とせてないんだろ?賭けは俺の勝ちだな」

 と、言う声に

「今日落とせるって。チョロイチョロイ~」

 と笑っている。

 今朝のあの営業男だ、最低っ!

 ムカついたから、真横を通りながら営業部長の所へ行く。丁寧な口調で営業部長に稟議書をお願いし、帰り道で最低男を睨む。

 ちょっと引いた顔をしたが気にしない。ま、これで2度と食事には誘われないだろうと思ったのだが・・・。



 最低男は現れた。

 何食わぬ顔顔をして。

「牧瀬さん、朝約束したよね?食事奢るから早く行くよ?」

 馴れ馴れしく、肩を抱いてくる。

「やめて下さい。食費に行くつもりはありません。今朝も伝えましたが、お付き合いしてる人がいるんです」

 距離を取りながら言う。

「は?俺が誘ってやったんだぞ?」

 だから何だと、美希は言いたかったが、口を閉ざした。

「牧瀬さん、コレ社長が取引先からもらったんだって。もう帰る時間だから総務で分けちゃう?はい、牧瀬さんの分ね。あ、あとまだあるんだよね」

 美希を引っ張りながら課長の机まで来る。

「課長、さっきのアレ、セクハラです。朝もエレベーター内で牧瀬さん困ってました。勿論、キチンと断ってました。ね?」

 佐々木さんは最後、美希に向かって言う。

「はい。以前から何度もお断りしているのですが。それに今日、下に稟議書を持って行った際に、賭けにしてるって話してるのを聞いてとても気分が悪かったです。私に聞こえてるとわかってるはずなのに」

「えっ!?牧瀬さん、そんな話を聞いた後ならブン殴ってやれば良かったのに。ね、課長」

「いや、暴力はダメだろ、佐々木君。牧瀬さんもイヤな思いをさせてすまないね。せっかく契約終了を取り消して続けてくれているのに」

「いえ、こちらこそ。家庭の事情が落ち着いたので、継続して頂けて助かってます」

「あの営業男の事は僕から営業部長にクレーム入れておくから、また困った事があったら相談してほしい」

 総務課長はホントに心配そうに、でもしっかり対応してくれそうだ。

「課長も佐々木さんも、ありがとうございました」

 ペコリと頭を下げつつ

「あ、このお菓子はどうすれば・・・」

 さっき社長からもらったと分けられたものだ。

「ああ、それはホントにみんなで分けてるから持って帰ってね?」

 バチっとウィンクされる。

 うっ、イケメンのウィンクは心臓に悪いよっ。

「では、いただいて帰りますね。お騒がせしてすいませんでした。お先に失礼します」

 ペコリと頭を下げて、2人を後にする。




「美希、何かいい事があったのか?」

 食事をしていると、鷹夜が前からたずねてくる。

「実は会社でねーーー」

 と、美希は今日起こった不愉快な出来事と、夕方のスッキリした事を話したのだ。その最後に、

「イケメンのウィンクは破壊力凄いよね~っ。ドキドキしちゃった」

 美希が言い終わった瞬間、鷹夜は美希を担ぎ上げ、ベッドに運ぶ。

「美希、仕置きが必要だな?」

 鷹夜は仄暗い笑みを浮かべ言うのだ。


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